帰る場所。
急に空中から出てきた私を、抱きとめてくれたテオさん。
「ヨル・・!ヨル!!」
「テオさん!!!」
嬉しい!会えた・・!!
もう会えないかと思ったけど、こうしてまた腕の中に帰ってこれた・・そう思うとすごく嬉しくて・・、胸がいっぱいだった。
しばらく抱きしめて貰ってから、ふと冷静になった・・・。
あれ、なんで私が現れるってわかったんだろう。
そろっとテオさんの顔を見ると、目が潤んでるし・・あれ??
「テオさん・・・、ここは陣営があった場所・・・?」
テオさんは首を振る。
え、じゃあ・・ここはどこ・・?
周囲を見ると、ワーズさんがそばにいて、周りは霧が立ち込めていたのに、森の周囲はすっかり晴れている。
ワーズさんはじろっと私を睨む。え、なに・・???
「君ね〜、どこ行ってたの?!あの後大変だったんだから!!」
「え?どこって・・、あの後って・・?」
私は何がなんだかよくわからなくて、まだ私を抱きしめたままのテオさんを見る。
「・・・・あの場所でヨルがいなくなって、3ヶ月経ってる」
「3ヶ月!!??」
あの一瞬で、そんなに経っていたの?じゃあ・・、魔の穴は?!あんなに大きいもの・・どうやって閉じたの?!
「魔の穴は・・」
ワーズさんは、私を見てから空を見た。
私もつられて空を見ると、大きな穴がまだぽっかり空いている。
穴・・大きくなってない・・・???
「魔の王に言って、魔物はなんとか行かないようにして貰ってるけど、全然閉じないから・・ここで、テオドルと魔法で少しずつ閉じてた。ヨルを探しつつ・・ね」
戸惑う私をワーズさんが見る。
「突然消えて、探してもどこにもいないから妖精の王様にも聞いたりしたんだけど・・・。今日、全然知らない世界から声が掛かって・・それでテオドルがヨルを呼んだら、ヨルが現れたんだよ」
「テオさん・・・」
テオさんを見ると、言葉にならないのだろうか・・、じっと私を見つめている。ちょっと照れてしまうけど、そんな長い間いなかったんなら、きっとずっと心配してくれたんだろうな・・。
私はぎゅっともう一度テオさんを抱きしめた。
「呼んでくれてありがとうございます・・、おかげで帰ってこれました・・」
「・・・ああ、おかえり・・ずっと待ってた」
金色の光はきっとテオさんの声だったんだろうな・・
そう思うと、嬉しくて・・泣きそうになった。
ワーズさんが一つ咳払いして、顔を上げると私をビシッと指差す。
「ところで、ヨルのその髪・・すんごい力が入ってるけど、どういう事?」
「髪・・・?」
「ほら!」
そういうと、指で大きく丸を描くとそこから鏡ができて、それを私に向けると髪の毛の一部が金髪になっている!!あ、もしかして・・白い丸い生き物が言ってたの・・これ?!
「お日様の力・・・」
お日様の・・・国から、こっちへ向かう私にくれた神様の力・・・。
心配してくれて、好きでいてくれて、それでも送ってくれた神様・・・、こっちへ行くよって知らせてくれたんだ・・。
神様・・、たまに恨んだり、憎んでたけど・・、ごめんなさい。
すごく好きでいてくれたんだ・・、金色に光る髪を見て、また泣きそうになる。
空を見る。
直す力をくれるって言ってた・・。
行けばわかるよって・・。
空を見ると、今ならわかる・・・。
あちこちの世界と世界の綻びが見える。
そっと天に手を伸ばしてみる。
髪がキラキラ光って、力が湧いてくるのがわかった。
手を、空を撫でるように動かすと・・、魔の穴は一瞬金色に光ってスゥッと空に溶けるように消えた。
「穴が・・」
ワーズさんとテオさんががぽかんと空を見る。
ホッとした私をテオさんが見つめるので、微笑むと嬉しそうに笑って返してくれた。・・・・その横で、ワーズさんはフルフルと震えているかと思ったら・・、
「え、なんなの?!いきなり消えて、いきなり現れて・・、もう僕、ヨルの作るお肉のやつ、大量に作って出さないと絶対、許さないからねーーーー!!!!」
ワーズさんがめちゃくちゃ怒鳴ってくるーーー!!!
す、すみませんーー!!
お肉、そんなに気に入ってたのか・・・、大量に作ります!!帰ったらね・・・。




