表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第12重力子 「アタラシイ イエ ハ ナニヲモタラシタ?」
76/105

縁結び

Zの次の恩返しは、料理をすることだった。

一緒に食事をすることが多くなった彼らが気づいたこととは・・・。

あの母親のお陰かもしれないが、僕は簡単な食事ぐらいは作ることが出来た。

中古の炊飯器も買ってきてもらって、ご飯を炊いた。

さすがにレンジは電力が足りないのか、動かなかった。


「おい、Kさん、これ壊れているんじゃね?」

「いや、中古品だけど、確かに動くはずだよ。電力が足りないのかなぁ・・・。」


Kさんは、例の電源を延長してくれたのだが、電源が足りていないようだった。


「おかしいなぁ、抵抗を付けすぎたかな。あとで直しておくよ。」


Kさんは、何とか直してくれたようで、レンジも使えるようになった。

そして、ガスボンベを使って火を使った料理も作れるようになった。


その甲斐あって、夜7時は、五人のホームレスが、集まって食事する時間になった。


「リフォームで金がかかったが、食事代が大分浮くようになったなっ!」

「Aさん、リフォームって言ったって、Zがやってくれたから、タダだったじゃないかっ!」

「ありゃ、そうかっ!リフォームじゃなくて、お風呂に行くようになったから貯金が減っちゃったのかなぁ。」


「そいや、Kさんも大分身なりが綺麗になったよなっ!」

「ええ、まぁ、Zのお陰ですね。」

「そうだ、そうだっ!Zにお礼をしないとなっ!」


こんな会話が連日繰り返される。

それを僕は楽しく聞いていた。


「いえ、僕はもうたくさんもらっていますよ。」

「はぁ、なんだ?何をもらっているんだ?」


「勉強を教えてもらっていますし、身体も鍛えてもらっています。」


「はぁっ!言うようになったなっ!確かに身体もしっかりしてきたし、俺のお陰かなっ!」

「Dさんの言うとおりですね。良かった良かった。」

「Hさんもみんなと食べるようになったし、何か家族みたいだな。」

「家族か・・・。」

「・・・。」


Aさんの家族って言葉で、みんな黙り込んでしまった。

家族を失った彼らは、僕を迎えることで、小さな家族になっていった。

彼らは、それをしみじみとと感じていた。


「Zが、みんなを結んだのかもしれないなっ!」

「あはは、そうだなっ!」

「よしっ!お前は俺らの子どもって事にしよう。」

「お、良いねっ!」


「僕が、皆さんの、こ、子どもですかっ!?」


「いや、僕はまだ結婚していませんが・・・。」

「Kさん、結婚していなかったのか。まあ、良いじゃないかっ!」

「はぁ・・・。」


「Zさんが、みんなをつないだのです。縁結びの神様ですね。それに、子はかすがいって言いますからね。」

「Hさん、さすがお坊さんは言うことが違うねぇ。でも縁結びって言うと、結婚相手を見つけてくれるみたいだな。」

「あはは、次は結婚相手も見つけてくれそうだなっ!!良かったな、Kさんっ!」

「はぁ・・・。」


みんなは自分達のことを人生の落伍者って、言ってるけど、そんなこと無いと僕は思っていた。


かっこよくて、

強くて、

頭も良くって、

色々教えてくれて、

僕のことを考えてくれて・・・。


僕はこの人達をだんだん好きになっていった。

ちょっと臭いのが玉にきずだけど・・・。


「さぁ、食べて下さいっ!」


「おうよっ!」

「食べましょう、食べましょうっ!」

「いただきますっ!」

「今日のもおいしそうですねっ!」

「いただきます。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ