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9ドレスリメイク作業


 悲鳴をあげるジェーンをよそに、シェリルは自分の納得するドレスづくりに励む。

 ざっくり分類した結果、一番シルエットがシンプルなドレスを選びとった。もともとシェリルは美少女なのだから、あまり凝ったものは必要ない。あと、リメイク作業をするのであれば複雑な装飾が施されていないほうがいい。


「あの…お嬢様、リメイクとはまさか…」


「うむ。まずは装飾を全部ひっぺがす」


「ああああああそんな職人が丹精込めて作ったドレスリボンがあああ」


 そのドレスから装飾という装飾を引き剥がすと、残ったのはゴツい肩当てとシンプルな胸当て、そしてそのしたに広がるスカートという形になった。


「まず肩当てが邪魔じゃ。なんじゃこのごっついヤツ。これにトゲトゲつけてタックルでもかますんか」


 いくら美少女でもそんなことをしていれば評判が地に落ちてしまうというもの。そんなことをするよりもスマートに魔法で傅かせた方がよい、というのがシェリルの持論だ。


「それでは防御力が、あああああああ」


 火魔法を使って溶接部分を溶かして剥がす。

 ちょっと形が悪くなったが、邪魔な鉄の肩当てがなくなっただけでスッキリとしたシルエットに仕上がった。

 この段階でジェーンの手を借りて、とりあえず試着してみる。


「どうじゃ? 最初の頃よりはずいぶんマシになったじゃろう」


 シェリル的にはなかなか悪くないと思う。

 しかし、この時代の流行だとか貴族の流儀はさっぱりわからないのでそのあたりはジェーンに見極めてもらうしかない。


「えぇと…はい。かなり洗練されたようには思いますが…その、肩が丸出しなのは防御力以前にはしたないかと…」


 最初のデザインよりは遥かに良くなったことはジェーンも認めざるを得なかったらしい。それでも女領主が着る服のデザインとしては不適格と思っているようだ。

 確かに嫁入り前の女性がみだりに肌を見せるのは良くないかもしれない。シェリル個人としては、前世で流行っていたミニスカートとやらも履いてみたいとは思っていたのだが。折角若くて可愛らしい容姿に生まれ変わったのだから、挑戦できるモノはなんでもしないと損だと思う。

 とはいえ、はしたないと思われてしまうのは良くない。


「確かに、わ…たしの玉の肌をそう易々と見せてやるわけにはいかんのう。

 だとすると…どれ、この辺のレースをひっぺがして、と」


 その辺りに放置してあったドレスから、できるだけ肌触りの良さそうなレースを探し始めた。


「な、何をなさるおつもりですか!?」


 もはやジェーンの台詞は悲鳴と言っても差し支えない。だが、そういったことは気にしてはいけない。

 ベリベリと音を立てて、そこらのドレスから色味の似たレースを剥ぎ取っていく。特にカーテンのようにスカート部分に巻き付けられていたやつは量も豊富で重宝しそうだ。

 十分な量のレースを剥ぎ取ったら次はむき出しの肩部分にふんわりとかけてみた。


「それでな、こうして巻き付けて…なんかいい感じにできんかジェーン」


 作りたいのはショールだ。

 肌は隠せるし、上品な雰囲気になる。一石二鳥だ。 


「それでしたらどこかで縫い止めなければ…」


「この大ぶりなブローチはどうじゃ?

 ここで、こんな感じで留めて」


「なるほど。でしたら…お嬢様少々失礼いたしますね」


 イメージを伝えるとジェーンが形を整えてくれる。どうやらやりたいことの意図は伝わったようだ。ものの数分で仮縫いが終わり、更に洗練されたデザインになる。


「確かに、こちらの方がお嬢様にお似合いですわ」


「じゃろう? これでわ…たしの美少女ぶりも際立つのじゃ」


「えぇ、あとは口調ですわね」


 にっこり、と威圧感を込めた笑みを向けられる。

 何度か、わし、から、私、に強引に直しているのを聞き咎められているらしい。確かに一人称は癖になっているようだ。

 これはパーティの時は何重にも猫を被らねばならない。


「そこは大丈夫だと言うておろうに…。まあよい、あとは任せてよいか?」


「もちろんでございますわ。着心地も最高になるよう努力いたします」


 こうしてすったもんだの末に、美少女にふさわしいドレスのデザインが決まった。

 あとは当日までに、細々とした準備をするだけになった。



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