サフィーの魔力操作練習
いい話が思い浮かばなかったので、日常系に逃げる。
「よしよし〜。そのままじっとしててね〜」
「むぅ~!!」
「これが、微笑ましく思えるようになったって事は、私もかなり毒されてるのかな…」
私は、嫌がるサフィーを膝の上に乗せて、一緒に『武装』の魔力操作をする。
これをサフィーが覚えてくれれば、少しは近接戦闘の弱さをカバーできるのでは?と考えたからだ。
サフィーは、回復と支援魔法を得意とする、支援型の後衛だ。
光魔法と聖魔法で、攻撃力を補っているものの、近接戦闘ではガッスに負けるほど弱い。
女王候補としての肉体能力で、純粋な力ならガッスよりも強いけど、経験も技術も戦い方も無いサフィーでは、いくら力が強くてもガッスには勝てない。
「どう?覚えられる?」
「…やり方は覚えましたけど、かなり複雑で難しいです。」
「サフィーの、精密な回復魔法に比べたら簡単だと思うけど…」
私は、そのままの体勢でサフィーを抱きしめて、ゆらゆらと揺れる。
さっきから、無理矢理『武装』の練習をさせていたせいで、サフィーはストレスが溜まってる。
落ち着いてもらうために、優しく抱きしめて、優しく揺れているのだ。
赤ちゃんを甘やかしてるみたいだけど、サフィー曰く『赤ちゃんは、もっとも愛される存在です。だから、赤ちゃんを甘やかすように愛するということは、最上級の愛を向けられているのと同じです。』って事らしい。
正直良く分かんない。
確かに、赤ちゃんは色んな人から愛される。
それも、無償無条件の愛を。
だから、赤ちゃんのように愛されるということは、それだけ自分が愛されてるって分かる、って事かな?
…普通にそういう関係を持つほど愛される方が、沢山愛されてると思うけど…
あれかな?下心がない愛。
…下心丸出しで私に甘えてくるサフィーがよく言うね。
「サフィー、私の魔力をぐちゃぐちゃにするの、辞めてくれない?」
「だって…」
「だって?」
「姉様は、綺麗に整った物があると、壊したくならないですか?」
「…」
どこでそんな言葉を覚えたんだか…
確かに、私は新雪があったら、足跡を付けたくなるタイプだ。
それか、人の作ったドミノを、すぐに倒しちゃうタイプ。
サフィーが言ってることは、分からないことはない。
けど、自分がやられるのは嫌だ。
「言いたい事は分かるわ。でも、やられるのは嫌なの。だから辞めてちょうだい。」
「そう言われると、余計に乱したくなるじゃないですか。」
押すなって言われたら、押したくなるやつ。
分かる、分かるよその気持ち。
私も、前にサフィーに覗かないでって言われて、逆に覗きたくなっちゃったからね。
…その時は、普通にバレてサフィーに叱られたんだけどね。
撫でてあげたら許してくれたけど。
「じゃあ、サフィーは魔力を乱してて。私は、私とサフィーの魔力を整えるから。」
「いいですよ。凄く楽しそうですね!」
魔力を毛糸の編み物だとするなら、解くのにも少しは頭を使う。
適当に引っ張るだけじゃあ、絡まるだけだからね。
これで、少しでも魔力操作に慣れてほしい。
後で、あの魔力回路ルービックキューブをやらせるか。
「姉様…治すの早すぎません?」
「魔力操作の練度が違うのよ。私の魔力を乱したいなら、もっと練習することね。」
「むぅ~!じゃあ、あの腕輪貸して下さい!!」
「え!?」
凄い…あのサフィーが…“あの”サフィーが自分から魔力操作の練習をするなんて…
私は、回路ルービックキューブを、サフィーに手渡す。
そして、しばらくすると、サフィーの表情が険しくなっていき、イライラしているのが見て取れるほど、眉間にシワが寄ってる。
私は、サフィーの身体を優しく抱き上げて、膝の上に乗せる。
「手伝ってあげようか?」
「…」
「どうしたの?」
「別に、手伝ってもらわなくても出来ますよ。」
ふふっ、強がっちゃって。
私は、こっそりルービックキューブを覗いて見る。
あー、これはサフィーには難しいかもね。
「やっぱり手伝ってあげようか?」
「いいです。」
けど、今のサフィーがこれを解くのは、かなり時間がかかるんじゃ…
「じゃあ、それが解けるまで、リン姉とゲームしてるね。」
「好きにしてください。」
珍しい
あのサフィーが、私とリン姉がゲームすることを認めてくれるなんて…
「じゃあ、久しぶりに将棋でもしましょう。」
「いいわね。ビーノ、今度こそにまいったと言わせてやるわ!!」
「面白い。リン姉がどこまでついてこれるか、楽しみね。」
お互い、不敵な笑みを浮かべると、将棋盤を用意して睨み合った。
「あのー、晩ご飯は…」
「「「今、忙しいから。」」」
サフィーは、3つ目の攻略に完全にのめり込んでいる。
私とリン姉は、言わずもがなって感じかな?
血は争えないというか…集中すると、周りが見えなくなる姉妹だ。
「ビーノ、それは悪手なんじゃないの?」
「へえ?リン姉はそう思うんですか?」
「姉様、集中してるので静かにしてください。」
サフィーは、私の魔力を乱せなかった事が、よほど悔しかったのか、別人かと思うほど集中してる。
…私は知っている。あれも下心でやってるって事を。
サフィーは、私の魔力を乱すとき、身体を舐め回すようにいじる。
魔力は手足のように動かし、本当に手足のように感覚がある。
と言っても、熱さ寒さ、大まかな形を感じられる程度だけど…
それでも、身体中を触ってるのと同じだから、魔力をいじって遊んでる、という建前のもと、私の身体を触ってるのだ。
技術の発展は、戦争とエロが大きく関わってると言うけど、まさにその通りだね。
「よし!3つ目も出来た。ビーノ姉様、それをやりながらでいいので、もう一回お願いします。」
「いいわよ。」
サフィーは、私の背中に抱きついて、私の魔力を乱し始めた。
凄い…昼間とは、見違えるほど上達してる。
でもね…
「なっ!?」
「その程度では、私の身体を触れないわよ?サフィー。」
私は、サフィーを煽ってみる。
すると、
「いいでしょう。すぐに姉様を追い越して、魔力で身体をめちゃくちゃにして、骨抜きにしてあげますよ。」
「大きく出たわね?やってみなさいよ。」
どうやら、サフィーのやる気スイッチを全力でプッシュしてしまったらしい。
…下心だけど。
ま、まあ?エロは技術を発展させるって言うし?サフィーがやる気を出してくれるなら何でもいいかな?
結局、サフィーは一晩中魔力操作の練習をしていた。
「眠いです…」
「私もよ。一緒に寝る?」
「はい」
あれから三日、無事に次の街に着き、今は宿に泊まっている。
流石に三徹でリン姉と勝負すれば、体力のある私でも疲れる。
決着はまだついてないけど、眠すぎるので、一旦休憩。
サフィーもサフィーで、一度も寝ずに魔力操作の練習を続けたせいで、目の下ににクマが出来てる。
私達は、全員で一度寝ることにした。
リン姉?もう寝てるよ?
私がベットに入ると、サフィーも同じベットに潜り込んできた。
私は、サフィーを抱きまくらにしながら寝た。
「んん…寒い。」
ぐっすり眠っていると、肌寒さを感じて、目が覚めた。
よく見ると、いつの間にか服を脱がされていた。
そして、私と同じように服を脱いだサフィーが、私に抱きついて寝ていた。
「肌寒さの原因と、犯人がわかったわね…」
きっと、『姉様のぬくもりを感じながら寝たい。』とか思って、私の服を剥いだに違いない。
私は、毛布を被り直すと、サフィーに抱きついた。
サフィーが私を湯たんぽ代わりにするなら、私もサフィーを湯たんぽ代わりにする。
「姉様…大好きです。」
「私もよ、サフィー。」
寝言で私のことを好きだと言ってくれたお礼に、額にキスをしてあげた。
私は、それに満足すると、またゆっくり寝ることにした。
「姉様のスベスベのからだ〜♡」
サフィーは、歪んだ笑みを浮かべながら、ビーノの身体を触る。
途中、寒くなったビーノが起きてしまうというハプニングがあったけど、すぐに寝てくれたことで解決した。
それも、
「キスまでしてもらっちゃった〜♡」
結果的に、ビーノが起きてくれて正解だったと思うサフィー。
スースーと、寝息を立てているビーノの頬に、キスを返すサフィー。
「マークを付けるとバレちゃうから、少しだけ。」
サフィーは、いつもビーノが寝ている間に色々している。
特に、体を触るという意味で。
今のように、ぐっすり眠っている時は、特にベタベタと触っている。
こんなに愛おしい姉はそう居ない。
いや、世界に一人しか居ない。
ビーノ姉様は、私ものだから。
「こんなにぐっすり眠ってくれるなら、リン姉様とショーギーをさせるのもありかも知れませんね…」
放置されてるみたいで嫌だけど、抱きついても怒られないし、よしよしもしてくれる。
そして、疲れるとぐっすり眠ってなかなか起きない。
夜の相手をしてくれないのはあれだけど、私が一方的に姉様を愛することが出来るから、それはそれで構わない。
「ハァ…もう少し眠っててくださいね?お姉様。」
私は、寝る間を惜しんで、ビーノ姉様を堪能していました。
話が進まない…




