小さな傷。
腕がようやく治ったー!!!
長かった・・1週間ベッドに磔の刑のようだった・・。
少し赤みはあるけれど、徐々に消えていくそうだ。良かった〜。
とは言え、小さい頃に大怪我して結構な傷だらけなので、あんまり気にしないけど。テオさんは気にしそうだし・・消えるなら良かった。
動けるようになったし、早速昼食を作るべく、食堂のおばちゃんの所へ食材を貰いに行く。・・・ライオンテオさんが心配そうに見るけど、建物、隣ですからね?歩いて1分くらいですからね・・?
一緒に行くと言って聞かなかったけど、落ち着いてくれ。
「テオさん、私をいくつだと思っているんですか?!」
「・・・14・15かと」
「・・・私は19です!大人です」
「よく転ぶし・・・」
「それは、否定しませんが・・」
あ、ほら〜・・みたいな顔をしない。ちょっとチベットスナギツネみたいな顔になってますよ?
「10分以上しても戻らなかったら、迎えに来て下さいね!」
大きな籠を持って、テオさんの横をすり抜けて扉を開ける。
「ヨル!」
「大丈夫ですってば〜」
ライオンテオさんは、今日も危なっかしい私が気になるそうだ。
10分以上すると本当に迎えに来そうなので、急いで食堂へ入っていく。
「おばちゃんいますか〜?すみません!大至急、食材下さい〜〜」
「あら!元気になったの?大丈夫なの?」
「はい、お陰様で・・!ただテオさんがすごく心配するので、10分以内に戻らないといけないんです」
「あれまあ・・でも、まぁ仕方ないわね」
そんな会話をしつつ、おばちゃんはあらかじめ食材をまとめておいてくれたのか、持って来た籠に手早く入れてくれた。
「はい!夕方のもいつもの時間に来るなら、まとめておくわ」
「ありがとうございます!助かります!」
色々な食材がぎっしり入っていて、ちょっと重いけど・・ぐっと持って、すぐに仕事場へ戻ろうとすると、仕事場の建物の前で、ライオンテオさんがそわそわしながら立っている。・・・え、すごい可愛い。忠犬ハチ・・でなくテオさん・・。
思わずキュンとしてしまった・・・。
優しいなぁ、可愛いなぁ・・、そう思ってテオさんに手を振ると、小さく手を振ってくれた。なんだかすぐに側に行きたくなって、駆け寄るとテオさんが慌ててこちらへ来る。
「待ってて・・って言ったのに・・」
「走ると危ない・・」
「子供じゃありません」
「そう言ってる間は子供だと思うが・・」
「テオさんのご飯にピーマン、山盛りに入れてあげますね!」
ニッコリと笑うと、ライオンテオさんの顔が複雑そうな顔をする。・・・・最近気づいたけど、やっぱりピーマン苦手なんですね・・。憮然とした顔をしたテオさんが、私が持っている籠をひょいっと持ち、扉を開けてくれた。紳士〜〜。
「では、休んでいた間に作れなかった魔法薬の続きをしようかな」
「休み!休みを下さいね!」
「出来次第だな」
「テオさんの鬼〜〜」
そんな話をしながら、台所まで持っていってもらった食材を仕舞っている。あ、この良い雰囲気久しぶりかも。最近、テオさんがちょっと落ち込んでいたようだから、心配だったんだけど、大丈夫そう?
そう思っていた。
昼食を食べて、午後のテオさんの鬼のような指導を耐え、夕方の食材を取りに食堂へ向かう。
「おばちゃん、食材お願いします」
「あ、おばちゃんいねーんだけど、これの事かな?」
そういって、タオルを頭に巻いたお兄さんが食材をまとめて出してくれた。初めて見る人だな・・と、思いつつ籠に仕舞う。
「ありがとうございます」
「あ、君あれでしょ?呪いの奴の弟子!」
お兄さんは、私を見て思い出したように指を指す。なかなかに失礼だな・・・。
「・・・・呪いの奴・・?」
「あのライオンだよ!金の瞳って、呪いの力持ってるんだぜ?知らねーの??」
なんだか馬鹿にしたような口調で、ムカムカする。
「・・・いえ、でも呪われた事もなければ、そんな事をする人でもありません」
「え〜〜、でも前に・・」
そうお兄さんが言いかけて、急に言葉を止める。
私が、お兄さんの視線の先を見るように振り向くと、扉を開けたテオさんがそこに立っていた。




