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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第12重力子 「アタラシイ イエ ハ ナニヲモタラシタ?」
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Z(ゼット)

ホームレス達と共に住むことになった良信。

アルファベットで呼び合う彼らは、それぞれ通常の普通の生活が出来ないような境遇にいた。

彼らが良信に付けた名前とは・・・。

彼らはホームレスとはいえ、月に数回は日雇いや、アルバイトで仕事をしていた。

そのため、食事に困ることも無く暮らしている。

家はもちろん無いため、ビニールや段ボールで作った手製の建物に住んでいた。


「都会だと、すぐに立ち退きのために役所の奴ら来るんだけど、ここは田舎だし、管轄が丁度分かれている場所で、

いわゆるグレーゾーンって場所なんだ。」


だから、立ち退きを迫るような人達は誰もここには来ないらしい。

何でちゃんとした家に住まないのかと聞いたが、住居代とか電気、水道代がもったいないんだとか言っていた。


「おい、ボウズ、自分の家を作るまでは、俺んちに来いや。」

「あ、はい・・・。」


家を作るって・・・。

取りあえず、僕はAさんの"家"に住まわせてもらった。


「せ、狭い・・・。」


どころか、暗くて、そして、とても臭い・・・。


「文句言うなよっ!まあ、飯はこれしかないけど、大丈夫だろう。」


そう言って、出してきたのは、食パンだった。


「こ、これ、大丈夫でしょうか・・・。」

「な~に、今時のパンは防腐剤がたっぷり入っているから大丈夫だっ!」

「・・・。」


グゥ~ッ。

食パンの匂いでお腹がなってしまった。


「な、お腹が欲しいってよっ!」

「は、はい・・・。」


あぁ・・・。


「とてもおいしいです・・・。」

「そうかっ!わははっ!」

「おいしい・・・です・・・。」

「何だ、泣くほどおいしいのかよ。」


何だろ・・・。

確かに食パンはおいしいけど・・・。

この汚くて臭い家でも、大事な帰るための家には違いない。

そんな家が出来たことが嬉しかったのかもしれない・・・。


「まあ、未だあるから食っていいぞ。」

「・・・は、はい・・・。」


僕は涙を堪えてひたすら食パンを食べ続けた・・・。


「あっ!」

「はい・・・?」

「そうだっ!蜂蜜もあるぞっ!蜂蜜は保存に適しているんだぜっ!」

「そ、そうでしたか・・・。あ、ありがとうございます。」

「何だ、やっと笑ったなっ!」

「あはは・・・、そうですか・・・。」

「そうだよっ!これから、ヨロシクなっ!」

「は、はい。」


こんな感じで、僕の脱出一日目は終わった。


だけど、これからどうしたら・・・。

そんな不安が頭をよぎる・・・。


-----


次の日、家の臭さで目が覚める・・・。


「・・・臭い・・・。」

「起きたか。」

「お、おはようございます。」

「おい、お前・・・。そいえば、名前は何て言うんだ・・・、あ、いいや。お前は子どもだから、Zってことにする。」

「ぜ、ゼット?」

「そうだ、Z だ。」

「はぁ~。」


もう訳が分からない・・・。


「おい、Z、最初が肝心だ。近所の奴らに挨拶しに行けよ。」

「あ、挨拶ですか?」

「そうだよ。えっと、場所は、こことあそこと・・・。」


仕方なく、"ご近所"の場所を教えてもらい、僕は、挨拶して回ることにした。


「き、緊張する・・・。」


本章、ちょっと短めです。

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