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鋼鉄の獰猛、再び〜戦海の絆〜  作者: ソロモンの狐
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カルチャーギャップ

中々お話が進みませんorz

ボチボチやって行きますので、よろしくおつきあいください。


地球では絶対浴びることのない、強烈な太陽光線に焼かれながら僕は埠頭から旅客ターミナルへと歩いた。


「・・・コレ?ココがターミナル?」


目の前にはさして大きくない白い平屋の建物、見たこともないデザイン、採光用なのか壁には薄く透明な板が嵌め込まれ・・・

え?ナニ?

その透明な板が6枚嵌め込まれたモノは、なんとスライドして動くらしく一部は重なりあって壁としての機能を失っていた。

つまり建物内部が丸見え状態。

思わず左手に持っていた鞄を落としそうになる。


「これって・・・」


地球ではVRの資料でしか見た事がない、太古の建築様式だ・・・ってことは、この透明な板って板ガラス?ちょっとした衝撃で割れて、しかも鋭利な刃物状になるから地球じゃ大昔に使用禁止になったアレ?まさか現役なのか?

一瞬にして血の気が引く、旅客ターミナルと言えば不特定多数が利用する公共施設、そこにこんな危険物を使用するなんて、一体全体この星はどうなってるんだ?

それに、こんな事してたら建物内部にも外部の空気が入り放題じゃないか。

建物内に入れば清浄な空気で呼吸出来ると思っていた僕のささやかな希望はこうして打ち砕かれた。


「仕方ない、さっさと用事を済ませて帰ろう」


気を取り直し、自分を奮い立たせる為にも声に出して再び歩き出し、ターミナルの入り口へと進む。


「・・・」


おかしい、扉が開かない。


「・・・・・・」


センサー異常?故障?音声認識なのかな?


「ドアオープン」


やっぱり開かない、辺りをキョロキョロ見廻してみるけど、目の前のドアはうんともすんともいわない。

すると、さっきの窓から初老の男性が顔を出した。

「おい小僧、なにをやっとるんじゃ」

短く刈り込んだ白髪にブルーの瞳、闘犬の様な顔立ち。


「え?いえ・・・その・・・ドアが」


睨んでる、僕を睨んでる。

僕何か悪い事した?

怒られるような事した?

このドア最初から壊れてたんだよ?

僕が壊したんじゃないよ?

ちょっと涙目になる僕、だって数メートル先では闘犬がコッチを睨んで吠えてるんだもん。


「ドアがどうした?鍵なら開いとる、早く入ってこんかっ」


ほらまた闘犬が吠えた。


「でも、その・・・開かないんです。センサーか駆動部に異常があるようで」


「センサー?駆動部?・・・なにを言っとるんじゃ?貴様は」


窓から顔を出した闘犬はキョトンとした後、破顔した。


「あぁ、そうかそうか。地球じゃ何処もかしこもオートだもんなぁ」


なんか一人で納得してる。


「お前さんの肩から下がってるモンはなんじゃい、手で押して開けんか」


え?故障じゃなくて手動なの?

押すの?

スライドじゃなくて?


そっと手を添えて押してみると、ギィと音を立ててドアが開いた。


ターミナルの中は日差しが無い分少し涼しくて、何処からか不規則に澄んだ金属音が響いていた。

ターミナル内部はホール状になっていて広さは50平方メートルくらい、ガランとしていて人気はない。窓のある壁際にはベンチが並び、ホールには僕の胸くらいの高さの机がいくつか点在していた。

コレ、全部木造だ。

よく見ると机もベンチも壁も床も天井も、全部木造だった。


「ようこそ、浪漫の星リアスへ」


声の方を向くと、これもまた木造のカウンター。

カウンターには受付窓口がいくつか並んでいたが、今開いているのは闘犬おじさんのところだけのようだ、[観光用]と書かれている窓口は既に全てクローズしている。

闘犬おじさんの窓口はカウンターの一番右端、カウンターに沿って歩いて行き窓口の前に立った。

カウンターの向こうにさっきの闘犬おじさんが座って、人懐こそうな笑みを浮かべていた。


「あ、はい・・・どうも」


軽く会釈する、白い半袖開襟シャツを着た闘犬おじさんはどうやらここの窓口係のようだった。


「その格好、貴様は移住希望者じゃろ?ならコッチじゃ」


あぁ、この格好ってリアスじゃ有名なんだ。

そりゃまぁ、観光目的の人達は普通に現用スーツ着てるもんね。現地人じゃないのにこんなクラシックスタイルしてるのは移住希望者か気合いが入り過ぎた観光客くらいだもんね。

しかもこの格好はリアスでも『限られた職業』に就く者にしか着用を許されないものだからね。


「はい、よろしくお願いします」


僕は闘犬おじさんに向かい合った。


「儂は移住審査官のウィル・F・ハルゼーじゃ。

それではこれより移住審査を始める」


闘犬おじさん改め、ハルゼーさんは居住まいを正すとそれまでの笑みを消して真剣な顔付きに変わった。眼光鋭い初老とは思えない雰囲気、アレかな?これは殺気ってヤツかな?


「それでは、ペーパーをよこせ」


座ったままのハルゼー審査官に対して僕は立ったままだ。

慌てて僕はポケットから小さな記憶媒体を取り出し、失礼のないよう両手で差し出した。


「おい、コレはなんじゃい?」


アレレ?また睨まれた。

指で摘んで、そのまま屑かごに放り込まれる。


「儂はペーパーを寄越せと言っとる。記憶媒体(そんなモン)リアスじゃ使えんわい」


え?高度記憶媒体が使えない?そんな馬鹿な。

衝撃を受けて立ち尽くす僕にハルゼー審査官が一枚の用紙と棒状のモノを手渡した。


「仕方のないヤツだ、不勉強にも程があるぞ」


呆れ顔でハルゼー審査官はホールの机の一つを指差した。


「ほれ、ペンも貸してやるから書き込んで来い。今日はもう一人移住希望者がおるでな、焦らんで良いから書いて来い」


博物館以外じゃ初めて見た、これが古代の記憶媒体『ペーパー』か。

手元の頼りない記憶媒体を手に机へ向かう。


「小僧、文字は書けるな?」

小馬鹿にしたような、心配したような声が背後からかかる。


「大丈夫です、書けますとも・・・ペーパーは初めてだけど」


自分でも一抹の不安を覚えながら、僕は机に向った。


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