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交通事故にあった私、蜂になる  作者: カイン・フォーター
古代神殿と遥かなる旅の始まり
122/142

色欲と次なる目的地

「精神…汚染?」


サフィーが顔を真っ青にしてる。

私は、優しくサフィーを抱きしめてあげる。


「大丈夫だよ。」

「姉様…」


すると、蝶の神はクスクス笑って、


「その、サフィーちゃんへの愛が、ビーノちゃんにかけられた精神汚染なんだよね〜」

「は?」


サフィーへの愛が精神汚染?

そんなはずは…


「色欲の力は、『誘導』なんだよね〜。つまり、他人の精神を気付かれないように好き放題出来るんだよ。」

「精神誘導…転生ノ力もそうだったよね?」

「あれね?あれは簡単に解けるようになってるよ。事実、自覚してからは早かったでしょ?」


確かに、精神誘導を受けている事に気付いてからは、これを解くために動き出した。

となると、色欲がいかに恐ろしいかわかる。


「そもそも、転生ノ力ってなんのためにあったの?」

「気が付いたら、芋虫になってたって嫌でしょ?」

「…精神誘導というより、精神安定用だったの?」

「そうだよ?優しいでしょ?」


それでも、やってることは洗脳なんだよね…

…サフィーもか。


「どうして、私は、姉様に、精神…汚染を…」


サフィーが震えながら蝶の神に質問する。


「嫌われたくないからでしょ?ほとんど無意識にやってみたいだけど。」

「そう、ですか…」


サフィーは、私に抱きついてくる。


「今も使ってるね。ビーノちゃんはわかる?」

「いや、全然…」

「そうだね~、それくらい精神誘導が強いんだよ。」


サフィーは嫌われたくなかった。

その一心で、無意識に私のことを洗脳していた。


「一応言っておくと、普通の方法ではもう解けないよ?」

「え?」

「深層心理に、二度と取れないくらい染み付いてるからね。個人の意思でどうにかできる時点はとっくに越えてるんだよ。」


すると、サフィーは私に抱きついて、


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


まるで、呪詛を唱えるように謝り始めた。 

そんなに謝られても、私にはどうしようもない。


「まあ、ビーノちゃんならそのうち、色欲の誘導も消せるようになると思うよ?」

「本当ですか!?」


サフィーは、勢い顔を上げて、蝶の神に飛びつく。


「本当に姉様は、精神誘導を消せるんですか!?」

「もちろん。今は無理でも、旅を続けていればそのうち出来るようになるよ。それに…」


蝶の神は、私の方を向いて…


「もとからサフィーちゃんのこと、好きでしょ?」

「まあね。」

「…本当ですか?」

「もちろん。前世の時から、サフィーをお嫁したいくらい好きだったよ?だから、色欲の誘導なんて些事だよ些事。」


「よしよし」と、頭を撫でてあげると、サフィーの顔はみるみる明るくなっていく。

そして、自分から抱きついてきた。

私は、サフィーを抱き上げて、キスをしてあげる。


「むぐっ!?」

「今はこれだけ。おねだりしすぎないでね?」

「むぅ~…」

「じゃないと、『色欲のサフィー』って言うよ?」

「イヤ!!」


流石にこれは嫌だったらしい。

そりゃあそうだよね。

誰だって、そんな言い方されたくないよね。


「じゃあ、人が居る所では自重してね?」

「はーい…」

「よしよし。偉いわね〜」


そう言えば、サフィーの独占欲が強いのも、色欲のせいなのかな?


「そうだね。サフィーちゃんも色欲の影響を受けてるね。」

「やっぱり?」

「元々、性に関する悪感情が集まって出来たのが色欲だから、意志の塊みたいなものだね。つまり、その所有者であるサフィーちゃんも、少なからず精神汚染を受けてるね。」


それなら、私が色欲の精神誘導を消せるようになれば、サフィーの精神汚染も消せるんじゃ…

待てよ?


「ねえサフィー。私にかけられた精神誘導って、解いてしまいたい?」

「え?解かないんですか?」

「解いちゃったら、私は今まで通りサフィーを愛せる自信はないよ?」


そう、確かに私はサフィーの事が好きだけど、それは一般的な好きだ。

今の私達のように、狂える程に好きというわけではない。

だから、今まで通りサフィーを愛せる自信がないのだ。


「それは…嫌ですね。」

「でしょ?私、このままでいいいかな?って思ったの。」

「じゃあ、私も姉様にはそのままでいてほしいです!!」

「わかったわ。じゃあ、サフィーがくれた愛はそのままにしておくね。」


サフィーは、私を心の底から愛していた。

なら、私がサフィーの愛に応えてあげないと。

私は、あざとく上目遣いをするサフィーの頭を撫でてあげた。



















「よし、話しておかないといけないことは、そのくらいかな?じゃあ、神殿に帰してあげるよ。」

「ローケン達の様子は?」

「無事だよ?盗賊に襲われてもいない。」


それは良かった…

取り敢えず、早めにローケン達と合流しないと。

いつ、盗賊に襲われるかわからないからね。


「もし、新しい目的地が決まってないのなら、私が御告げを出してあげようか?」

「?」

「取り敢えず聞きましょうよ。」


サフィーは、楽しそうに私の方を見ている。

リン姉は…私が決めろっか?

どうやら、判断は私に任せるらしい。


「じゃあ、聞くわ。」

「オーケー。じゃあ、いくよ?」


すると、突然眩い光が辺りを覆った。





「あれ?ここって…」

「神殿の最上階ですよね?」

「御告げは?」


蝶の神が御告げを言う前に、古代神殿に飛ばされた。

時間切れとか?

いや、あの神がそんなドジを踏むとは思えないけど…


「ん?」


すると、私の中で何かが蠢いているような、気持ち悪いものを感じた。


「これは…転生ノ力?」

「何かあったのですか?」

「転生ノ力から、変なものを感じるのよ。」

「それって、蝶の神からもらったものですよね?」


蝶の神から…そうか!

私は、転生ノ力を使い御告げが無いか調べる。

すると、


「あった…」


今まで調べてきた中で、見慣れない物を見つけた。

私は、“ソレ”を発動してみる。

すると、私の体から光の線出てきた、蝶が出てきた。

その蝶を分かりやすく説明するなら、ガラス細工の蝶、もしくはネオン管でできた蝶かな?

そんな、幻想的で美しい蝶が現れた。

 

「綺麗…」


サフィーが、優雅に舞う蝶を見てうっとりしている。

そして、蝶はしばらく飛んだ後、強く発光して中から文字を出してきた。

その文字は、


「ア、アラビア語…」

「あれ、なんて書いてあるの?」


何故か。アラビア語で御告げが下った。

アラビア語くらいなら、私は普通に読める。


「『大帝国』跡にある国、『聖ハレリック王国』に望むものがある。しかし、それは今から十五年後に現れる。ゆっくりと、気ままに旅をすることを推奨する。…だって。」

「流石ビーノ姉様。あの程度の文章なら簡単に読めてしまうんですね!!」

「それで?その『聖ハレリック王国』に向かうの?」

「十五年後だから、ゆっくり歩いて行くのもありじゃない?」


蝶の神も、気ままに旅をすることを推奨してるんだから、寄り道しながら旅をしたほうがいい。

それに、十五年後だから、急ぐ必要もない。

私達3人で歩き旅をするのもいいかも。


「取り敢えず、ローケンの所に行って、相談しましょう。」

「そうですね。」


私達は、急ぎで神殿の外に向かった。


















「ローケン達は…大丈夫そうだね。」


周りを見ても、血が飛び散っている様子もないし、血の臭いもしない。

私達が近付くと、手を振ってくれた。


「何ともありませんか?」

「おかえりくらい言ってほしかったね。」

「それはすみません。ビーノ様達が行ってすぐに、轟音が何度も響いてきたもので…」

「あ、それ私達だから大丈夫。」

「でしょうね。」


ローケンは、私達が暴れていた事について、なんとなく予想はついていたらしい。

でも、もしかしたらを考慮していたみたい。


「それで、どうでした?」

「凄くいい収穫ばかりだったわ。」


私は、ローケン達に、神殿であったことについて説明した。


「なるほど…ビーノ様は、前世も凄い人だったのですね。」

「国が抱え込むなんて…相当だな。」

「それでね、その神が目的地の候補を提示してくれたの。」

「信託ですか?」

「う〜ん?どうだろう?」


信託というよりは、アドバイスだと思うんだけど…

まあ、信託ちゃっ、信託か…


「それでね、『聖ハレリック王国』に行けって言われたのよ。」

「どこだそこ?」

「私も知りませんね。ということは『大帝国』の?」

「よくわかったわね。正解よ。」


流石商人ね。

私が知らないってだけで、たくさんの知識を持ってるのがわかる。


「でね、望むものが現れるのは十五年後なの。」

「十五年…」

「長いな…」


そりゃあね?

生まれてから、中学校を卒業するまでの時間と同じだからね。

まあ、私達からすれば、大した事はない時間だけどね。


「そこでね、3人で歩き旅をしようかなって思ってるの。」

「歩き旅ですか…いいですね~」

「一度、交易都市に行ってから、そこで別れない?」


この旅は、目的地が一緒だったから同行しただけ。

今度の旅は、目的地が違うし、望むものも違う。

だから、一度交易都市戻ったあと、私達だけで『聖ハレリック王国』に行こうというわけだ。


「わかりました。では、次の目的地は交易都市でいいですね?」

「ええ。行ったり来たりでごめんなさい。」


私達は、ローケン達との最後の旅を始めた。

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