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夜と魔法使い。  作者: のん
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ひとまず終了。


しばらく走っていくと、街外れの林に着く。


遠目から蝶が飛んでいるのが見えた・・。しかも一匹、一匹がでかい。色合いも蛍光ピンク・・。泣きそうになったけど、頑張りますよ・・。


林の木という木の間から、ドギツイ色で飛んでは、鱗粉がついた木を枯らしている。ひ、ひぃいいい。ぞわぞわする!!


「結構な数が飛んでいるな」


テオさんが警戒するように、周りをみる。少し、スピードを落として林の手前で馬を止めて下りる。私の手をとって、下ろしてくれたけど、できればこのまま馬に乗っていたい・・・。


毒蛾達は私達を警戒するように、飛んでいるが様子を見ているようで、近付いてこない。


ワーズさんは、魔法を唱えると、私達の足元に魔法陣が出てくる。


「毒蛾がこっちに来たら、守れるようにしたから、とりあえず抑えてみて」


そういうので、私達は馬に乗って相談しておいた言葉を同時に言う。

毒蛾達に向かって、テオさんと・・


「『這え』」


そう言うと、毒蛾達は一度体を止め、そのまま静かに落ちて動かなくなる。


「効いた・・・?!」


私が驚いて毒蛾達を見る。

後ろの騎士さん達も驚いて声を上げる。


ワーズさんは、私を呼んで林の間にある魔の穴を指さす。

真っ黒な穴は、前回見たものよりもずっと大きい。


「穴に閉じて・・って言ってみて」

「はい!あ、穴よ閉じて!!」


そう言うと、穴はあっという間に閉じた!やった!!出来た!!

ワーズさんは、口笛を吹いて、私を見る。

思わずテオさんを見ると、ライオンテオさんはうなずいてくれた。良かったー!!まぐれでもなくて、本当にできた!!


ワーズさんは、神力と呪いの力で動かない毒蛾達の側へ行って観察する。

ピクピクと小さく羽は動くけれど、起き上がれない様子をじっと見て、


「ふむ・・、毒蛾は這った状態から動かないし、このまま鱗粉だけ取ったら燃やすか」


ワーズさんが毒蛾を見ながら言うけど・・、結構えぐい事を言うな・・。

騎士さん達は手分けして鱗粉を取ると、ワーズさんが火の魔法であっという間に燃やしてしまった・・。す、すごい・・・。

燃やしてすっかり毒蛾達が退治された様を見て、


「私・・、いなくても良かったんじゃ・・」


思わず呟くと、テオさんは


「いや、魔の穴は白の魔法使いと私とで、やっと閉められるのに、あんな一言で閉じられるんだ・・。ヨルの力はすごい・・」

「そうなの?!テオさんも、ワーズさんも手早くやってるのかと思った」


目を丸くして、テオさんを見る。


「それにあの数の毒蛾を呪いの力があっても、長く留められない。すぐに檻に入れないと動き出す」

「・・・呪いの力って、魔物を抑えたりできるから、全然呪いじゃないと思うけど・・」


私が言うと、テオさんは少し黙り込んでしまう。


「・・・それだけ・・、ではないんだ・・」


ライオンテオさんだけど、顔が曇ったのはわかった。


「ごめん、テオさん・・、嫌な気持ちにさせちゃいました・・」


テオさんの手にそっと触れると、テオさんは首を振る。ちょっと辛そうな顔をしつつ、私を見る。


「・・・いずれ話す」

「分かりました」


そううなずくと、火の魔法であっという間に燃やしてしまったワーズさんの方へ向かう。うう〜・・・、なんか匂いもすごくない・・?今度、マスクでも作ろうかなって思った・・。



とりあえず初出陣は意外にあっけなく幕を閉じた。


ジスさんは、ちょっとつまらなそうに「もっと血沸き肉躍る・・とか起こると思ったのに」と、言うがそんなイベントが毎回勃発したら私はいくつ心臓があっても足りない。

それにそんなことになったら、心配性と公言するテオさんが黙っちゃいない。


ひとまず無事に終えられて、私はホッと胸を撫で下ろした。




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