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第001話 『召喚者と死神』

なんか……地の文が面倒くさかったので、殆ど取り除きましたー。

(もう少し上手になったら追加する予定)



もう話の長さを少し短くすればよかった。

 目を覚ますと、冷たい床の上に横たわっていた。部屋は真っ暗でとても自分一人で場所を特定できそうにない。自分の呼吸以外無音に近く、静けさが伝わる。風や水の音は勿論のこと、一切しない。しかし、コンッコンッという足音が徐々に近づいてくる。次第に暗闇から赤い何かが見え始め、ここで初めて恐怖を感じた。

 しかし、急に足音が聞こえなくなる。安心した彼だったが、次の瞬間……。


「やっと起きたか。貴様が起きるまで何時間待ったと思ってるんだ」

 突如、目の前に現れる黒い何か。驚いた彼は尻餅をついてしまう。


「うわぁ……。が、骸骨。……スケルトン? いや、ちょっとまてえぇぇ。――死神!?」

 全身を一枚の黒い布で纏い、ほぼ白骨化状態の身体は全く見えない。目は赤く輝きを放っている。意外と靴下や靴などを履いているようで、若干気にしているのだろう。そして、一際目を惹くのは、背後に背負っている大きな鎌。


「そう驚くではない。わしはこんな見た目をしているが決して悪者ではない。ただの死神だ」

 いや、驚く前に死神の登場シーンが怖いんだよ。何、お化け屋敷に入った時にいきなり登場してくる系お化けみたいな登場してんの?


「し、死神さん、此処はどこなんですか?」

 彼は恐る恐る死神と話してみる。すると、死神は背負っていた大鎌あっさり机に置き、会話を進める。


「天地域という……言わば聖域のような場所だ。外をよく見よ、あれが何を指すかわかるか?」

 死神が指を向けた方向には、とても奇妙な大地が広がっていた。空は透き通った水色ではなく、鶴のような白色を、大地は草が生い茂っていて自然豊かという訳ではなく、燃え盛る炎のような赤色で染まっている。この大地の状態を何も理解出来ないまま、彼は死神を振り向く。


「分かりません。でも、この大地が何らかの影響を受けている……のだと感じます」

「そうか、貴様、まだ死という出来事を味わったことがないのか」

 逆に死んだことがあったら普通に怖いよ。「なんで生きてるの?」ってなるわ。


「はい、まだ死んだことないので、全く分からないです」

「やはりそうか。なら教えてやろう。此処は死者の魂を天国か地獄に分ける場所。つまり、閻魔えんま様がいる場所と同じような場所である」

 普通でも怖いのに、大鎌持った骸骨が閻魔とかいうと余計怖いわ。


「死神さんは死を味わった経験はあるんですか?」

「わしの姿を見れば分かるだろう。もう既に死を迎えている」

「そ、そうですね。死神さん、スケルトンですしね」

「ところで、貴様、名はなんと申す?」

「名前ですか? 『黒夜徽くろや・しるし』と言います。黒色の黒に、夜中の夜を合わせて黒夜です」

「黒夜というのか。わしは『死神グレム・リーパー』と申す。呼び方は、普通に死神と呼び捨てでも構わない」

 お互いの名前を聞いて少し落ち着く死神だったが、次第に険しい表情を浮かべる。


「唐突ですまない。わしは、貴様にどうしても成し遂げてほしいお願いがある」

「どのようなお願いですか? 容易な内容から困難な内容でも、お願いならしっかり取り組みますよ」

 どうせ、異世界に行って魔王を倒してほしいみたいな内容だろうな、多分。


「異世界を魔力によって支配しようとしている、『偽魔王フェイク・デヴィル』という者の討伐依頼だ」

「了解致しました。異世界で悪を働いている、フェイク・デヴィルという偽魔王を探して倒せばいいんですよね」

 いや当たったし。よりによって偽魔王か……。どのくらい強いんだろう。でも偽物だからなぁ……。


「その通り。貴様が討伐を成功させるまで、なんで協力するから安心してくれ」

「ん、何か言いたそうだな。何かあるのか?」

「……少し死神さんに聞きたいことがあります。魔王を討伐するにあたり、偽魔王について、覚えていた方が良い情報とかありますか?」

「覚えていた方が良い情報か。偽魔王は、相手のスキルやチートなどの能力を奪い取ることを好んでいるらしい」

「ありがとうございます。ところで、スキルとかチートなどって、自分にもありますか?」

「いや……まだ貴様には、スキルやチートなどというものはない。普通は、女神からランダムに授与される。しかし、此処に女神はいない。――わしが授けてやってもいいが」

「是非、お願いします。善でも悪でも、ただ、自分に似合った能力が欲しいだけなので」

 まぁ似合わなくても……正直、敵のステータスを自分のステータスの比例するようにしてくれる能力がほしいなぁ。


「貴様に似合う能力が出るかは分からない。とりあえず頑張ってみるよ」

 死神は、大鎌が置かれた机の引き出しから、赤色、青色、緑色の3色の宝玉を平行に並べ、お経のようなとても長い何かを詠唱をし始める。すると、色の付いた3色の宝玉から光が発生。暫くすると3色の光はやがて1色の光へ纏まる。そして白色の光が生まれ、その光を自分の真上から降り注いだ。

 こんなので本当に能力なんて付くのか? 凄く怪しいんだが。


「今、貴様には、『スキル・チート 無効化』というのを授与した。メリットとしては、敵のスキルやチートを無効化する能力がある。デメリットとしては、自分の能力までも無効にしてしまう。ただ、貴様は元々能力がないから平気だろう」

「あの、それでは、『スキル・チート 無効化』という能力も無効化してしまうのではないですか?」

「大丈夫だ。わしの能力は、全て魂に刻み込まれている。例え、その能力を使用しても、消えることはない」

 魂に刻み込まれてるとか、どれだけ凄い能力なんだよ。普通に考えてあり得ないだろ。女神でもしないわ。


「そういえば、貴様やけに大人しいな。どうした、私が怖いのか?」

「まぁ……そうですね。死神さんも怖いですけど、自分の発言で死神さんを怒らせたらどうしようとずっと思ってて」

 彼は小さな声で本音をポツリと声に出す。すると、死神は微笑みを浮かべながら答える。


「大丈夫だ。たとえ貴様が私に悪口を言っても受け入れてやろう。善のときならば……」

「死神さん、ありがとうございます。自分、いつもはこんな言葉良くないので……。でも敬語はしっかりしますね!」

「分かった。おっと、そろそろ貴様を異世界に送る時間だな。準備はもう出来てるか?」

「はい。いつでも準備完了してます!」

 死神さん以外だったらとことん待機するけどな。


「じゃあ、そこにある魔法陣の上に立ってくれ。異世界に送るまで数分は掛かるかもしれないが、少し待っててほしい」

「はい、分かりました。因みに転送時間って基本的にどれくらいなんですか?」

「転送は5秒くらいだ。ただ、転送するには起動に時間が掛かる、最低でも3分」

「死神さんって、ラヒィンとかツヒィットーしてませんか? もしよろしければ、連絡先交換しませんか?」

「一応、ラヒィンくらいなら持ってる。……別に貴様と交換したい訳ではないからな!」

 冗談半分で言ったんだけどまさかの持ってるのかーい。というか死神さん少しツンデレ化してるし。


「ありがとうございます。此れで何とか情報源は確保できたので良かったです。今日はお疲れ様でした」

「お疲れ……。――幸運を祈る、黒夜徽よ」

(やった、初めて人間と連絡先交換できたー!)

 彼を異世界に転送したあと、死神は天地域で再び世界を見下ろしていたという。


お読みくださいましてありがとうございます。

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