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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第10重力子 イトシノイモウトヨ -お助け少女 アイナ-
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愛しの妹よ

永原と妹の愛那との思い出。

久々に愛那の顔を見た永原は、彼女との思い出を振り返る。

そして、忘れたい記憶も思い出も・・・。

愛那は、俺に懐いている可愛い妹だった。

いつも唐突に俺に部屋に入ってきては、一方的に話してくる。


-----


「お兄ちゃん、また勉強しているの?」

「ああ、そうだよ。何か用なのか?」

「お母さんに教えてもらってクッキー作ったの。食べてっ!」

「うん?何だよ。しょうがないな。紅茶も入れてきたのか・・・。」

「そうよっ!ねぇねぇ、今日学校でね・・・。」

「ああ、また、ねぇねぇが始まった・・・。」

「う~ん、もう、聞いてよっ、お兄ちゃんっ!」

「分かった、分かった。」

「愛那のねぇねぇ攻撃から逃れるすべは無いのよっ!」


愛那の言う、ねぇねぇ攻撃は、隣に住んでいた舞ちゃんから受け継がれたと言っていた。

俺はこの攻撃に対抗するすべを持っていないのかもしれない。


-----


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。明日暇?」

「予習が終われば、暇だよ。」

「勉強熱心だなぁ。感心感心。」

「何だよ、偉そうに。」

「お洋服を買いに行きたいの。連れてってっ!」

「どっちが連れて行くんだよ・・・。まあ、良いか。昼過ぎからだからな。」

「うんっ!お兄ちゃんが、私の服を選ぶのよっ!」

「はぁ?何でだよ・・・。自分で選べって。」

「いやっ!ちゃんと選んでねっ!」

「もう、面倒くさいなぁ。」

「愛那は面倒くさい女なのですっ!」

「おいおい、彼氏が出来ても同じ事言うなよ?」

「愛那は彼氏を作らないから大丈夫ですっ!」

「そんなわけないだろ・・・。」

「お兄ちゃんが、彼氏なのです。」

「バ、バカ・・・、何を言って・・・。お、おい、くっつくなって・・・。」


結局、愛那が服を選ぶ、俺がそれを、うん、と言えば買う。

そんな買い物だった。


-----


「ねぇねぇ、お兄ちゃんは何で部活入らないの?」

「部活動なんてやっていられるかよ。俺はやりたいことがあるんだって。」

「へえ~、どんなことなの?」

「俺は世の中のためになる発明をするんだよ。そのために科学を勉強しなくちゃならないの。」

「科学かぁ、かっこいいっ!さすがお兄ちゃんっ!科学者だね。そうだ、私をサポートするっ!」

「サポートって、よくそんな言葉知ってるな・・・。」

「そうよ。だって、もうすぐ中学生だもんっ!え~っと、そうだ。科学者の助手ってやつね。」

「助手か。そりゃ、頼もしい。」

「そうでしょっ!だから、またクッキーとお茶を作ってくるねっ!」

「ああ、ありがとよ。」

「あっ!お兄ちゃん、今笑ったでしょっ!?」

「そんなこと無いって。」

「また、笑ったっ!も~っ!信じていないなっ!」


-----


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。見てみてっ!」

「あぁ、中学校の制服か。」

「えぇ~、それだけ?」

「ううん?」

「それだけ~っ?」

「う、うん・・・。か、可愛いよ、似合ってるって・・・。」

「もう、目をそらしているぅ~。」

「う、うん・・・。これから成長するから、大きめの制服なんだな。」

「そうよ~。これから愛那は綺麗な女の子になるのですっ!」

「あはは。」

「何が、あははよ~。でも、お兄ちゃんと同じ中学校に入れて良かったぁ!」

「頑張って勉強していたもんな。」

「そうだよ~。愛那は偉いのだ~。」

「偉い、偉い。」

「えへへ。学校行くの、楽しみだなぁ!」


-----


そんな愛那だったが、中学に入ると徐々に元気がなくなっていった・・・。


「お、おい、愛那?」

「・・・。」

「お、おい?」

「・・・あ、お兄ちゃん・・・。」


ある日、声をかけてみたが、周りの声が聞こえていないようだった。


「何か元気ないな・・・。どうしたんだ?中学で何かあったのか?」

「な、何も無いよ・・・。何も・・・。だ、大丈夫・・・。何も問題無しっ!」


俺は気丈に振る舞っているのに気づいたのだが、何が起こっているのか分かってやれなかった。

この時、気づいていれば・・・。


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