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忌み子と厄災  作者: 玲於奈
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プロローグ①

処女作です。よろしくお願いします。


「……あれが失われた伯爵家のーーー」


「……黒髪黒目なんて忌まわしいーー」


「……あの年齢ではーーー」



聞こえてくる貴族の囁き声を無視し、謁見の間を出た俺は、誰にも気づかれないようにそっと息をついた。


「や、アイク。緊張したかい?」


そう言いながら俺の肩を軽く叩く者がいた。


「思ったより全然だったよ、エルヴィスおじさん。」


振り返りつつ名前を呼ぶと、俺の育ての親であるエルヴィスは、その琥珀色の目を細めて破顔した。


「今日から君は、『アイクライ・フォン・ダンケルク伯爵』だし、歴代最年少王宮魔導師になる。ここまで目立つ表舞台に立つと、奴らもそろそろ動き出してくるんじゃないか」


すぐに真剣な表情に戻ったエルヴィスは、俺に気遣うように言った。


「そのために、今日まで待って、力をつけたんだ。寧ろ歓迎するよ。」


そう告げた俺は、王宮の中庭を目指して歩を進めた。


「今日の主役が何処に行くんだい?」


少し面白そうに問うエルヴィスに俺は鼻を鳴らして答えた。


「貴族共の好奇の視線はもう十分に浴びた。折角王宮の深部に来たんだ。中庭で少し息を抜いても、構わないだろう。」


振り返らずにそう答える俺に軽く肩をすくめたエルヴィスが、半刻後に迎えに来ると言うのを聞きながら、俺は外廊の外へと足を踏み出した。


-----------------



中庭には、色とりどりの薔薇が咲き乱れていた。

薔薇の甘い香りが鼻をつく。


「……結構キツい香りだな」


咲き誇る薔薇を横目に、俺は庭園の奥の雑木林に向けて足を進める。

雑木林に辿り着いた俺は、木陰の根元に腰を下ろした。


「やはり、目に痛い薔薇より、緑の方が落ち着くな…」


そう小さく呟きながら、この薔薇等は、王妃の指示で植えられていることを思い出し、「誰かに聞かれたらまずいな」と思った所で、背後から、パキッと枝を踏み折る音が聞こえた。


「誰だ!?」




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