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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第12重力子 「アタラシイ イエ ハ ナニヲモタラシタ?」
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恩返し

ホームレス達との奇妙な生活が始まった。

だが、ある日、ZはAから注意を受ける・・・。

あてにしていた場所は、何も無く、行き場を失った僕は、ホームレス達と共に生活することになった。

この電車が通る橋の下は、浅い川が流れ、川辺は草が生え、その段ボールの家は自然に溶け込んで存在していた。


僕は、ここに来た翌日から、それぞれ家を巡回しながら、色々教えてもらうようになる。

Aさんは、人生論を教えてくれた。

Dさんは、中学校の勉強を教えてくれた。

Jさんは、身体を鍛えてくれた。

Kさんは、パソコンの使い方を教えてくれた。

Hさんは、あの世とかこの世か不思議なな話しを聞かせてくれた。


こんな毎日が充実した事はなかったので、嬉しくて仕方が無かった。

僕はあの力も使えなくなった事もあり、生きるための勉強に集中できるようになっていった。


だけど、ある日、Aさんから注意を受けた。


「おい、Z、お前、掃除してくれないか?働かざる者食うべからずだ。」

「た、確かに・・・。僕は働いていない・・・。」

「まあ、勉強は今のままで良いんだが、少しは働くって事もしないとな。」

「はい。」

「良いか・・・、Z、働くってのは世の中に恩返しをするって事なんだ。」

「恩返しですか・・・。」

「そうだよ。人間は何だかんだ言っても、相互に協力し合いながら生きているんだ。

だから、感謝して恩返しをしなくちゃならないんだよ。

こんな浮浪者でも、生きている限り、社会から何かの恩恵を受けているんだよ。」

「なるほど・・・。」


香織さんや、ここにいるホームレス達から、色々としてもらってばっかりだったから、この一言は身にしみた。


「掃除か・・・、確かにここは、汚くて、しかもかなり臭い・・・。この匂いには耐えきれない・・・。」

「う、うむ・・・。相変わらずはっきり言うな。」

「分かりましたっ!掃除しますっ!!」


この時から、15時ぐらいまでは勉強を色々な人から教えてもらって、そのあとは掃除をする時間にした。


匂いの根源は、服と部屋の下にひいている布団であることは確実だった。

僕はお金をもらって、部屋の布団とボロボロの洋服をコインランドリーで洗うことにした。


「う~ん、それでも臭い・・・。」

「そうかなぁ、臭いかなぁ。」

「はい、とても・・・。」


あとは、この段ボールか・・・。

僕はコンビニに行くと、買い物をせず、段ボールをもらってきて、家を形作る段ボールを変えていった。

この段ボールの家を作る"技術"は、後々、災害に見舞われたときに役に立った・・・。


Aさんの家で調子に乗った僕は、他のホームレスの家も"リフォーム"していった。


「はぁ、新築になったなぁっ!お陰で匂いが消えたわ。」

「ありがとよ、Z。」

「Z は、起用だなっ!なかなかやるじゃないか。」


何だかZと呼ばれるのが、格好いいような気がしてきた。

それにしても感謝されると、とても嬉しい。


「あと・・・、皆さん・・・。」

「何だ?」

「お風呂に入って下さい・・・。」

「ふ、風呂かっ!」

「はい、お風呂です・・・。せめて2,3日に一回ぐらいは・・・。」

「う~ん、仕方ないなぁ、Aさん、こいつが言うんじゃしょうがないわっ!」

「Dさん、だけど、これは痛い出費だぜ・・・。」

「あははっ!」

「くははっ!」


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