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プロローグ

初投稿です。誤字、脱字がありましたら報告していただけると幸いです。それではお楽しみ下さい

1年間過ごした巣が燃えていく。私は、しばらく燃え盛る巣を眺めたあと生き残った妹を連れてその場を去った。目指すは人の街。そこで人生…いや、蜂生をやり直そう。大切な妹は、私の隣にいるし、手には愛剣がある。やりようはいくらでもある。未来が明るいものか暗いものかはわからない、でも、少なくともここに残るよりはマシなはずだ。


変なことを言おう。私は蜂になった!

え? 意味がわからない? これは失礼、言葉が足らず申し訳ない。私はトラックに轢かれて死に、異世界に転生した。その転生先が蜂というわけだ。もちろん働き蜂…ではなく、女王蜂である!。すみません、嘘つきました。正確には女王蜂になる前の蜂、名前を付けるなら王女蜂という感じだ。

まだ巣立ってないし、なんなら姉妹だっている。

ただあと二週間で次の女王が決まる。私が女王になれば、独り立ちして新しい巣を作ることになる。でも、私は肝心なところから目をそらしている。それは、しま「お姉様ー!」…ハァ。

そう肝心なところ、姉妹のことである。


「何かしら?」

「何かしら? ではありません! 今日こそ私の魔法の練習に付き合ってくださいね!」

「今日こそって、昨日も付き合ってあげたでしょ?」

「昨日のあれは付き合うに入りません! せめて五時間は一緒じゃないと付き合うに入りませんよ!」


ハァ、いったいどれだけわたしの時間を取るつもりなんだろうか? そもそも女王になるには、「何をしているの?」!

そこで第三者の声がかかる。

私の姉だ。いや、姉達というべきか。

私には、三人の姉がいる。三人の姉+私+妹の五人姉妹である。その四女が私である。


「お母様から呼ばれているのにこんな所で何をしているのですか?」

「それは…」


長女の言葉に妹が口ごもる。


「どんな練習をするか相談していました、お姉様。」


私は勇気を出して声を上げた。だが、


「そう。」


返ってきた答えはそれだけだった。

すると、長女は、私達に興味を失ったように目をそらし、歩きだした。


「フッ」


次女からは鼻で笑われ、三女は、ニヤニヤしながら歩いて行った。私達はその場でしばらく立ち尽くしていた。


「ありがとうございます。」


横から感謝のに声が聞こえた。


「別にいいわよ。」


なにせ間違っているのは、私達のほうだ。

私はそれ以上何も言わず歩きだした。妹もそれに続いて歩きだした。


しばらく歩いてある大きな部屋についた。女王の部屋だ。


「遅れました。」


そう言って私達は部屋に入る。


「また、仲良くしていたようね。」

「はい。」


私はお母様の声にすぐに返事をする。


「別れが辛くなるだけよ。それだけならまだしも、女王戦の際に影響が出る、なんてことになったらどうするの?」

「…」


返す言葉が見つからない。それは妹も同じだ。

『女王戦』文字通り、女王を決める戦いだ。その方法は簡単。姉妹で戦って女王を決める。ただし、その際負けた者は勝った者に殺される。姉妹でバトルロワイヤルをするわけだ。

つまり妹を殺さないといけない。…できるわけがない。この子は、とってもいい子で、可愛らしい私の妹だ。ウザいこともあるが私の大切な妹なのだ。それに私では姉達に勝てない。強さという意味ではない。個としての強さなら、姉達を二人相手にできるくらいに私は強い。でも、妹を庇いながら、三人の姉と戦えるほどの力はない。

だから私では姉達に勝てない。

お母様はそういうことを言いたいのだろう。

その後、女王戦についての説明がお母様からされた。そして。


「以上よ。何か質問は?」


声は上がらない。


「何もなさそうね、それじゃ解散二週間後の女王戦に向けて各自訓練しなさい。」

「「「「「はい。」」」」」


そう言って私達は退出しようとする。そこで


「二人は残りなさい。」


私達は居残りらしい。まぁ理由は分かるけど。

そうして姉達が退出すると。


「さて。」


お母様が話し始めた。


「仲良くするのは好きにしなさい。でも、特に貴方は妹を庇わずに戦えるかしら?。」


やっぱりその話だ。


「できます。」


私はそう応えた。だが、


「嘘ね。声に自信がないわ。」

「…」


図星だ。でも言い返すことはできる。


「確かに妹を庇うと思います。でも、私が庇えば妹は私に強化魔法をかける事ができなす。それに回復魔法を使えばお姉様と「妹を殺せるの?」ッ!」


そこなのだ。私の一番の弱点、妹を殺せない。


「それを言えば、この子だって私を殺せません!」


なんとか言い返す言葉を見つける。


「そうね。」

お母様も頷いてくれた。でも、


「戦って勝つのはどっちかしら?」

「それは…。」


私は口ごもる。しかし、


「私です!」


妹が声を荒らげた。これには私はもちろん、お母様も驚いている。さらに妹は続ける。


「お姉様は私を殺すどころか攻撃することだって出来ません。いくら私が姉妹の中で一番弱いとはいえ、攻撃してこない相手に負ける程弱くありません!」


開いた口が塞がらない。ふだん、私以外にはいつもオロオロしている妹がこれだけ声を大きくしているのだ、驚くのも無理はない。


「私が攻撃しないとも限らないんじゃ…」

「お姉様は攻撃出来ませんよ。」


言い切られた。


「私が傷つく姿が想像できますか?」


この子いつの間にこんなに強くなったんだ? 私やお母様相手にここまで言い切るなんて。


「これならなんとかなりそうね。」


私もお母様に賛成だ。


「強さが心もとないけど、二週間で少しはマシになるかしらね。」


これは遠回しに私に妹を鍛えろと言っているのだろう。


「「頑張ります」」


言葉は同じだが意味が違う。


「そう、頑張りなさい。」

「「はい」」


そう言うと私達は退出した。


「お姉様。」

「何かしら?」

「私、頑張って強くなります。だからこれからも、私に、私の訓練に付き合ってください。」


そう言って私の方に振り返った妹の顔はまるで別人だった。


「わかったわ。私も全力で貴方をサポートするわ。」


妹が決意したんだ、私だって腹をくくらないと。私はそう決意した。



















もくもくと上がっていく煙を見てそんなことを考えていた。あの時は、こんなことになるなんて思いもしなかった。お母様は死に、姉達は何処へ行ったかわからない。でも、妹を隣にいる。もう殺し合わなくてもいい。そう思えば今の状態も悪くないかもしれない。私はふと思った。


「貴方に名前を付けてあげるわ。」


ずっと妹と呼ぶのは不便だし人の街に行くなら名前が無いのは変だ。妹が驚いた顔をして。


「良いのですか?」

「もちろん。」


私は妹を見てすぐに名前を思い付く。妹の目は蒼玉のように青い。だから名前は、


「サフィーア、貴方の名前はサフィーアよ!」

「サフィーア…」

「そう、サフィーア、サフィーと呼んでもいいかしら?」

「はい! お姉様!」


サフィーはとても嬉しそうだ。私の名前はどうするか? …そうだ!


「サフィー、私の名前はルビーノ、ルビーノよ、よろしくね。」


私の目は紅玉のように赤い、だからルビーノ。私はこの世界でルビーノとして生きてゆく。妹のサフィーと一緒に。せっかく宝石から名前を取ったんだ、私達の未来は、明るく、美しい物にしないと。そんな決意を胸に、私達は、光り輝く朝日に向かって、未来に向かって、歩きだした。          

初投稿ですが、楽しんでいただけましたか?。楽しんでもらえたら幸いです。それではまた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポがよくて読みやすいです。 ルビーノとサフィーのこれからが楽しみ。
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