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夜と魔法使い。  作者: のん
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工夫。


休みをあまり取らないテオさん・・。

これはまずい・・いつか倒れてしまう・・。


何とかもぎ取った休憩・・。温室にあった椅子に座りながら、何やら器材で作っているテオさんをじっと見る。


ご飯は美味しいけど・・食堂まで行くの面倒だし、何よりテオさんがあまり視線を感じるの好きじゃなさそうだし・・。でもご飯は私がいるから食堂まで連れてってくれるんだよね・・・・。うーん・・・。


「テオさん、ここって調理できます?」

「調理?・・・ああ、黄色の扉に一応、台所があるが・・」

「ちょっと見てきます!」


パッと立ち上がって、黄色の扉を開くと台所は綺麗だった。

とても綺麗・・・まったく使ってないということか・・。ささっと、周りに置いてある道具をみる。うん・・作れそうだな。

冷蔵庫っぽい白い箱を開けると、なーんにもない。そらそうか・・。


「食堂から、食材って融通してもらえるかな・・?」


温室の扉をそっと開けて中をみると、テオさんはゴリゴリとすりこぎで薬草を潰す事に夢中のようだ。邪魔しちゃ悪いかな・・・。そう思って、台所にあった大き目の籠を一つ拝借して、そっと玄関を出て、食堂へ走る。

食堂は、慌ただしく何かを作っている人達でいっぱいだ。


どう・・声をかけようかな・・、そう思っていると、おばちゃんと目が合う。


「あら、テオドルさんとこの!」

「あ、あの・・・お願いがあるんですが・・」

「なーに?何か魔法で使うの?」

「いえ・・・、あの・・」


断られたら仕方ない・・と思いつつ、なかなか仕事の手を止められないテオさんにご飯を作ってあげたいと説明すると、おばちゃんは嬉しそうな顔をして、色々分けてくれた。

調味料もくれて、ほっとした。


「テオドルさん、あんまり人前に出たくない人だからね・・」

「あ、やっぱりそうなんですね・・」

「まぁ、あれだからね・・」

「・・・・あれ?」


獣人のことだろうか?

おばちゃんは少し困ったように笑い、私の頭を撫でてくれた。

なんか・・・私、絶対子供だと思われてる。まぁ、いいや・・。その方が気が楽だし。


おばちゃんにお礼を言って、またそぉっと仕事場へ戻る。温室の扉をそっと開けて、中を覗き込むと、テオさんは今度は薬草を種類別に分けてた。大きなライオンが、ちまちました作業をする姿は、なかなかに可愛くて・・、つい吹き出してしまった・・・。


「ヨル、そろそろ休憩はいいか?」

「はい、ありがとうございます」


私が笑った姿を見て、流石に気付いたらしい・・。

笑いながら側へ行き、ライオンのふわふわなたてがみを見る。・・・こんなに綺麗なのに、何か嫌な事あるのかな?


「テオさん、私・・あとでお昼作ります」

「・・・・・え?」

「食堂で、人に見られるの・・あまり好きそうでないし。あと私、これでも料理を作れるんで・・」

「し、しかし・・」

「のんびりご飯、食べましょうよ?」


ニコッと笑うと、テオさんの耳が少しぺしょっと下がる。え、可愛い!!!


「色々、気を使わせてすまない・・・」

「それは私も同じです!お詫びにたてがみ撫でさせて下さい」

「・・・・それは無理だ」


「うーん・・・、まだダメか〜〜」


私がニマッと笑うと、テオさんは少し目を大きくする。これは、驚いてる感じかな・・・?


「ヨルは、交渉術も長けているんだな」

「どうですかね〜?純粋にたてがみを撫でたいだけですよ、きっと」


「人間に戻ったら・・・?」

「え、無理です・・・。照れちゃいます!!」



「ライオンの私も照れるのだが・・・」



テオさんがちょっと困ったようにいうので、可愛すぎて・・悶絶した。

ライオンって・・、こんなに可愛いのか・・知らなかった。





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― 新着の感想 ―
[一言] ヨルちゃん。。。。 ライオンが可愛いんじゃなくてテオさんが可愛いんだと思うゾ。 でも、確かに肉球ぷにぷに、たてがみなでなでしたい(切望)
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