喋るんだ・・ライオン。
夢を見ているのか、私はふわふわな犬に何匹も囲まれていた。
可愛い!!!毛皮を撫でると気持ちいい。こちらに一匹近付いてくるので、思わずスリスリと顔を寄せて、うっとりする。
もふもふ〜!可愛い〜!
犬でも猫でも動物は大好きなのだ。飼った事ないけど。
柔らかい毛皮がサラサラとしていて気持ちがいい。
可愛いお顔をよく見たい・・そう思って目を開けると、キラキラ光る毛皮が見える。
ん・・待てよ。
毛皮・・?
さっき見たのはライオンでしたよね。
そして、今、私を腕に抱いてるのも・・
「ライオン・・?」
金の瞳と目が合った・・。
驚いて目を丸くすると、ライオンはさっと自分の顔を大きな手で隠す。
え?逆じゃないの?自分で隠すの???
「・・すまない恐いだろうが、少しだけ我慢してくれ」
「へ・・?」
私が怖いと思ってライオンさんは、顔を隠してくれたって事・・?ポカーンと口があく。
ついでに周囲を見ると、馬車の中のようで、静かにガタガタと揺れて、どこかへ移動しているようだった。他に捕まっていた人は、毛布に包まって横になっていた。あ、そっちがいいかも・・そう思ったのがわかったのか・・、
「君は衰弱が酷くて・・」
申し訳なさそうにライオンさんが言う。
「あ、だから膝の上・・?」
静かにうなずく。
馬車は確かに静かに運転しているようだったが、時々大きく揺れて、いつの間にか打ちつけていた所が抱えられていても痛む。確かに・・床ではキツかったかも。
「・・ありがとうございます」
皆、寝ているようだったので小声でお礼を言うと、少し手をずらしてこちらをそっと見た。
大丈夫、ちょっと慣れてきた。
ライオンさんはよく見たら、顔と手足は動物だけど体は人間みたいで・・半獣人みたいな感じだった。
「これからどこへ行くんですか?」
小声でそっと聞いてみた。
「これから治療院へ行く。皆、大なり小なり傷ついているからな・・」
ライオンさんも小声で教えてくれた。・・優しいな。
「治療院・・?でも、私、お金ないです・・・」
「それは大丈夫だ。国が払ってくれるし、家にも送り届ける」
あ、そうなんだ・・。やっぱりそうなるよね・・。
「家はないんです・・」
「え?」
「家も親もいなくて、どうしようって思ってて・・」
ライオンさんは、手を下ろして私をじっと見る。
「こんなに幼いのに・・・」
「19なんで、まぁまぁ大きいです」
「え?」
今度は目を丸くしてこちらを見る。ライオンの目って綺麗だなー!呑気にそんなことを思ってしまう。
「治ってからが問題ですね・.・」
ガタンと馬車が揺れると、ライオンさんが慌てて抱えなおす。すみません・・。温かい毛皮がすごく気持ちいい。そういえば着ていた甲冑脱いでる・・。だからか〜。
「まぁ、多分大丈夫だと思います・・」
しょうがない・・いつもこんな感じだ。捨てられたり、拾われたり、なんというか人間より動物扱いされてるな。そういえば、私・・ライオンさんにお礼言ったっけ?そう思い出して、手が下ろされた瞳を見る。
「あ、私ヨルって言います。シモセ ヨルです。助けて頂いてありがとうございます。えーと・・?」
「テオだ。テオドル・ミッドラと言う」
「テオさん・・」
ライオンだから、ライさんなのかな?って、思った。
「ヨル、もう少し寝ておくといい・・」
「はい・・」
低い声が耳に心地いいなあ、そう思っていると、また眠気がやってきた。あー・・、瞼が重い、とりあえず寝よう・・・。毛皮が気持ちいいし、温かいし、生きてるし、いつかおにぎりを食べられるかもしれない。
そう思って、温かい毛皮にスリッと顔を寄せて眠ってしまった。