探索!古代神殿
古代神殿
「近くに来て、改めて見ると大きいわね…」
「本当ですね…へリスの屋敷よりも大きいんじゃ…」
「城と同じくらいの大きさがあると言われていますからね。中には、魔物が住み着いていたりするようですが。」
「盗賊も居そうね。」
そして、私達の視線がガッスに集まる。
「…ここに残れってか?」
「私達が居ない間に盗賊に襲われたらどうするの?」
「そうね。どれくらいの数の盗賊が居るかわからないから、指揮官も必要でしょ?」
「優秀な傭兵も必要ですね。」
流石に、私達三人から言われて、引き受けないわけにもいかず、ガッスは渋々残ることに納得した。
「私も、何かあっては困るので、ここに残りますよ。」
「ローケンが?」
「はい。こう見えて、弓が使えるんです。遠距離から皆さんを援護できるんですよ。」
「それで、馬車に弓があったのね。」
それなら安心…とはいかない。
私達の感知領域内に、少なくとも百以上の盗賊がいる。
流石に、これを全員相手するのは無理だろう。
…仕方ない
「じゃあ、リン姉に任せてもいい?」
「ビーノとサフィーも手伝ってね?」
「分かってるわ。サフィーもいいわね?」
「任せてください!!」
すると、リン姉は槍を取り出して、電光石火の早業で、何処かへ飛んでいった。
サフィーは、リン姉が向った方向と反対側に大量の光の球を飛ばす。
そして、飛んでいった先で球が破裂し、中から大量の光の矢が雨のように降ってくる。
私は、神殿へ向かう道の近くに居る盗賊を潰しに、身体強化を使いながら走り出した。
「ん?おんn………は?」
私は、盗賊がいる方向目掛けて、いくつもの炎の矢を放つ。
きっと、雨に濡れて服がベチョベチョになってるだろうから、私が乾燥させてあげる。
あの炎の矢は、燃え広がる炎を乗せた特別製。
あっという間に人体を焼き尽くして、盗賊達を“乾燥”させる。
途中、サフィーが飛んできて、私の背中にしがみついてきたけど、気にせず盗賊を焼きはら、ゲフンゲフン!……乾燥させてあげた。
そして、意外とすぐに盗賊は殲滅された。
「おかえりリン姉。どうだった?」
神殿まであと少しという所で、リン姉が帰ってきた。
「特にいい物は無かったわ。最近の盗賊は湿気てるわね。」
「宝石の一つや二つ持ってればいいのにね。」
我ながら、盗賊を何だと思ってるのだろう?
盗賊如きが、宝石なんて持ってるはずがないのに、それは高望みしすぎだろう。
「で?また、イチャついてるの?」
「サフィーが抱きついてきたのよ。」
「姉様しゅきしゅき〜♡」
「ね?」
「ハァ…神殿の中に入るんだから、ほどほどにしなさいよ?」
それくらい私だって分かってる。
これほど大きい神殿だ、重要な場所に違いない。
そんな所で、いつまでイチャついてると失礼だろう。
少しは自重しないと。
じゃないと、罰が当たりそうだ。
「わかったわねサフィー?」
「はいは〜い。もう少し姉様の胸を堪能したら降りますね~」
結局、神殿について、私に無理矢理降ろされるまで、降りなかった。
「五百年以上前の建物が、こんなにも綺麗に残ってるなんて…」
私は、未だに装飾が残っている壁や天井を見て、目を奪われていた。
「…」
サフィーに関しては、もはや声も出ないらしい。
ずーっと、口をぽかーんして辺りを見渡している。
「ビーノ、これ本当に五百年以上前の建物なのよね?」
リン姉は、これが五百年以上前の建物ということに疑問を持ち始めていた。
当然だ。
壁に描かれた絵…装飾?が未だに残っているのだ。
普通、雨風でとっくの昔に風化していてもおかしくない。
それなのに、なんの絵か分かるほど綺麗に残っている。
「それに、入ってすぐでこれだけ広いんだもの…全体はどれほど大きいのやら。」
「姉様、ちょっとほっぺを引っ張ってくれませんか?」
「いいわよ?」
私は、サフィーのモチモチほっぺを引っ張る。
あ〜、やわらか~い。
「夢じゃないんですね…イタタ。」
「大丈夫?サフィー。」
「大丈夫ですよ?…姉様が舐めてくれたら、すぐに治るかも知れませんね〜?」
「はいはい。」
ここからは、ちょっと見せられないから、リン姉の様子を解説するね。
私が行動に移したとき、リン姉はすごく嫌そうな顔をしてた。
『こいつら、またイチャついてるのかよ…』
そう言いたそうな顔をしている。
そして、何度も何度も私を見て嫌そうにしている。
サフィーを見ると、睨まれるのですぐに視線を逸らす。
リン姉だから何もしないんだろうけど、他のやつがこの光景を見てたら、サフィーが殺意を込めた視線を向けていたに違いない。
それどころか、眉間に光の矢が突き刺さってたかも知れない。
そして、話を戻すとリン姉は、
『まだ、やってるのかよこいつら…』
という目をこちらに向けていた。
確かに、もう辞めても十分だろう。
私は、サフィーから離れて、結局近付いてサフィーを抱きかかえる。
「さあ、出発しましょうか?」
「…もう、好きにして。」
どうやら、リン姉は諦めてるらしい。
ため息すらつかなくなってしまった。
何故か、サフィーが勝ち誇ったような顔をしてるけど、何もしてないからね?
リン姉が、勝手に諦めてるだけだから。
「サフィー、リン姉のこと好き?」
「家族としては好きですよ?」
「「え?」」
リン姉…あんたが驚いてどうするのよ。
確かに驚くけどさ、本人が驚いてどうするのよ…
「ただ、私と姉様の愛に文句をつけてくる所は嫌いですね。あと、小言がうるさかったり…」
そこはいつもと同じだ。
それよりも、サフィーが『家族としては』と、入っているものの、私以外に好きだなんて言葉を使うなんて…
正直信じられない。
何か、良くないものでも食べたんじゃ…
「ビーノ姉様…今、ものすごく失礼なこと考えませんでした?」
「考えたわね。サフィーが私以外に好きって言うなんて、信じられないもの。」
「失礼過ぎません?」
それくらい、ありえないことなのだ。
もしかしたら、この先とんでもない事が起こるんじゃ…
今から不安になってきた…
「ビーノ姉様、監視のために共鳴をかけておいてくださいね?」
「はいはい。あんまり怒らないでね?」
ここからは、サフィーに監視されてる。
私が監視してま〜す。
ほら出た。
だから、余計なこと考えたらサフィーに直接届くようになっている。
サフィーは最近太った。
姉様はどんどん貧乳になってきてる。
ね?
いつか、心の中で喧嘩になりそう。
「どうしたの?急に黙って。」
「共鳴を使ってるから、いちいち話さなくても心が通じ合ってるの。」
「つまり、お互いの思考が筒抜けってこと?」
「そうだよ?だから、いつの間にか心の中で喧嘩したるかもね。」
実際、さっきの言い合いでサフィーも私も少し不快な気分になった。
それは、お互いの思考を隅々まで覗く事が出来る、共鳴だからこそ分かることだ。
この状態では、絶対に隠し事が出来ない。
だからねサフィー、私のパンツを返しなさい。
そうですか?じゃあ姉様も私の汗を拭くタオルを返してほしいですね。
………
………
…後で返すわ(返します)
「どんな会話をしてるか知らないけど、きっとろくでもない話なんでしょ?」
「よくわかったね?」
「リン姉様は心が読めるんですか?」
「貴女達の会話なんて、大体想像できるわ。」
リン姉って、意外と鋭いのかな?
さあ?少なくともビーノ姉様よりは鋭いと思いますよ?
さり気なく貶すのやめてくれない?
ビーノ姉様は賢いですよ〜?
サフィーは気が利くね〜
………
………
また、喧嘩になりそうね。
ですね。
「ビーノ、あれ。」
「あれは?」
そこには、明らかに不自然な石像があった。
だって、通路の真ん中にあるんだよ?
普通、そんな所に石像なんて置かないでしょ?
「魔物だよね?」
「だろうね。」
「ですね。」
満場一致。
私は、試しに表面が焦げる程度の炎の球を近づけてみる。
すると、
「今、動いたよね?」
「動いてたね。」
「動いたというか、移動したですよね?」
石像が、ガタガタと揺れて、炎の球を避ける。
多分、熱かったんだろうね。
私は、もう一度炎の球を近づけてみる。
「また動いたね。」
「足生えてたね。」
「正直気持ち悪いです。」
それを聞いて、石像が分かりやすく落ち込んでる。
「やっぱり気持ち悪いです。」
すると、何故か石像から白い涙が溢れ出した。
「可哀想じゃないサフィー。」
「泣いちゃったわよ?どうするの?」
「…私を悪者にするのやめてもらえませんか?」
そう言いたいなら、どうしてあんな事を言ったのよ…
うるさいですね。本当に気持ち悪かったんですよ!
「ほら、謝りなさい。」
「嫌ですよ、あんな気持ち悪いのに謝るなんて。」
「…拗ねちゃったよ?」
石像は、ついに拗ねて壁に寄りかかっている。
なんと言うか…ずいぶん人間味に溢れる魔物ね…
でも、これもサフィーが酷いこと言わなかったら、分からなかった事だね。
それ、喜んでいいのか、怒っていいのかどっちなんですか?
「あの石像は、そっとしておいてあげましょう。」
「話しそらしましたね?」
「なんのこと?」
「姉様、自分で言ってましたよね?共鳴を発動して間は、絶対隠し事が出来ないって。」
「また、喧嘩したの?」
「「別に?」」
でも、確かに仲は悪くなってる。
だって、サフィーが生意気なこと言うから。
だって、ビーノ姉様が厳しくしてくるから。
…ナデナデしてほしい?
ほしいです。
「それは…仲直りのナデナデ?」
「いえ、ビーノ姉様が私を甘やかして、忘れさせようとしてるんですよ。普通に謝ればいいのに。」
「私が謝るようなこと無いんだけど?」
「私だって、謝るようなこと無いんですけど?…強いて言うなら、あの石像に謝るくらいですね。」
「「いや、それなら謝って来なさいよ。」」
「嫌ですね。」
どうして、あんなのに謝らないといけないんだか…
…これ以上怒っても言うとこ聞いてくれないかな?
うん、諦めよう。
わざとらしk、
共鳴を切ってやった。
これで、私の考えを邪魔されなくなる。
「チキン姉様。」
「悪ガキサフィー。」
「結局、まだ喧嘩してるのね…」
取り敢えず、サフィーを落ち着かせるために、私が背負って歩くことにした。
サフィーの増えてきた胸を堪能しながら、神殿内の探索を再開した。
数時間後
「ここが最上階…」
「この扉の奥に、一体何があるのやら。」
サフィー?私の背中でぐっすり眠ってるよ?
探索が退屈だったみたい。
まあ、ずっと私が背負ってたからね。
降りたいとも言われなかったし…
「サフィー、起きて。最上階についたわよ?」
私は、サフィーの体を揺すって、声をかけながら起こす。
すると、
「姉様がキスしてくれたら起きます。」
それだけ言って、また寝始めた。
カチーン
「じゃあ、サフィーはここに置いておきましょう。」
「「え?」」
「ここにほったらかしておけばそのうち勝手に来るわよ。」
私の冷たい対応に、サフィーは首に噛み付いて来た。
しかも、しっかり牙を立てて。
「サフィー、痛いからやめてくれない?」
「姉様が大好きって言ってくれたらやめます。」
「大好きよサフィー?誰よりも愛してる。」
「姉様…」
すると、サフィーは嬉しそうに降りてきた。
このまま喜んで貰おうと、頭をナデナデしてあげる。
「…扉開けるわよ?」
「うん、お願い。」
「ハァ…」
リン姉が扉を押して開く。
中には広い部屋があって、中央には魔法陣のようなものがあった。
その奥には、体よりも大きそうな蝶の羽を持つ女性の像があった。
「蝶の神…」
確か、私にかかっている加護一つに、蝶の神の加護があったはず。
この古代神殿は、蝶の神を祀る神殿なのだろうか?
となると、蝶の神って何者なんだろうか?
「この世界の宗教で、蝶の神なんて聞いたことないんだけど…」
マニアックな宗教なんだろうか?
それとも、古代の宗教とか?
何にせよ蝶の神がただものでない事は分かる。
果たして、聖なる神か、邪なる神か…
それは、もうすぐ分かるんじゃないかな?




