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交通事故にあった私、蜂になる  作者: カイン・フォーター
古代神殿と遥かなる旅の始まり
108/142

ルービックキューブ(?)と蟻

「で?結局これは何なの?」

「それを今調べてるの。ちょっと話しかけないでもらえる?」

「フフ、残念でしたね。」

「サフィーもちょっと離れてて。」

「そんな!?」


テントに戻ってきた私は、魔導具の解析をしていた。

この魔力回路、複雑過ぎて制御が難しい…

ルービックキューブでもしてるみたい…


「よし、解けた!」

「本当ですか!?この魔導具は、いったいどんな効果があるんですか?」

「えーっと?…………これは、魔力制御の練習用の魔導具みたいね。」

「魔力制御の練習?」


この魔導具は、複雑な魔力回路を自動で作り出し、その回路が正常に作動する…つまり、正しく魔力制御が出来ると、次の回路が生成されるという仕組みらしい。

つまり、脳トレならぬ、魔力制御トレーニング装置というわけだ。


「サフィーに持たせるべきね。」

「リン姉もそう思います?」

「ええ、サフィーの回復魔法は、制御技術が上達すれば、更にいいものになるからね。」

「サフィーは、魔力制御が未熟だから、全体的に魔法の効力が弱いのよね。ということで、はいサフィー、貴女へのプレゼントよ。」

「ビーノ姉様からもらえるプレゼントで、ここまで嬉しくない物があるなんて…」


勉強嫌いのサフィーからしてみれば、このプレゼントは私があげたとしても嬉しくない物らしい。

よし、早速使って貰おう。


「サフィー、一つ解いてみて。」

「え?嫌ですよ?」

「じゃあ、今夜は一緒に寝てあげない。」

「………………バカ」


流石に一緒に寝れないのは嫌だったのか、いやいや練習を始めた。

一緒にやってあげたほうが、サフィーも上手になるかな?

私は、サフィーを膝の上に載せて、一緒に魔力制御をしてあげる。


「落ち着いて。大丈夫よ、サフィーならこれくらいすぐに出来るようになるわ。」

「もっとぴったりくっついていいですか?」

「集中出来るならね。」


サフィーは、私に寄りかかって練習を始めた。

嬉しくて、制御が雑になるかと思ったけど、むしろ集中出来てる。

やっぱり。ちゃんと練習すれば、サフィーだって出来るじゃん。


「その調子よ。ちゃんと練習すれば出来るじゃない。」

「えへへ〜」

「これなら、毎日続ければもっと良くなるわ。一緒に頑張りましょ?」

「それはー…気が向いたら…」


まぁ、毎日続けろって言うのは酷かな?

それは、サフィーが慣れてからにしようかな?

にしても、このルービックキューブモドキ、ホントに使えるわね。

私も、サフィーが寝てから練習に使おうかな?


「いつまでイチャついてるの?魔物を狩るんじゃなかったの?」

「サフィーのこれが終わったらね~」

「ハァ…先に行ってるね。」


さっきもこんな感じだった気が…


















「ハァ…」


テントから離れた私は、大きなため息をつく。

あの二人の仲がいいのはいい事何だけど、だからといって、すぐに動けないのは問題だ。

ビーノはいいとして、サフィーは何度怒っても聞かない。

たまに、ビーノが一緒に怒ってくれるけど、ビーノはサフィーに甘いから怒った後すぐに甘やかす。

サフィーも、怒られたらビーノに甘えればいいと思ってるんじゃないかと心配だ。


「ビーノも、サフィーの将来が心配らしいけど、最悪ずっと養えばいいとか考えてそう。」


サフィーに、骨抜きにされたビーノでは、きつく叱ることが出来ない。

きっと、一生サフィーを甘やかすと思う。


「まぁ、サフィーもビーノの優しさ無しでは生きられない状態だけど。」


あの二人は、共依存してる。

どちらかが欠けると生きられない。

ビーノは、生き甲斐を失って自ら死を選ぶだろう。

サフィーは、養ってもらえる人が居なくなり、生き残れない。

愛というものは、恐ろしいものだね。


「行き過ぎた愛は、お互いの命すら脅かす…いや、あれは愛じゃない。狂気だ。」


あの狂った二人なら、何処まで行っても一緒だろうね。

もう二度解けることのないほど固く、(狂気)で結ばれてるから。


「アレと一ヶ月も一緒にいて、よく狂わなかったものね。」


あの狂気を間近で受けて、よく今まで狂わなかったと、自分を褒めたい。

それくらいしないと、あの二人にはついて行けない。


「この気持ちを分かってくれる、姉様達を早く見つけないと。」


二人が、血眼になって、私を探した理由がよくわかる。

自分の気持ちを理解してくれる身内が、居てほしいのだ。

あの二人は、恋人同士であり、家族として見いていない。

お互いを、家族以上に大切な存在だと見ているから。


「そこで、私に目を付けたってことか…」


お母様が死んだ以上、家族は姉妹しかいない。

だから、“家族”を探してあの商人と行動してたわけだ。


「二人の考えを理解出来たって事は、少なからず二人の狂気に侵されてるのか…」


身の毛がよだつような感覚がしたが、きっと気の所為のはず。

私の考えを理解してくれるのは、あの二人しか居ないから…

















「リン姉!!」

「分かってる!!こっちは私が殺るから気にしないで!!」

「ビーノ姉様!こっちの数が…」

「分かったわ、ちょっと下がってなさい!!」


私達は、軽く万はいそうな蟻の大軍と戦っていた。



少し前


「あら?思ったより早く終わったのね。」

「ビーノ姉様が手伝ってくれたので。」

「今度からは、一人でやるのよ?」

「じゃあ、次も膝の上でやってもいいですか?」

「いいわよ。」


こうして、すぐにイチャつきだす私達と、それに呆れるリン姉という、いつもの光景が広がっていた時… 


「…何かしら?」

「数が多い…このままだと囲まれる。」

「人間ではありませんね…ゴブリンとかでもなさそうです。」

「待って、嫌な音が聞こえるんだけど…」

「「確かに…」」


その音は、カサカサとか、カシャカシャという、昔巣でよく聞いた音だった。

それはつまり、


「虫の大軍ね…」

「ですね…」

「気が滅入りそうだわ。虫の相手は、出来るだけしたくないのよね…」


たかが虫…そう、思うかも知れないが、虫の恐ろしさを舐めてはいけない。

巨大化すればそうはいかない。

虫は、自身の体重の何倍もの物を持ち上げる力と、硬い外骨格で体を覆われ、痛みを感じにくいという。

更に、奴らには感情が無い。

つまり、恐怖で立ち止まる事も、怒りで錯乱することも、同情して手を緩めることもしない。

更に言うと、体を両断されてもしばらくは生き続ける。

生命力も凄まじいのだ。


「来るよ…」


ドドドドドドといういくつもの足音と共に、蟻の大軍が現れた。


「蟻か…にしてもデカイね…」

「全部倒しますか?」

「当たり前でしょ?きっと高い報酬が出るわよ。」

「報酬…皆殺しにしてやりましょう!!」


うーん、チョロい。

このままなら、お金をちらつかせるだけで、サフィーを言いくるめられそう。

そんなことより、現実と向き合わないと。





こうして、今に至る。


「ほ〜ら!燃えろ燃えろ!!」

「ちょっとビーノ!!森ごと焼き払うつもり!?」

「その方が楽でしょ?それに、焼けた森には新しい生命が宿るんだから。」

「だからって、そうやってすぐに燃やそうとしないで!!」

「そうですよ!!私達、誰も消化する手段を持ってないんですから!!」


サフィーにまで怒られた。

炎使いの私が攻撃して、森が燃えるのは不可抗力でしょ?

違うの?

そんなはずは…

うわっ!?危な!

私は、スレスレの所で蟻の噛みつきを回避する。


「危ないだろが!!地を這う蟻如きが、天駆ける蜂に勝てると思うなよ!!」

「え?」

「あ…」


ちょうどいい具合に、前に出たリン姉を巻き込む形で、蟻を焼き払った。

そして、炎が消えると、所々火傷して、髪は燃えてチリチリになったリン姉がいた。


「…」

「あのー、ちょっと手が滑って…」

「…」

「ごめんなさい!リン姉!!わざとじゃないの!!」

「…」


素直に謝っても、笑顔でこっちを見てくるリン姉。

サフィーに目をやると、スッと視線をずらされた。

そして、電光石火の速度で私との距離を詰めたリン姉は、


「え?」


私の胸ぐらを掴み、私を、


「あ〜!手が滑った〜!!」

「ええぇぇぇ!?」


そんなことを言いながら、私を蟻の大軍向けて放り投げた。

更に追い打ちをかけるように、リン姉の雷撃が飛んでくる。


「え?ちょっとまっ…」


私は、そのまま雷撃に飲まれた。
















リン姉の雷撃が何故かそれて、私の方に飛んでくる。

私は、それを軽々と避けて、蟻の大軍に向けて炎を飛ばす。

その炎は、分裂して着弾点を広げる。

その一つが、リン姉に向かって飛ぶ。

リン姉は、電光石火の動きで炎を回避する。


「まだ喧嘩してるんですか?」

「「別に」」

「絶対喧嘩してるじゃないですか…」


当然だよね。

お互いあんなことして、喧嘩にならない方がおかしいよ。

今、私とリン姉は絶賛喧嘩中で、この蟻共を殲滅したら、次はリン姉と戦うことになりそう。


「後ちょっとまで減りましたね。」

「そうね、もうひと押しね。」


私は、前に飛び出して精霊剣の炎を蟻に向けて放つ。

その炎は、奥にいる蟻まで届き、残りの蟻を全て焼き払った。

…雷撃が飛んでくるかと思ったけど、こなかったね。


「ビーノ」


リン姉が、私の名前を呼ぶ。

振り返ったらすぐそこまで来てるとかじゃありませんように…

私は、警戒心MAXで振り返る。

しかし、何もなかった。


「さっきはごめんなさい、ついカッとなっちゃって…」

「……………流石リン姉だね。」


私は、離れた所で行く末を見守っていたサフィーに目を向けて、すぐにそらす。


「もしかして、私と比較しました?」

「気の所為じゃない?」

「ビーノ姉様、今度は私と喧嘩したいんですか?」


サフィーが、不満そうにこっちを睨んでくる。


「ふふっ」

「もうっ!!リン姉様も何がそんなに面白いんですか!?」

「いや、貴女達はホントに仲がいいわねって。」


そういうリン姉の声は、羨ましいというより、誇らしげだった。

私達の姉だって事が、誇りに感じてるのかな?

…全然、誇れるような姉妹じゃないと思うんだけど…


「ビーノなら、わかるんじゃないかしら?素晴らしい妹の姉だって事の誇らしさが。」

「あー…確かに、サフィーは抜けてるところもあるけど、私の自慢の妹だって事に変わりはないわね。」

「それ、褒めてるんですか?貶してるんですか?」


サフィーが、何か言っていた気もするけど、気の所為だよね?

確かに、私達は色々とヤバいところがあるけど、ここまで仲のいい姉妹はそういない。

そのことを誇りに思ってるのか…


「やっぱり、リン姉は凄いね。私がリン姉の立場だったら、恥ずかしくて言えないよ。」

「当然よ、だって私は貴女達の姉だもの。可愛い妹達がいて嬉しいわ。」

「その分、わがままな妹だけどね。」

「うーん、やっぱり私と喧嘩したいんですか?」


サフィーは、今回の事でへそ曲げちゃって、なかなか許してくれなかった。

でも、いつの間にかリン姉と仲直りしてた。

最近、四千字を超えるように書いてます。

そのせいで、睡眠時間が…

寿命を削って、趣味に没頭するのは、とっても楽しいものです!

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