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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第11重力子 「コドクナソラヘノタビダチ」
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発作

池上の病気は、日を追う毎に頻度が増えて行ってしまう。

業を煮やした彼の母親が行った仕打ちとは一体何なのか・・・。

この頻度は、日を追う毎に増えていった。

この"発作"は、学校でも起こるようになる。


意識が無くなり、しばらくすると元に戻る。

クラスのみんなは、何があったのかと驚いた顔で僕を見ている。

こんな感じだった。

みんな不気味に感じて、僕から離れていき、必然的に孤独になっていった。


これは職員室でも話題になってしまっていた。

そして、母親と共に、職員室に呼ばれてしまうことになる。

僕はイライラしている母親にビクビクしながら、一緒に職員室に入った。


「お忙しいところ、お越し頂きありがとうございました。良信君のクラスを担当しているxxxと申します。」

「はい、こちらこそ、息子がお世話になっております。」


いつもの性格と違う母親の白々しい言葉だった。


「本日、お越し頂いた理由ですが、息子様についてでして。」

「はい。」

「息子さんですが、たまに何て言うか別の人間のように振る舞うことがあるようでして・・・。」

「あぁ・・・。」

「あるときは非情に口の悪い大人の男性のようになったり、クラスのみんなに暴力を振るうことがあります。

あるときは、薄気味の悪い女性になり、周りの人間の悪口を言ってしまうこともあります。また、小さな

少年のようになってしまうこともあります。」


このことは、僕も知らないことだった。

その事実を受け入れられず、驚きながら聞いていた。


「ご家庭でも同じような症状はありませんか?」

「えぇ、えぇ、良くあります。私も困っていて・・・。」

「申し上げにくいのですが、学校でも対処に困っていまして・・・。恐らく、その・・・、解離性同一性障害と

呼ばれる精神病ではないかと・・・。」

「はい。」

「思春期は、精神的に不安定な時もあるようですので、それが原因かどうかとは思っています。」

「えぇ、えぇ、全くその通りです。」

「それと・・・。」


この時、先生は、僕を見て少し微笑んだ。


「これも言いにくいのですが、息子さんに暴力の後のようなアザがあるようなのですが、心当たり

はありませんか?」」


その事に触れられると、母親は性格が豹変した。


「ああん?こいつが、勝手に遊んで転んだりした事に何を言ってるんだよっ!!!」


母親は、怒りが浸透すると男性のような口調になる。

僕にはその理由がはっきり分かる。

本人と重なって別の男性が話しているからだった。


「い、いえ・・・。」

「こいつの病気は私も困っているんだよっ!」

「は、はい、ですから・・・。」

「いい加減にしろよっ!私は忙しいんだよっ!何が言いたいのか分からないけど、何とかして欲しいのは

こっちなんだよっ!!」

「お、落ち着いて下さい・・・。」


こんな調子で話しにならないまま、三者面談は終わった。


申し訳ないというような顔をした先生が印象に残った。

今考えれば、僕の精神障害の原因を先生達は分かっていたのだと思った。

僕の身体中にあるアザは、隠そうとしても隠しきれるものでもない。

それに気づき、そして、助けてくれようとしていたのだ。


-----


自宅に戻ると母親の折檻が待ち構えていた。


「くそガキ、お前のせいで私は学校で馬鹿にされたんだっ!!!」

「い、痛い・・・。」


逃げたい、逃げたい・・・。

そんな気持ちがわいてくる・・・。

そして意識が遠のく。


「お、お前、な、何をした・・・。い、今、椅子が飛んできたぞ・・・。」

「えっ?!」


僕は母親が何を言っているか分からなかった。

台所にある椅子が宙に浮いて、母親めがけて飛んできたらしい。


また、意識が遠のく・・・。


「お、親に手を出すとはっ!!!し、死ねっ!!」


今度は"別の誰か"が母親を殴りつけたようだった・・・。


僕は我に返ると、怒り狂う母親が目の前に立っていた。

母親は僕の上に乗り、僕を動けないようにすると首を絞めてきた。


「く・・・あぁ・・・。」


僕は息が出来なくなり、意識を失ってしまった。

翌朝目が覚めると、身体を紐で縛られていて、母親の新しい男によって精神科に連れて行かれた。

病院での母親の訴えで、僕は即入院となってしまった・・・。


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