大いなる決定
少し前の時間
離れた場所から、見ているしか無かった愛那は、師匠の帰りを待っていた。
彼女から発せられた言葉に愛那は絶句する・・・。
私は、戸越さんの放ったダークマターと呼ばれる物質で、池上さん達から遠く離されてしまっていました。
近づけない状態のまま、遠くから見ているしかありませんでした。
一度天国にお帰りになった師匠が、あの神様達にご相談しに行って、戻ってこられました。
「上の判断で、文明を消すという事が決まってしまった・・・。」
「えっ?!文明を消す・・・?それってどんなことになるんですかっ?!」
一瞬、師匠の話していることが理解できませんでした。
「地下のマグマを活性化させるって・・・。
文明を安定化させるために、地球の意思でマグマの動きを安定化させていたけど、それを活性化させるって・・・。」
「マ、マグマを活性化・・・?つ、つまり・・・?」
「地殻が大きく動く・・・。
地球上のあらゆる大陸が割れたり、沈んだり、盛り上がったりする・・・。
あらゆる火山が噴火する・・・。
マグマの活性で、地球を覆っている磁場も乱れてしまう・・・。」
「そんなことになったら、太陽風が・・・。」
地球の磁場は、プラズマ(荷電粒子)である太陽風から地球を守っている。
そんなことをお兄ちゃんから聞いたことがありました。
「そう・・・。太陽風が直接地球に降り注ぐことになる。
それに、恐らく磁場が乱れて、ポールシフトを起こしてしまう・・・。」
ポールシフト・・・、地球のN極とS極が逆転してしまうこと・・・。
「マグマの活性化で、地軸も動くって・・・。」
「そ、そんな・・・。地球環境が大きく変わってしまって、地上に生きている生物のほとんどがいなくなってしまいますっ!」
「だけど、悪魔の世界が広がってしまうよりは・・・。」
私は涙が止まらなくなってしまいました。
「うぅぅ・・・、そんな・・・。」
「・・・。」
私も師匠も下を向いて何も話せなくなってしまいました。
「し、師匠・・・。」
「・・・なんだい?」
「私たちは失敗してしまったのでしょうか・・・?」
「・・・。」
「彼らに負けてしまったのでしょうか・・・?」
「・・・。」
「私たちは・・・。」
全てが無駄になってしまったのでしょうか。
私たちの努力は無駄だったのでしょうか。
「・・・愛那、ダーク何とかってのが消えたみたいだ。取りあえず、あの人のところに行こう。」
「は、はい・・・。」