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プロローグ

私がこの世界に来たのは今から4年前になるわ。


私が15歳の頃、中学校で授業を受けている最中に大きな地震に遭ったの。

その地震は今まで経験した中で一番大きな揺れで、瞬く間にわたしは瓦礫の下敷きになり、意識を失ったわ。

どれくらい時間が経ったのか、目を覚ますと、私は身体の至る所を鉄骨とコンクリートでつぶされて、手足は全く動かせなかった。とても怖かった。


身体は痛みを感じる機能も失われたように、何も感じなかったわ。きっともう自分は死ぬんだと思った。暗くて、冷たい瓦礫の下にはクラスメイトも沢山倒れて動かなくなっていたわ。皆死んでしまったのね、それでも意識があった私は、この時既に新しい運命に引き込まれていたのだと思う。


でも私が目を覚ますことが出来たのは、私の背中から覆いかぶさって私を守ってくれた私の姉ちゃんのおかげなの。

今はもう冷たくなっているお姉ちゃんの重みを背中に感じながら心の中で泣いた。振り返って見ることも出来ずに、ただお姉ちゃんさようなら、とつぶやき私は再び意識を失った。


でもその後不思議なことが起こったの。

私、目を覚ましたの。


目を開けるととても綺麗な天井が目に入ったわ。私は柔らかいベッドの上だった。


とても高い天井で綺麗な天使のような絵が描かれていて周りもとっても豪華なお部屋だった。お城のような、そう宮殿のような大きな窓に、見たこともない綺麗なカーテンがかかり、ステンドグラスで薄赤い光に変換された陽光が、しばらく使っていなかった私の目に優しく温もりを伝えてくれたわ。

あぁ、私生きているんだ、って思ったの。


周りを見ると、4人のメイド?が並んで私を見ていた。目が合うと、一人が慌てて部屋を出て行った。

程なく、とても綺麗な白銀色の髪をなびかせて、初老の女性が走りよってきて私を抱きしめてたわ。


「あぁ、カオリ…やっと目が覚めたのね。ありがとう。ありがとう。」


私はとても優しく抱きしめられ、私も思わず涙を流したわ。


だって、あの暗く冷たい崩れた教室はとても寂しかったから。

ここはどこだろう?そう思いながらも、私はまた眠りについたの。


ーーーーー


再び目が覚めたのめた私は自分をみて少し驚いたわ。

だって、少し子供っぽくなっているから…

髪の毛は白銀色で肌はとても白く、鏡を見たら顔は、、、絶世の美少女だわ。

目はくりくり、かおも小さく、手足は長い。


名前は天馬カオリ、そう、偶然なのかしら、私の元々の名前も香織よ。

8歳なので7歳も若返ってしまったわ。

元々の15歳の私は、男性との縁も無く、勉強ばかりしていた、所謂ガリ勉?

でも勉強は理科と数学だけが好きで、あとは何も勉強しなかったの。女子としてはちょっと変わった、うん、そうねオタクっぽい感じだったわ。


天馬家は、代々続く魔導士の家系でこの国には一人しかいない魔導士が、私を抱きしめてくれた女性、玲奈レナ様。カオリの祖母という事らしい。


玲奈様は、皆から紅の魔導士と呼ばれるとても敬われているわ。それはもう女王様のような暮らしなの。使用人だって何人いるのか数えられない程よ。


玲奈様を見て私は転生して第二の生を受けたって事を実感したわ。


元の世界の記憶は、、一部欠けているけど大体は覚えている。

きっと役にたつわ。

でもこの世界での記憶は全くないの。そう、天馬カオリの8年間の記憶が。


天馬カオリはある事故の所為で1ヶ月も眠っていたそうよ。そこに私の魂?が宿ったみたい。


私が目覚めてからすぐに、私にこの世界の記憶が無い事は玲奈様に伝えたわ。

そうしないと、何もわからないから。玲奈様は泣いていたけれど、私に記憶がない事は外では誰にも話さないようにと、これは2人の秘密だよ。といって指切りをして約束したわ。


なぜそうしたのか、それは2年後に私は理解したけれど、私を守るためだったのね。


この日から玲奈様は私にたくさんの事を教えてくれた。

この世界の事、国のこと、魔法の事。

え?魔法が使えるのかしら?と私は歓喜したわ。

まるでゲームの世界なんですもの。


この世界は元の世界の中世ヨーロッパに近い文化ね。

外にはモンスターや魔物が昔は居て魔法使いがいたらしい。しかし、平和な時代へと移り変わり、今は魔法も古代の魔道具や極々稀に発掘されるマジックアイテムによらなければ使えないの。


だけど、この世界に魔力は満ち溢れていて、この魔力を活用した魔法器具が一部生活に使われているのよ。

この魔法器具はこの世界に4人しか居ない魔導士でなければ作り出す事ができないため、王族や国の施設に使われるもので、一般家庭には普及していないみたいね。もちろんコピー品を作る事は器用な人ならできるかも?


玲奈様はその貴重な魔導士の1人で、私に魔法の知識と魔法器具の理屈を沢山教えてくれたわ。


玲奈様が調べたところ、どうやら私にも魔導士としての才能があるらしく、魔力を感じとる事ができるの。しかも、私の能力は歴代の魔導士でも最も優れていて、超優秀なのだそうだ。


玲奈様から沢山の知識を教えてもらっている時間はとても楽しかったわ。

まず文字から学ばなければいけなかったけれど、なんといっても魔法の知識なんて、魔法少女のテレビを見て育った私には魅力がありすぎよ。

でも、一番は玲奈様のニオイが好きだったの、良く思い出せなけどきっと前世の思い出の中にある匂いなんだと思うわ。

とっても落ち着くの。


そういえば私は匂いにもとっても敏感みたい。

色んな匂いが嗅ぎ分けられるのよ、これはこの世界に来てから身についたのかしら。


そしていつも美味しいおやつを作ってくれたから、私は頑張る事ができたの。


あ、そうそう玲奈様も私も純粋な人間では無いそうよ。これも2人の秘密なんだって。だからこれは内緒ね。


こうして、魔導士としてカオリの新しい人生が始まったの。


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