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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第12重力子 「アタラシイ イエ ハ ナニヲモタラシタ?」
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挨拶回り J宅、K宅

次々とご近所を回るZ。

その個性はZにどんな影響を与えることになるのか・・・。

挨拶回りって緊張する・・・まずは深呼吸っと・・・。


「ふ~っ」


よしっ!


「お、おはようございます。」


Jさんは、ジャージ姿でこちらを向くと、気持ちよく挨拶してくれた。


「おはよっ!。あ~、君かっ!」

「ぜ、ゼットという・・・。」

「Zという名前になったのかっ!あぁ、Aさんらしいなっ!」

「は、はい。」


この家は他の家とは大きさは変わらないが、部屋は余り臭くなかった。


「余り匂いませんね・・・。」

「はぁっ!いっきなり失礼な事を言うなぁ。」

「あ、すいません。」


僕はどうも率直に聞いてしまうらしい・・・。


「いやぁ、私も臭いのはちょっとねぇ。Aさんの家は酷い匂いだよねっ!」

「は、はい・・・、その匂いで目が覚めました・・・。」

「ふははっ、そりゃ、大変だったっ!」

「は、はい・・・。」


何だか話しやすくて、とっても気さくな人だなぁ。


「まあ、立ち話もなんだっ!さ、朝の運動だっ!Zも来いよっ!」

「えっ!?う、運動っ!?」


僕は、いきなり運動することになってしまった・・・。


「何だぁ、全然体力が無いじゃないかっ!まだ、5Kmだぞっ!!」

「ハァ、ハァ、ゼェ、ゼェ・・・、は、はい・・・。」

「そうか、入院していたんだっけ?まあ、しばらくリハビリが必要かもなっ!この辺にしておくかっ!」

「は、はい・・・、ハァ、ハァ・・・。」


筋肉質でもないのに、ものすごい体力を持っているようだ・・・。

それにしても、Jさんは、全然、息を切らしていない・・・。


「よしっ!僕はこれからヨガをやるよっ!君もどうだい?」

「えっ!?ヨガですかっ?いや、む、無理です・・・。」

「う~ん、なんだぁ~っ!若いのに仕方ないなっ!でも明日から、一緒に運動するぞっ!この時間にここに来るようにっ!」

「えっ!?あ、あ、えぇ・・・。」

「待ってるぞっ!」

「は、はい・・・。」


返事してしまった・・・。

前言撤回・・・、運動好きで、困った人だった・・・。


----------


Kさんは、昨日いなかった人だ。


「あ、あの、お、おはようございます。」

「ああん?新入りか?な、なんだ、すごい若いじゃないか・・・。」


Kさんは、みすぼらしい、穴だらけの服を着ている・・・。

ひげも髪もぼうぼうに伸びていた。


「あ、あの・・・、Aさんのところに、す、住んでいる Z と申します。」

「ゼット?そうかっ!かっこいい名前だなぁ。よろしくなっ!」

「は、はい。」


またも恥ずかしい名前を口にせざるを得なかったのだが、格好いいと言ってくれて、少し嬉しかった。

Kさんも家に入れてくれたのだが、この家もかなり臭い・・・。

僕はKさんの横に置いてあるものに気づいた。


「スマートフォンですか・・・?」

「そうだよ。良いだろう?」


Kさんは驚いた事にスマートフォンを持っていて、ニュースなどを読んでいるようだった。


「いやぁ~、便利な世の中になったな。俺みたいなのがニュースを読めるんだからさ~。」


さらに横を見るとパソコンが置いてある。


「こ、これはパソコンですか?」

「そうだよ。こいつで色んなところに繋げて、業者からお金をもらってメールを代理で送付しているんだ。」

「・・・それって、スパムメールですか?」

「なっ!お、お前、よく知ってるな・・・。い、今話したことは全て忘れるんだっ!いいなっ!」

「は、はい・・・。」


し、しかし電源はどこから・・・。


「ありがとうございました。」

「あいよ。そうだ。君もパソコンに触りたかったら、明日でも良いから、おいで。」

「はいっ!」


パソコンには興味があったから、とても嬉しかった。

でも、あの臭さ・・・、Aさんの家よりも酷いかも・・・。


「それでは失礼します。」


Kさんの家から出て気づいた。

家から伸びている電源の線・・・、電車の動いている高架上に続いている・・・。

えっと、インターネット用のケーブルも・・・?


ものすごい違法現場を見たような気がした・・・。


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