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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第10重力子 イトシノイモウトヨ -お助け少女 アイナ-
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師匠

愛那が自殺した後、しばらく苦しみを何度も繰り返すことになる。

そんな時、師匠と呼ばれる女性が、愛那を訪れる・・・。

私は、自殺した当初、混乱状態だった。


「く、苦しい・・・。いや、いや、いや・・・。こ、怖い、怖いの・・・。周りのみんなが・・・。

もう生きているの嫌・・・。お兄ちゃん・・・、私・・・、私・・・。

変だわ・・・。私首を吊ったのに・・・?何で生きているの・・・?

も、もう一度」


-----

死んだことも分からず、苦しみ、絶望を繰り返し・・・


「く、苦しい・・・。いや、いや、いや・・・。こ、怖い、怖いの・・・。周りのみんなが・・・。

もう生きているの嫌・・・。お兄ちゃん・・・、私・・・、私・・・。

変だわ・・・。私首を吊ったのに・・・?何で生きているの・・・?

も、もう一度」


-----

・・・何度も、何度も、同じことを繰り返していた。


「く、苦しい・・・。いや、いや、いや・・・。こ、怖い、怖いの・・・。周りのみんなが・・・。

もう生きているの嫌・・・。お兄ちゃん・・・、私・・・、私・・・。

変だわ・・・。私首を吊ったのに・・・?何で生きているの・・・?

も、もう一度」


-----

だけど、そんな愚かな私を師匠が助けてくれた。


「く、苦しい・・・。いや、いや、いや・・・。こ、怖い、怖いの・・・。周りのみんなが・・・。

もう生きているの嫌・・・。お兄ちゃん・・・、私・・・、私・・・。

変だわ・・・。私首を吊ったのに・・・?何で生きているの・・・?

も、もう一度」


「たぁ~っ!もう止め~っ!」

「・・・えっ?」


私の部屋に誰かいる・・・?

誰なの・・・?

まぶしすぎてよく見えない・・・。


「愛那、何でそんなに苦しむのさ・・・。」

「だって、私、怖いの・・・。みんな友達だと思っていたのに・・・。」

「分かった、分かった。でも、もう苦しむ必要なんて無いんだって。」

「な、何で?で、でも、怖い、怖い・・・。怖いの・・・。逃げたい、私は逃げたい・・・。だから、こうやって首を吊って・・・。」


あ、あれ、少し見えてきた。

白い巫女の服を着た髪の短い、女の人。

とても綺麗・・・。


「そんなに苦しむこと無いんだよ・・・。それに、もう死んじゃってるよ・・・。」

「そ、そんなこと・・・。だって私ここにいます・・・。死んだら消えちゃうと思います・・・。」

「消えたりしないんだよ。身体は・・・、肉体は、無いけどね。」

「で、でも、手だってあるし、心臓だって動いています。」

「それは、魂が肉体と同じ構造だからだよ。もう、止めな、何度も死んで苦しむようなことは。」

「えっ?何度も?」

「そう、何度も何度も1ヶ月ぐらい同じ事をやってるの。」

「1ヶ月間も?そんな・・・変だわ・・・、あれ・・・。」

「怖さから逃げようとしても無理だよ。魂は永遠なんだから。苦しいまんまが、永遠に続くだけだよ。少し落ち着きな。」

「わ、私・・・。」


この綺麗な人は、一体誰なの?


「あ、あなたは・・・?」

「私は、あんたの師匠だよ。」

「し、師匠?」

「そうそう。忘れているだろうけどね。

もうね、自分の仕事を忘れて、死んじゃうなんて・・・。

まあ、辛かったよね。それは分かるんだけど・・・。

大事な命を捨てちゃうなんて・・・。」


そういうと、師匠と呼ぶ人は私を優しく抱いてくれた。


「大丈夫、大丈夫。」

「あ、あぁぁ・・・。うぅぅ・・・、うぅぅ・・・。」

「良いんだよ。偉いね。辛かったね。頑張ったね・・・。」

「うぅぅ・・・。ぐすっ、ぐすっ・・・。」


師匠と言う女性は私の頭をゆっくりとなでてくれた。


「あ、ありがとうございます・・・。で、でも・・・、わ、私の仕事って何ですか・・・?」


私は頭を上げると、さっきの言葉を聞いていた。


「あんたは、自分の兄貴の暴走を止める予定だったんだよ。」

「お、お兄ちゃんの、ぼ、暴走?」

「そうそう、暴走するのはもっと先なんだけどね・・・。

う~ん、なんだか、お前が自殺したことで、早くなってしまったかもねぇ・・・。」

「そ、そんな、お兄ちゃんが暴走だなんて・・・、で、でも、どんな事をしてしまうのですか?」

「いやぁ~、暴走するかもって、ことで具体的には分からないんだよねぇ。」

「???」

「何かやらかす可能性が高いってだけだから。あんたがうまく立ち回ってくれれば、何も悪さしないかもだったんだけど・・・。」

「わ、私は、お兄ちゃんを見守る役目があったという事・・・。」

「そうそう。さっすが、賢いね。」

「・・・お、お兄ちゃんが・・・。」


お兄ちゃんは何をしてしまうというのか・・・。


「ちょっとブラコン気味だったのは、あんたが潜在意識で仕事を忘れていなかったからってこと。」

「ブ、ブラコンって・・・。何てこと言うんですかっ!」

「あぁ、ごめん、ごめん。色々と計画が変わってしまったけど、さっ、一緒に帰ろう。」

「帰るってどこに?」

「決まってるだよ。天国さ。本当だったら自殺したら、すぐに帰れないんだよ。まったく・・・。」

「て、天国?」


私は天国に帰るの?

本当にあるのね・・・。


「別口であんたの兄貴を止める人も生まれているから、そっちを助けながら何とかするしかないかなぁ・・・。

でも、あっちは、あっちで問題あるからなぁ・・・。」

「えっ?」

「まあ、こっちの話。行こっ。」

「は、はい・・・。」


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