表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交通事故にあった私、蜂になる  作者: カイン・フォーター
古代神殿と遥かなる旅の始まり
102/142

人間の欲深さ

宿に着いたけど、やっぱりここも臭かった。


「姉様〜、消臭の魔法とか無いんですか?」

「そんな都合のいい魔法無いわよ。」

「あったら、今すぐ使ってるだろうしね。」


これじゃあ、まともに寝ることも出来ない。

風魔法で、出来るだけ臭いを飛ばさないと、本気で寝れない。

けど、シーツに染み付いた臭いはなかなか落ちない。


「取り敢えず、3人で臭いを落としましょう。」

「ほんとに落とせるんですか?」

「微々たるものだと思うけど…」

「やらないよりはマシよ。サフィーもリン姉も手を動かして!!」

「「はいはい。」」










三十分後


「ほんとに臭い落ちてます?」

「全然変わってる気がし無いんだけど?」

「さっきよりは、マシになってるよ。…多分。」

「多分じゃ駄目なんですよ…」


ひたすら面倒くさい。

本気で消臭の魔法が欲しい。

サフィーの浄化魔法で消せないかな〜…

無理だろうな~。

そんなことするくらいなら、ずっと風魔法を使ってた方がマシだと思う。


「どうするの?こんなの香水とか使っても誤魔化せないよ?」

「そうですよ!かと言って、何もしなくても臭いだけですし…」

「そんな私に言われても…」


洗濯しようにも、やるのも大変だし。

洗剤も無いし、乾かすのも時間がかかるうえに、干せばまた臭いが付く。


「これなら、街から離れた場所でキャンプしたほうがいいわね。」

「最初から、そうすれば良かったじゃないですか。」

「あの三十分はなんだったの?」

「うるさいな〜、責任を全部私に擦り付けないでよ。」


この街に来てから、臭いのせいでストレスが溜まって、どんどん険悪な雰囲気になってきてる。

早くこの街から離れないと!


「ちょっといいですか?」


ローケンが、私達の部屋の扉をノックする。


「ローケン!ちょうどいいところに!」

「はい?」

「街の外で野宿するから、私達の分は要らないわ。」

「そうですか。分かりました、こちらから言っておきましょう。それで、少し頼みたい事が…」

「頼みたい事?何かしら?」

「これを、ギルドに持っていってくれませんか?」


そう言って、渡された物は、スーツケースのような鞄?だった。

そして、その鞄はずっしりと重たかった。


「何が入ってるの?」

「ドラゴンの逆鱗ですよ。手に入れるのに、相当苦労しましたよ。」


ドラゴンの逆鱗…それ、絶対高価なものだよね?

そんなものを、ギルドに渡してどうするつもりなんだろう?


「ギルドに渡してどうするの?」

「…防音の魔法を掛けてもらえませんか?」

「いいわよ?」


防音の魔法をかけるって事は、あまり聞かれたくない話って事か…


「簡単に言ってしまうなら、賄賂のようなものです。」

「なるほどね…例の薬草を融通してほしいとか?」

「よくわかりましたね。アルベイは、ギルドと領主が採取量を管理してるので、採れる量に限りがあるんです。だから、こうやって賄賂を使って少しでも、こっちに流れて来るようにしてるんです。」


麻薬は金が動きやすいからね。

商人や、強欲な奴が取り尽くさないように、規制を掛けてるのか…

そして、競争が起こると…

…これ、得してるのって、ギルドと領主だよね?

我先にと買いに来るうえに、商人から賄賂が貰えるんだから。

規制を掛けてる奴が一番強欲ね。


「分かったわ、さり気なく渡してくるわ。」

「ありがとうございます。頼みますよ?」

「ええ、任せて。」


そう言って、二人を連れてギルドに向かった。
















「『商人用』ね?あれを聞いた後だと、目的が邪なものにしか感じないわね。」

「リン姉もそう思う?絶対賄賂の為の窓口でしょうね。」

「人間は、やっぱり醜いですね。」

「そうねサフィー、さっさと用事を済ませて、こんな所離れましょう。」


まさか、ギルドで人間の欲深さを再確認することになるとは思わなかった。

私達は、足早にその窓口ヘ向かう。


「ローカー商会のローケンからよ。」


私がそう言うと、受付嬢の目の色が変わる。

そして、小声で、


「かしこまりました。荷物はお預かりさせていただきます。」

「これからもよろしくね?」

「はい、よろしくお願いします。」


荷物は、渡した。

さっさとこんな場所から離れよう。

私達が帰ろうとした時、


「おいおい嬢ちゃん、こんな所に女だけで来て大丈夫かよ?」


荒くれ者が絡んできた。


「俺が守ってやろうか?」

「結構よ。誰かに守られて無いといけないほど、私達は弱くないわ。」

「なんだよ冷てえなぁ〜」


コイツ、キマってるじゃない。

さっきまで、吸ってたな?

面倒くさい奴に絡まれた。

薬をキメてる奴は、痛覚に麻痺してる。

そのせいで、致命傷を受けても止まらない。

だから、一撃で気絶させないと厄介な事になる。


「そこ退いてくれない?邪魔だから。」

「ひえ〜、こわ~い。」

「チッ」


無理矢理退かしたいが、そんなことをすれば、コイツに正当防衛をあえてしまううえに、ローケンの信用問題にも繋がる。

ギルド側は…チッ、対応しないつもりか…


「ビーノ、私に任せて。」


すると、リン姉が耳元で私に囁く。

そして、前に出たリン姉が軽く電撃を放つ。


「うわっ!?大丈夫ですか!?」


へぇ、リン姉って演技も出来るのね。

にしても、電気ショックで気絶させる、か…

今度から、こういう奴に絡まれた時はリン姉に頼もう。


「どうする?この人何処に置いておけばいいと思う?」

「隅にでも置いておけばいいんじゃない?どうせ、すぐに起きるでしょ?」

「それもそうね。」


私達は、コレを隅に捨ててギルドを出た。

それから、足早にこの街を離れた。









 




「んんーーー!!空気が美味しいですね〜〜!!」

「そうね~、何処かの欲塗れの街とは大違いね。」

「何処で野宿する?どうせなら、雨に濡れない場所がいいけど。」


そんな都合のいい場所この辺にあるかな?

森と丘ならあるけど…


「取り敢えず、森に行って良さそうな場所を探しませんか?」

「そうね、森に良さそうな場所が無いか探しましょう。」


取り敢えず、サフィーの案で森に行くことになった。



十分後


「ここにしない?テントが建てられそうな、広さもあるし、雨もなかなか入ってこなそうだし。」

「そうですね。ビーノ姉様はどう思いますか?」

「いいんじゃない?それじゃあ、ここにテントを建てましょう。」


こうして見つけた、いい感じの場所にテントを建てて泊まる事になった。

ちなみに、夜になっても野生動物や魔物に襲われなかったけど、サフィーには襲われた。

リン姉と将棋してたのが悪かったかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ