再度、問題発生。
しばらく、ぎゅっとテオさんを抱きしめていたら・・、そっと腕が緩む。
「テオさん?」
「・・・いや、その・・ありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
そう言って、隣に座るとテオさんがそっと抱きしめるので、私も抱きしめ返す。
「ちょっとスッキリしました?」
「・・・大分だな」
「それは良かったです」
二人で笑い合うと、温かい気持ちになる。うん、良かった・・。笑顔は大事だ。
と、私のお腹がぐうっと気持ちよく鳴った。
なんという事でしょう・・。テオさんが吹きだしましたよ。
「・・・ピーマン、多めにしましょう・・夕飯」
「手伝うから、少なめがいい」
「え〜、どうしようかな〜」
空気が和らいで、二人で台所へ行く。
手伝うなら・・というけど、この間私のお皿にそっと乗せたのを知っているんだぞ・・。と、玄関のベルが鳴る。
え?また・・・?!そう思ってテオさんと顔を見合わせる。
「こんにちは〜。お邪魔しま〜す」
呑気なジスさんの声が聞こえる・・・。
「・・・呼び出しではなさそうだな」
「ですね・・」
そう言って台所から出て玄関を見ると、ワーズさんも一緒だ。
「お二人、一緒だったんですね!いらっしゃい!」
私が声をかけるとワーズさんはぐるっと部屋を見て、テオさんを見る。
「すんごい魔法かけてあるね〜。こんだけかけてあれば、確かにヨルさん・・この家にいれば安心か」
「魔法・・?」
テオさんを見ると、さっと顔を逸らす。
「んーと、よからぬ事を企んでいる人は絶対入ってこれない魔法と、ヨルさんが転ばないよう・・と、火傷しないようにと、落ちないように魔法が掛けてある」
「テオさん・・・?」
私は子供じゃないと言うのに・・。そういえば確かに転んでいないけど・・、どんだけですか・・。
「魔法をもうちょっと違うことに使ったほうがいいですよ?」
「・・これは大事な事だ」
テオさんがちょっと目を逸らしつつ胸を張る。
いやぁ・・・そこはいいかな??ワーズさんとジスさんは面白そうにニヤニヤ見ていたので、気にせず玄関のすぐ近くの部屋へ案内する。
「・・今、ちょうど夕飯を作ろうと思ってたんですが、良かったら食べて行きます?」
「いいの?異界のご飯??!」
ワーズさん、すっごい食いつくな〜。
「いえ、こっちの食材だし・・、あ、でも味付けは確かに私の国ですけど・・」
「えー!食べる!食べる!!」
銀色の髪をぴょこぴょこ跳ねさせて、喜ぶ少年・・可愛い。見た目は。
「じゃあ、ちょっと作ってきますね〜」
そう言って台所へ行き、テオさんは・・・ジスさんとワーズさんの元へ置いていった。健闘を祈る!!あの二人のお世話は・・ちょっと無理だ。
でも、なんで突然来たんだろう・・。
ちゃっちゃと手早く野菜炒めや、甘辛に炒めたお肉を大きめのトレイに乗せて、部屋へ持っていくと、30分くらいなのにすっかりくたびれた顔をしているテオさんがいた・・。
あとで謝っておこう・・・。
お皿を渡しつつ、ワーズさんに聞いてみた。
「それで、何かあったんですか?」
早速お肉をゲットして、もしゃもしゃ食べているワーズさんは、その言葉で
「あ、思い出した」
と、言うから・・・どんだけだ。
もしゃもしゃとお肉を食べ切って、お代わりをお皿によそってから話し始めた。
「妖精の王様に、魔の穴が開くスピードが早すぎるから、魔の世界の王様に話をしてもらったんだ」
「そんな事できるんですか!?」
私とテオさんは驚いて聞いた。
だったら、そっちの世界でどうにかして!!と、即思ったのは私です・・・。
「でも、魔の世界の王様が言うには、ずっと直しているけど・・なんかこっちの世界にひずみがあるから、穴がすごい勢いでできちゃうらしいんだ・・」
「ひずみ・・・?」
ワーズさんが私をみて、ドキッとする・・。
「ヨルと、テオドルだね」
私とテオさんは、その一言でお互い顔を見合わせる。どういう事・・・・???




