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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第14重力子 ワタシタチノキボウ
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何てことの無い飲み会

その場所は、懐かしいメンバーと共に現れた。

池上と永原は最後の晩餐を楽しむ・・・。

いつもの永原の家だった。

週末は、大学で一通り勉強や研究を終えると、みんなで集まって飲み会をする場所だった。

永原の家に集まるのは、それなりに部屋が大きいからだ。


「~~~っていう、話なんだけど、どうっどうっ!?」


雪ヶ谷しずくが話をしてきた。


「何がだよ、どうっ、どうっ、だよ・・・。相変わらず猫耳か、好きだなぁ。」


荏原 真一は、あきれ顔だ。


「雪ヶ谷、止めろよ~~。もう昔の話じゃないか~~。」


大崎 孝治は、この話にうんざりしていた顔をしていた。


「まあ、色々あったけどさぁ、前を見て歩こうぜ?」


永原 秀人は、相変わらずクールだ。

だけど、お前が言うなよって顔で荏原がにらんでいる。


「君たちには、悪いことをしたよね・・・。」


戸越 准教授が気まずそうに話した。


「先生っ、忘れましょうよっ!!」

「しずく・・・。」


「おい、池上。お前はどうなんだよ。」


「うん?荏原・・・、どうって、みんな大変だったよね・・・。」

「ぷっ!何をまとめているんだよ。」


荏原は吹き出してしまったようだった。


「しかし、なんだ?この場所は・・・?」


永原が、この場所を客観的に見つめて話した。


「さあ?よく分からない・・・。お前の家だろ・・・、多分・・・。」


「どうでも良いじゃんか。最後だろ?飲もうぜっ!」


荏原は、暗い話が嫌いだったから、話を遮ってしまった。


「そうだっ、そうだっ!飲んじゃおっ!かんぱ~~いっ!」


しずくは、相変わらず明るい口調で、その遮断した会話に乗っかってきた。。


「あはは、乾杯・・・かな・・・。」


戸越先生も合わせるしかないな、という口調だった。


「そうだねっ!乾杯っ!」


僕もこれに乗っかった。


「まあ、みんな死んじゃったけど、面白かったよな?」


荏原が自分の人生を振り返って話し始めた。


「で、でも、僕たちの人生って、短すぎだったよ~。(出番もないし・・・。)」


大崎は、やはり早すぎた人生の終わりを嘆いている。


「まぁな、でも仕方ないさ。」


荏原の性格はさっぱりしているな・・・。


「ううん、私は幸せだったよ~~っ!」


しずくが大崎を否定するように話した。


「そりゃ、お前はリア充だったもんなっ!」


荏原がすかさず、突っ込みをいれた。


「えぇ・・・、いや・・・、ブツブツ・・・。」


戸越先生は照れるしか無いようだった。


「みんなお疲れ様ってことか?」


永原がまとめたように話した。


「だけどさぁ~、お前が変な発明するからこんな事になったんだろ?自覚しているのかぁ?」


さっぱりしていた荏原だと思ったけど、永原には突っ込みを入れたかったのかもしれない。


「まぁな・・・、やり過ぎた・・・かな。」


「そうだよ。やり過ぎだよ。」

「そうだよ~。」

「そうだ、そうだ~っ!先生が一番の被害者なんだからっ!」

「えっ、いや・・・、僕は・・・、す、すまなかった・・・。ブツブツ・・・。」


みんなで永原に突っ込み始めた。


「う、ううん・・・。も、もう良いだろ・・・。終わったことじゃないか・・・。」


珍しく永原が言い負かされていた。


「二人はどこに行くのぉ?」


唐突にしずくが僕らに聞いた。


「それが分からないんだ。本当に分からない。」


永原が言うように、どこに行くのかさっぱり分からなかった。


「なんだ、そりゃ~。どこに行くか分からないって、そんなことってあるのかぁ?」


荏原は、笑いながらそう話した。


「まあ、良いんじゃないか?お前らこそ、どこに行くんだよ。」


そうだ、みんな突然の死で何も事情が分からないまま彷徨っていたはず。


「俺達は天国ってやつに決まっているだろっ!」


荏原は自信満々に話した。


「そ、そうだね。」


大崎が少し自身がなさげなのは何でだろ。


「ぼ、僕も池上君のお陰でかなり反省できたよ・・・。あ、ありがとう・・・。」


戸越先生は、すっかり元の性格に戻っていた。


「そうですか・・・、みんな良かった。」


僕はほっと胸をなで下ろした。


「さっ、名残惜しいけど、行くか、池上。」

「そうだね。」


「そっか、みんなバイバイだね・・・。」


しずくは、少し寂しげに話した。


「ああ、またな。」

「来世で会うのかな。」

「どうだろな。」

「また会いたいね。」


「じゃあ、また・・・。」

「また・・・。」


僕と永原は、誰が与えてくれたのか分からない、この飲み会を後にした。

そして、僕は、また行く当ての無い旅に出かけた・・・。


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