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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第14重力子 ワタシタチノキボウ
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科学バカ達は最後に笑う

インフェルノの塔を目の前にして池上は、最後の奇策を実行に移す・・・。

全てを吸い込み始めた塔は、空気を動かしているため、ますます風が強くなっている。


そんな中、僕は、この巨大な塔を消す方法を考えていた。

僕と愛那の力でイマージュ達を消すことは出来た。

だが、この塔は大きすぎて無理だ・・・。


「永原・・・、永原っ!!!」


僕は、永原に問いかけた。


「永原はいねえよぉぉぉっ!!」

「いや、永原は、そこにいるっ!」

「・・・あぁ・・・、いるぜ・・・。」

「勝手にしゃべりやがってぇぇぇっ!黙れぇぇぇっ!」

「・・・は、はやく・・・や・・・れ・・・。」


永原は全て分かっているようだった。


「す、すまない・・・。」

「・・・い、いいんだ・・・、お、俺が・・・蒔いた・・・種・・・だ・・・。」

「勝手にしゃべるんじゃねぇって言ってるだろうがぁぁぁっ!!!」


永原は、全てを理解して、僕のこれからすることを容認してくれた。


「良子さん、力を借りるよ。」

「えっ、えっ、えっ?!は、はいっ!!!(うれしい、にゃっ!!!)」


<<1ページの重みっ!!!>>


僕は良子さんの力で、紙を大量に放出して、永原の身体を覆い、自由を奪う。


「や、やめろぉぉぉっ!!!」


霊体では動けなくすることは困難だった。

だが、悪魔が永原の身体を乗っ取ったために、動けないようにすることが出来た。


「とっきょも頼むよ。」

「おうっ!」


<<零時零分!>>


僕はとっきょの長針、短針で永原の身体をつかむ、永原の身体を無理矢理インフェルノの入り口、

つまりブラックホールの中に運ぶ。


「な、何をするんだぁぁぁ、や、やめろぉぉぉっ!!!!やめろぉぉぉっ!!!!」


一つ・・・、一つだけヒントがあったのだ。

戸越先生がペンションで死んだ時、彼の創造物でもあり、彼の身体でもあったペンションは消えたのだ。

恐らく、創造した者の"死"で、創造したものは消えてしまう。


"死"、つまり、生きている人間と肉体とを結ぶシルバーコード、これを切るのだ。

永原は身体を乗っ取られたとはいえ、まだシルバーコードで身体と結ばれている。

だから、創造物は消えないのだ。


この計画の弱点は、悪魔にヘッドギアを奪われてしまっている点だった。

肉体を傷つけただけでは、別の肉体を作り、永原ごと、そちらに移ってしまう。

だから・・・。


「池上・・・、ブラックホールに・・・入る科学者ってのは・・・貴重・・・だぜ?」

「そうだな。おまけもいるが。」

「やめろぉぉぉ、何をするぅぅぅっ!!!」


この悪の元凶を消し去ることの出来る唯一の方法は・・・。


「ふっ・・・、違い・・・ない・・・。」

「・・・俺達、どうなるのかな。」

「分からない・・・な・・・。ホワイトホールが・・・あって、そこに・・・出るのか・・・、いや・・・、その前に・・・。」

「身体が、摩擦に絶えられなくて燃え尽きるだけか・・・。」

「そう・・・だな。魂って・・・やつは・・・どうなるのか・・・。」

「分からないね・・・。」

「たださ・・・、楽しみ・・・でも・・・あるぜ・・・?」

「・・・?」

「科学者が・・・実験体となって、ブラックホールに・・・吸い込まれる・・・んだ。

自分で・・・検証が・・・出来るって・・・こと・・・だ。」

「あははっ、科学バカな奴だ。」

「そう・・・だぜ・・・、俺は・・・マッドサイエンティスト・・・だからな。」

「違いないっ!」

「ふっ・・・。」

「あははっ!」


互いにどうなるかを楽しみにしている。

これも科学への探究心なのだろうか。

そんな科学者の笑う声も、ブラックホールに吸い込まれていく。


「お前には・・・迷惑を・・・かけ・・・たな。」

「いいや、大丈夫だよ。この国を守るのが使命だった。本当はお前と一緒に文明を進化させる役割だったんだぜ?」

「そう・・・だった・・・のか。」

「だけど、お前が無茶するからさ。愛那と協力してお前を止める方向に変わってしまったんだ。」

「そりゃ、悪かったな・・・。・・・愛那か・・・、最後に会えて・・・良かった・・・。」

「そうか・・・。」

「そ、そうだ・・・。」

「うん?」

「俺の・・・妹を・・・呼び捨てに・・・する・・・なよ。」

「そ、そうか・・・、な、馴れ馴れしかったかな・・・?」

「そう・・・だぜ・・・。ふふっ・・・。」

「あははっ・・・。」


-----


こうして、池上さんと、お兄ちゃんは、インフェルノの塔に吸い込まれていきました。

私たちを苦しめていた、元凶である悪魔も、この力には抗えなかったようでした。


程なく、塔は消えて、何も無かったように辺りは静まり返りました。


・・・池上さん・・・。

・・・お兄ちゃん・・・。

・・・ううぅぅぅ・・・。


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