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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第10重力子 イトシノイモウトヨ -お助け少女 アイナ-
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愛那からのメッセージ

愛那の話しを聞き終わった不思議な少女達は、自分たちの生まれ変わりの真実を知る。

そして互いに色々な思いを持ち彼女からのメッセージを聞く・・・。


愛那の語る話に僕らは何も言うことが出来ずにいた。

何故か永原も静かにしている。


とっきょは彼女らしい質問で、この静寂を破る。


「ふぇ、それじゃあ、そのシルバー何とかとかっていう道具で私たちは生まれたの?」

「(とっきょちゃん、シルバーコードですよっ!)」

「そう、それそれっ!(良子ちゃん、突っ込みありがとう・・・。)」

「はい、そうです。」


愛那は、上位の神様にもらったというシルバーコードの筒という道具からシルバーコードを使い、みんなをヘッドギアに結びつけることで生み出したという。


「で、でも、なんで私たちだったの?」

「ヘッドギアはお兄ちゃん、戸越さんがお使いになる関係で二人から縁遠い方では、うまくシルバーコードが結びつかないということが、事前調査で分かっていました。

ですので、二人と少しでも縁のある方を選ばせていただきました。」


「やだやだやだっ、私たちあの二人に縁があった?知り合いだったの?」

「縁というのは、知り合いというだけではなくて、色々なつながりが元々あったという意味合いになります。」

「そ、そっか~。」

「とっきょさんは、雪ヶ谷さんが、お兄ちゃん達にお話した怪談話から縁がつながりました。

その怪談話を調査したら、実際に彷徨っていらっしゃって・・・。」

「やだやだやだ~~~っ、私ったら怪談話になっていたの・・・?ショ、ショック・・・。」

「とっきょちゃん、有名人でしたのね。」

「コ、コラ~~~っ!良子ちゃん、何てことを言うのだ~~っ!」

「ふふふっ、たまには仕返しですよ~っ!」

「とっきょさんは、前世で12歳で亡くなってしまったので、それが悪いカルマとなってしまい、今世も同じように早死にされてしまいました。」

「カ、カルマ?なんじゃ、そりゃ~。」

「生きている上で作ってしまった魂の傾向性です。」

「も、もっと分からないよぉ~~。」

「苦しみ、悲しみを生み出してしまうような悪い運命、悪い方向性、悪い考え方などです。もちろん、良い方向のカルマもあります。」

「う~ん、分かったような分からないような・・・。

んじゃ、まあ、そのカルマちゃんで、私は早死にしてしまったということなのね・・・。

美人うすめいって、ことかなぁ!?」

「とっきょちゃん・・・、美人薄命びじんはくめいですよ・・・。」

「りょ、良子ちゃん?!な、何を、しっ・・・、知ってたよ。そ、そ、そう、ビジンハクメイ・・・ねっ!

でも、あん時は、死んだのかどうかよく分からなかったなぁ・・・。」

「はい、お辛かったと思います。ですが、イマージュになることで生きる喜びを感じてもらおうと考えました。」

「うん、なるほどぉ~。」

「あと・・・、とっきょさん、ごめんなさい・・・。

シルバーコードを足にくっつけてしまったので、イマージュになるときに、足が引っ張られてしまう形になってしまいました・・・。」

「足から飛んでいったのは、そのせいかぁ~~っ!でも、ありがとっ!あはっ!」


「ユウさんは、いえ、ユウ姉さんは、二人とは縁が無いように見えますが、生前は私のお父さんの会社で同じ部署にいらっしゃったのです。」

「えっ?えっ?まさか、あの上司が・・・、そういえば、永原という名前だったわ・・・、何年か前にお子さんを失ったって・・・あれはあなただったの?うそでしょ・・・。」

「ユウさんは、前世、受け身でありすぎたため、色々な男性から酷い扱いを受けていました。

そして、今世も同様に男性から粗末に扱われてしまって・・・。」

「そうなのね・・・。男運が無いなぁ、私は。あははは・・・。」

「でも、イマージュになった後、積極的に動くことで、消極的になってしまう悪いカルマがなくなりました。」

「あらっ!よかったっ!」

「(ねぇねぇ、聞いた?良子ちゃん。ユウ姉さんは、男運が悪かったみたいですよ。

天気予報ならぬ、男性予報は外ればかりみたいよ。ニヤニヤ・・・。)」

「(しっ、そんな酷いこと言っちゃ駄目ですっ!)」

「聞こえてるわよっ!!!」

「ヒ~~~~ッ」


「シャーレさんは、ご自身でも悟られたように、戸越さんの前世への恨み心を消し去ることが出来ました。」

「まあね。というか、もうイイやって言うか・・・。呆れたというか・・・。自分に対しても、戸越に対してもね。」

「それで良いのですよっ!」

「そんなもんかね・・・。」

「えぇ~、あんなにラブラブだったのにね。」

「(カァ~~~。)と、とっきょちゃん・・・。」

「とっきょ、お前みたいな子どもには早いんだよっ!」

「ヒ~~~~ッ」


「やまいちゃんは、お兄ちゃんとの未練がありましたが、また遊ぶことが出来て、幸せになる事が出来ました。

本当はお兄ちゃんと一緒に添い遂げる計画でしたが、病気という不運に見舞われてしまいました・・・。」

「ふにゃ、そいとげるっ?でも、二人もお兄ちゃんができて楽しかったよぉ~~っ!」

「う~んと、ごめんなさい。添い遂げるというのは、結婚するという意味です。

お兄ちゃんと結婚する予定があったなんて、ちょっと嫉妬してしまいました・・・。」

「はにゃ、そうだったんだぁ~。」

「あんな冷徹男と結婚する予定だったとは・・・。」

「ええ~?とっきょお姉ちゃん、永原お兄ちゃんは優しかったよぉ~~っ!」

「そうですよ。これは私も黙っていられませんっ!お兄ちゃんは、優しい人ですっ!」

「怒られちゃった・・・。」


「良子さんは、お母様が妊娠されて魂が宿るところまで進みましたが、不運なことに事故で中絶されてしまいました。」

「えぇ。でも、お母様を恨んだりはしていません。」

「はい、分かっています。良子さんは池上さんに対して、とても思いが強くて、その・・・、あの・・・。」

「(カァ~~~。)な、な、何を言っている・・・の・・・かにゃぁ・・・。」

「告白しちゃえばぁ?」

「と、と、とっきょちゃんっ!ダ~~~~メェ~~~~~ッ!!!」

「ケラケラケラッ!死んじゃってるけどねっ!」

「もうっ!!!」


愛那から次々と出てきたのは、少女達と永原、戸越との"不思議な縁"の話だった。

とっきょの横やりが、ちょっと面白かったけど・・・。


「う~ん、でも、ちょっと待ってよ。それじゃあ、あんたに生き返えさせてもらって、あんたにまた殺されたって事?」

「そ、そうなるかも・・・しれないです・・・、シャーレさん・・・。」

「それって、どうなのさ。」

「・・・ごめんなさい。その・・・、池上さんを守るためでもあったので・・・。」

「あんたに実験されていたみたいでなんだかな。」


シャーレの言うことは最もかもしれない。

彼女は実験と言ったが、結果的には愛那に振り回されたような状態だったからだ。


「でも、あのままだと、私たちは苦しいままだったと思う・・・。」

「ユウ、分かっているよ。分かっているけどさぁ。」

「それは・・・、私の説明不足だと思います。・・・ごめんなさい。皆さんが不浄物霊になって彷徨っている状態では、お助けできなかったのです。イマージュになることで、落ち着いた心境にもなられていたので・・・。天国に導くチャンスでもありました。それに・・・。」

「ん?それに?」

「それに・・・、あの肉体は、長くは持たないことが後から分かりました・・・。

これは私たちの調査不足だと思います・・・。」

「えっ?」

「戸越さんの肉体がそうであったように、徐々に・・・腐り始めていたと思います・・・。やっぱり転生輪廻を逸脱する行為にはそれなりの代償があるのだと思います。」


「げぇ~、やだやだやだ~っ!」

「・・・。」

「ま、マジで?」

「ふにゃ?」

「や、やっぱり、そうなのですね・・・。。」


ペンションで見せた戸越の腐りかけた肉体・・・、みんなもいずれ、身体が腐ってしまっていたということか・・・。

落ち込みかけた愛那に、とっきょは優しい言葉を投げかける。


「・・・愛那ちゃん。」

「はい・・・。」

「少しの間だったけど、また生きることが出来て、みんな良かったと思っているよ。」

「そうだよ。私もケチをつけたけど、同じ気持ちだよ。気にしないでね。」

「とっきょさん、シャーレさん・・・、ありがとうございます・・・、うぅぅ・・・。」

「泣かないでよぉ~~っ!」

「ご、ごめんなさい。ありがとうございます。」


みんな優しい・・・。

みんな苦しみ、悲しみという運命を背負って、死にきれずにいた。

それを愛那という子が生まれ変わるチャンスを与えた。

僕という縁がつながり、みんなを天国に導く事が出来た。

それは死でもあったけど、新しい生でもあった。

愛那と不思議な少女達は・・・、そして僕も・・・、涙を流し、互いに感謝し合っていた。


「あ、それだ・・・。」

「・・・どうしたんですが、とっきょさん。」

「ゾンビになる前に天国に帰れて良かったねぇ、良子ちゃんっ。池上さんにゾンビ姿を見せられないもんねぇ~~~。ニヤニヤ。」

「(カァ~~~。)もう、や~~~め~~~て~~~っ!」

「あははっ!」

「えへへっ!」

「ふふふっ!」


ガクッ・・・、さ、さすが、空気を読まない、とっきょ・・・。


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