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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第13重力子 ボクハ ミンナトトモニアル
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第八圏 第九の嚢

インフェルノと呼ばれる塔は、地獄に落とす入り口になっていた。

そこでは、人間の持っている闇を増幅させる。

戸越は僕をそこに落とすことで、同じ苦しみを味合わせようとしていた。


「戸越、僕は母親には感謝すらしているんだ。」

「はぁ?!・・・か、感謝だって?」

「あの時の苦しさが、今の自分を作っているって事が分かった。」

「じ、自分を作っただって?不幸に落ちたあの状態が、幸せだったというのか?!」

「違う、そうじゃない・・・。あの時は苦しかった。だけど、それが自分を形成するための試練だったということなんだ。」

「試練・・・。で、では、この時はどうだったんだっ!!」


<<第八圏 第九の嚢!!!>>


また、同じように塔が現れて、8層目の扉が開くと、僕は吸い込まれるように塔の中に入れられた。


「次は全ての自由を奪われたことを思い出せっ!」


あの病院にいた記憶が蘇る。


僕は精神科病院で自由を奪われた。

何も出来ず、何も考えることも出来ない環境だった。

与えられた薬は、力を抑えることが出来たが、考えることするおぼつかなくなり、病院の外に行くことは許されず、

身体も心も縛られた生活だった。


この頃の僕は何が出来たのだろうか。

自ら逃げるという選択肢は本当に取れなかったのだろうか。


この時の僕は自分への罪の意識もあった。

"それ"は僕にこうささやいた。


「お前は周りを破壊する破滅者だ。だから縛られて当然なのだ。」


僕は生きている限り周りを不幸にする。

精神分裂の症状は、周りを不安にさせる。

僕の力は他人に怪我をさせる。


「僕は存在してはいけないんだ・・・。」


だけど、そこに現れた一条の光。

否定した自分をそんなこと無いよって言ってくれた。


「普通に決まっているじゃないっ!!!」

「もう、バカバカバカッ!見捨てられていい人間なんてどこにもいないのよっ!」


暗い部屋に差した光は部屋中に広がって、僕にまとわりつく全ての闇を払ってくれた。


あなたは、僕を見つけてくれた。

そう、愛は他人への関心から始まる。


あなたは、僕を病室から出してくれた。

そう、愛は人を縛らない。


あなたは、僕をあの病院から抜けさせてくれた。

そう、愛は人を自由にする。


彼女から教わったのは、そんな人間の優しさだった・・・。

これは恋愛とは違う愛だった・・・。


僕は愛されていた事に感謝した。

すると、僕は"今"に戻っていた。


「何で・・・?何でそんなにすぐ戻ってくるんだ・・・。」


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