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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第12重力子 「アタラシイ イエ ハ ナニヲモタラシタ?」
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定職

良信に先に帰って欲しい言われたホームレス達、その帰りの会話。

彼らの子どもがもたらした、もう一つの幸運とは・・・。

Zは、先に帰れと言うから仕方なく帰ることにした。

少し心配だが、身体もしっかりしたZ・・・、いや、良信だから大丈夫だろう。

奴なりにけじめを付けることにした、ということだろう。

あの弱々しかった良信が、ここまで強くなったのは、一応我々のお陰だろうか。

こんな浮浪者共が集まって子どもに教育をして、良信に悪い影響が無いか気が気じゃ無かったが、

それなりの効果をもたらしようだった。


そんな帰り道、弁護士の櫻井さんから話があった。


「池上さん、こんなことしていないで仕事をしたらどうだい?」

「こんなことって、良信に怒られるぜ?」

「うん?そうなの?」

「ああ、何だかんだ言って、あいつは俺達を尊敬してくれているみたいだからさ。」

「そりゃ、すごい。まあ、でもさ、定職に就いた方が良いって。」

「う~ん、でも、もうこんな歳だからさ。」


すると、櫻井さんは、真剣な面持ちでこちらを向いた。


「うちにおいでよ。」

「えっ?」

「うちの事務所で働きなよ。」

「・・・でも、いいのかい?」

「良いに決まっている。丁度、一人事務担当の人が辞めちゃってさ。困っていたんだ。」

「しかし・・・、自分はいい歳で、うまく仕事が出来るか・・・。」

「まったくっ!心配しすぎだよっ!」

「そうかい?」

「というかさ・・・、」


そういうと、少し呆れたような、それでいて、嬉しそうな顔をしてこう言った。


「親父になったんだろ?」

「・・・あぁ、あぁ・・・、そうだったな・・・。」

「明日、事務所に来なよ。」

「分かった。良信のためか、仕方ないな。」


「そうだよっ!親父さんっ!」

「Jさん・・・、ちぇ・・・、何だか照れるな・・・。」


「良かったじゃないか、Aさ・・・、じゃない池上さんかな?」

「う、う~ん、ありがとう。Dさん。」


櫻井さんは、他の奴らにもこう言った。


「皆さんのお仕事も探しましょう。少し待っていて下さいね。」

「えぇ、本当ですかっ!」

「そりゃ、ありがたい。」

「助かります。」


何だかKさんだけ、乗り気じゃ無いな。


「えっ・・・、今の収入す、すごく良いんだけどなぁ・・・。」

「駄目ですよ。Kさん。ま・じ・めに仕事しませんと。」

「Hさん・・・、あ、あなたは何を知っているの・・・ですか・・・。」


「そうだよ、Kさん。一緒に定職に付こうよっ!」

「Dさん・・・、は、はぁ・・・。」


俺はこの光景を見て思った。


良信・・・、お前、すごい奴だな・・・。

縁結びの神様どころか、幸運の女神ってところだな・・・。


でもまだまだ、教えたいことが俺達にはあるんだ。

明日から、ビシビシいくぞっ!良信っ!


余話が続いていますが、これで終わりです。

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