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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第11重力子 「コドクナソラヘノタビダチ」
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暴走

洗足香織という女性から優しくされ、安心感を得た池上。

だが、そこに母親が面会に来る・・・。

そんな少し心が安定し始めていた頃、母親が面会に来た・・・。

病室ではなく、客室のような小さな小部屋で面会した。


「元気そうじゃないか。えぇ?」

「は、はい・・・。」


僕が座ると、すでに横柄な態度で席についている母親は、挨拶もなくいきなり切り出した。


「お前が入院していることで、私がどんだけ大変か分かっているのかぁ?」

「・・・。」


いかにも面倒という顔をして、こちらを見下すように見ている。

相変わらず母親と重なるように悪魔のような人も見えていた。


「あぁ、お前は本当に面倒くさい子どもだよ、ふん。まぁ、いいや。今日だって仕方なく来たんだ。」

「・・・。」

「中学校から連絡があってさ・・・、お前は義務教育を受けないといけない歳だから、就学免除ってのが必要なんだってよ。」

「・・・。」


僕は・・・。


「医師の証明が必要なんだってよ。だからって診断書をもらいに来ただけなんだ。全く面倒くさいったら・・・。」

「・・・。」

「おい、何か言ったらどうなんだよっ!まったくよぉ。」

「・・・。」


僕は平静を装うのが精一杯だった・・・。


「お前みたいな役立たずは、こんな施設にずっといればいい。社会には迷惑だからな。」

「役・・・立たず・・・。」

「そうさ役立たずさ。しかも、とぉ~っても、金のかかるな。そうそう、お前は金がかかって仕方がないんだよっ!」

「・・・くっ。」


怒りに・・・、怒りに・・・、僕は怒りに飲まれそうだ・・・。


「私は帰るよ。じゃあな。」


久々に息子に会ったというのに自分の事しか話さない。

かける言葉は、こんな心ない言葉しか・・・ないのか・・・。

僕はその場に立ったまま、下を向き、歯を食いしばっていた・・・。


-----


母親が面会から去った後、香織さんが部屋に入って来た。

どうやら、話を聞いていたようだった。


「良信君・・・、入って良い?」

「・・・。」

「よ、良信君・・・?」

「あれが・・・、あれが・・・、本当に母親なんでしょうか・・・。」

「うん?声が小さくて聞こえないよ?」

「あれが、本当の母親なんですかっ!!!」」

「よ、良信君・・・??」

「あれがぁ、あれがぁ、、あれがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


僕は意識が無くなった・・・。


「だ、駄目っ!!良信君っ!」


そして・・・、意識が戻る・・・。


「わあぁぁぁぁ・・・。」


僕の・・・、目の前に・・・香織さんが・・・血だらけで・・・倒れている・・・。

僕は・・・、僕は何をしてしまったんだ・・・。


「あぁ、わあぁぁぁ~~~~~~っ!!!」


面会室のそばをたまたま通った別の看護師が僕の声に気づいてくれた・・・。


「ど、どうしたの?あっ、か、香織さんがっ!!!大変っ!先生っ!!!」

「あぁ・・・、あぁ・・・。」


その後、僕はまた隔離病棟に閉じ込められてしまう。

やっと、広い部屋に移ったというのに・・・。

しかし、そんなことよりも、香織さんを傷つけてしまったことで、僕は心がどうにかなりそうだった。

僕はベッドの上で、丸まりながら頭を抱えていた。


「ぼ、僕は・・・。大事な人を・・・。だ、大事な・・・人を・・・。あぁ・・・、あぁ・・・。

もう嫌だ・・・、もう・・・、嫌だ・・・。」


2017/04/11 誤字を修正しました

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