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夜と魔法使い。  作者: のん
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お仕事って大変ですね。


朝食をすませると、執務室へ早速行く事になった。


テオさんはライオンテオさんに戻る。

に、肉球・・。じっと手を見たら、差し出してくれたので遠慮なく掴んだ。今日もモフモフだ。


食堂を出て、紺色の建物の中へ入って階段を上っていく。

建物の壁の中も、紺色で・・なんだか海の中にいるみたいだ。前回はあまりじっくり見ていなかったので、黒い鉄枠でできた窓から、外も眺めてみた。


「テオさん、運動場みたいな場所あるんですね」

「あれは訓練場だ。あそこの奥は馬房だ」

「あ、そっか。馬にも乗るんですね・・。テオさんは乗馬はするんですか?」

「ああ、乗れるが」

「へ〜〜、いいなぁ、楽しそうですね!」


奥の馬房をじっと見る。

できれば馬も撫でてみたい・・。出会う機会が全くなかったので、仕事に慣れてきたら触らせてもらおう。


「・・・動物が好きなんだな」

「あ、ばれました?」


イタズラがバレた時のような顔をすると、ライオンのテオさんが小さく笑う。・・・うーん、ライオンいいな。


「ここが執務室だ」


階段を上りきった所に、濃茶の扉があった。

テオさんがノックすると「入れ」と言われ、部屋へ入る。今までの部屋よりも更に濃紺の壁で、しっとりと落ち着いた雰囲気の部屋だった。


目の前のデスクには、昨日会った団長さんが座っていて、右隣のデスクにはジスさんが手を振りつつ仕事をしていた。お、お疲れ様です・・。


「ジスに言われてきたろ?悪いな・・慌ただしくて」

「いや、こっちの方がいいだろう?」

「ああ、この間摘発したグループに親玉がいなくてな・・、そっちを叩く事になった。一応、魔法を使う者もいるようだし魔法団にも同行を願ったが、その際にこの辺の魔法薬も必要だと言われてな・・」


団長さんとテオさんは、書類を見ながらああでもない、こうでもない・・と確認しあっていて、私はどうしたものかな・・と、ちょっと周りをキョロキョロしていた。あ、ランプじゃなくて、ここはシャンデリアだ〜。


「・・わかった。とりあえず魔法薬を用意しておく」

「頼む」


お話は終わったらしい・・。テオさんの手を掴みっぱなしな事に今更ながらに気付いた・・。慌てて放すと、テオさんが私を見る。


「何かあったか?」

「え、あの、手を・・お仕事中なのに、ずっと掴みっぱなしで・・すみません」


「い、今更・・・・!」


ジスさんが吹き出す。うう、すみません・・。私は恥ずかしくなって、小さくなってしまう・・。


「「ジス・・・」」


団長さんとテオさんの声が重なると、ジスさんは静かになった。・・・そうかこの二人、強いのか・・。覚えておこう。

執務室を出て、テオさんが小さくなった私の頭をわしゃわしゃと撫でる。


「何も恥ずかしい事はない、ほら」


そういって、ライオンの手を差し出してくれた。強そう。

でもって、温かいんだよね、この手・・。そっと手を掴むと、指先が握り返してくれた。嬉しくて、テオさんを見ると、テオさんもライオンだけど小さく笑ったような表情になる。


「ヨル、いくぞ。仕事だ」

「はい!」


よーし!初日頑張ります!!

温室へ行き、植物の世話の仕方を教えてもらいながら、魔法薬の作り方・・、仕組み・・など教えてもらう。


「できれば魔法薬は3ヶ月で、一人でできるように育てていくつもりだから、そのつもりで」


百獣の王・・、千尋の谷に突き落としてくる〜〜。

メモを取りつつ、作り方を教わりながら、一人で魔法薬を作った。・・できた!初日で出来た!!!


「筋がいいな・・。手先も器用だ」

「これでも、ご飯を作ったり、裁縫もしてましたから!」


・・まぁ、生き抜くために必要だったスキルですけど・・。今、こうして生かされているなら・・いっか!


「・・ふむ、じゃあ鉱石と魔石を使った物も教えておくか」

「先生〜〜、その前に休憩しましょう〜」


思わず手を挙げて提案した。そろそろお昼です・・・。休みなしで仕事をするライオンのテオさんの体力は、私は持ち合わせておりません〜〜。

テオさんは小さく笑って



「じゃあ、あと一つだけ」


「無理ーーー!!!!」



初日から、私は上司に抗議した。





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