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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第10重力子 イトシノイモウトヨ -お助け少女 アイナ-
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愛那

巫女の姿をした少女。

池上は彼女と一緒に不思議な少女達を導いたことを思い出す・・・。


白い巫女のような服を着た綺麗な女性が、倒れている僕の目の前に立っている。

少し眩しい・・・。

この子は・・・?

そして、彼女は、懇願するように僕に話してきた。


「少しお話しさせて・・・。」


僕は身体が勝手に動いて、彼女から受けた光を永原に向けていた。


「お兄ちゃん・・・。」

「お、お前は・・・?」

「・・・愛那だよ。」

「あ、愛那?!愛那だと・・?お、お前は小さいときに死んだはず・・・。それに・・・大きくなって・・・。」

「お兄ちゃんを助けたかったの・・・。もう止めてお兄ちゃんっ!そんな計画ダメだよっ!!」


永原は愕然としていた。


「何でだ・・・、何でだ・・・、何で・・・いるんだ・・・。」

「私は死んじゃったけど、池上さんの力をちょっと借りて存在しているだけ・・・。

お兄ちゃん、こんな計画、もう止めて、ね?」

「存在してる・・・?そんなこと・・・信じられるか・・・よ・・・。」

「お兄ちゃん・・・。信じて・・・。お願い・・・。」


愛那という女の子の澄み切った声は、静かにそして確実に永原に届いていたように思われた。


「そうか・・・、イマージュか・・・。池上、お前なら出来るよなぁっ!?」

「イマージュじゃない。彼女は存在している・・・。その目で見てるだろ?」

「そんなこと・・・信じられるかっ!!!」

「お兄ちゃん・・・。信じて・・・。お願い・・・。」


アイナは、愛那という名前。

永原の妹。

あれ、だけど、僕は何故、愛那を知っているんだ?

その優しい光と共に、僕は愛那と不思議な女の子たちとの会話を思い出した。


----------

第1重力子


(初めまして池上さん。)

「き、君は?」

(アイナと申します。)

「君は・・・その・・・光の強い子だね。とてもまぶしいよ。」

(自分で言うのは何ですが、女神への修行をしている者です。お力添えをいたします。)

「えっ?助けてくれるのかい?何故・・・?」

(少し事情があって・・・。後でお話しします。さあ、彼女を導きましょう。)

「導くって、どうやって?それに彼女は殺人犯だ。」

(いいえ、彼女は殺人犯ではありません。)

「何故分かるんだい?」

(ごめんなさい。余り多くのことを教えることは出来なくて・・・。それにご一緒できる時間は余りないのです。)

「うん、分かった。どうすれば良いの?」

(まだ池上さんの光は弱いわ・・・。私の光を貸してあげます。彼女に向けて下さい。)


(こんにちは、時子さん。)

「えっ??誰?あなた?」

(私の名前はアイナ。さあ、天に帰りましょう。)

「やだっ、やだやだやだぁ~っ!消えちゃうのやだ~っ!」

(消えるのではなくて、安らぎのある元の世界に帰るだけです。消えたりはしませんよ。)

「えっ?そうなの。う~ん・・・。」

(大丈夫、私と池上さんが導いてあげます。)

「ふにゃ、あれ、すごい落ち着くなあ。」

(もっとも潜在意識の池上さんだから、本人は覚えていないかもしれません。ふふっ。)



第2重力子


(池上さんっ!)

「ま、また、君か・・・。)

(はい、アイナですっ!)

「あはは。ちょっとピンチなんだ。」

(ええ、分かっています。またお助けしますっ!一緒に導きましょう!)

「うん、そうだね。ありがとう。」


僕はまた光をユウという女性に向けた。


「な、何?光?あ、暖かい・・・。」

(ユウさん、天に帰りましょう。とっきょさんもそこにいますよ。)

「えっ?そうなの?」

(はいっ!本当はみんな一人なんかじゃありません。寂しくないのですよ。)

「・・・。」

(泣かないでください。さあ、帰りましょう。)

「うん・・・。ありがとう。」


彼女の姿が薄くなっているのが分かる。


「えっ??何を・・・先生、止めてくださいっ!!いや、駄目です!!!私を操らないでっ!!!」

「何を言っている? あっ!」

(池上さん、駄目です。ユウさんが、操られてしまっています・・・。)



第3重力子


「ハァ・・・。ハァ・・・。」

(池上君、怒り過ぎちゃ駄目よ。波長が合わなくて協力できなくなっちゃう・・・。)

「そ、そうだね。すまない。」


----------


(シャーレさん、あなたは本当に悪い人なのかしら。)

「私は悪くないわ。ただ、また生きたいだけよ。大体誰よ、あなた。」

(私はアイナ。女神の修行をしている者です。)

「女神?ふふふっ、そんな人いるわけがない。あの時だって神様は助けてくれなかった。」

(いいえ、シャーレさん、いえ、パンさん、あなたの声は聞こえていました。だから、この時代、肉体を持つことが出来たのです。)

「そ、そんな・・・。バカな・・・。そ、それに私の名前まで知って・・・。」

(お分かりですよね。戸越さんと縁がありましたよね。)

「・・・そうよ。」

(生まれ変わりのシステムの例外措置となりましたが、恨む心を捨てる良い機会だったのです。)

「・・・。」

(もうお許しになって下さい。)

「ふふふっ、私が実験材料にされちゃったみたい・・・。」


シャーレは泣いていた。


「バカね、私は・・・。何百年も恨んでしまって・・・。良いわ。フローラ、許すわ・・・。とても弱い子・・・。」


彼女は消えてしまった。


「ありがとう。」

(ううん。またね。池上さん。)

「シャーレ・・・。」



第4重力子


(池上さん、彼女を助けましょう。)

「うん。とても辛そうだ・・・。」


光を彼女に向けた。


(まいちゃん、さあ、優しい世界に帰りましょう。)

「あう~っ?」

(もっと元気になれますよ。)

「やまいは、元気だもん。」

(ふふっ、大丈夫ですよ。不安にならないでください。)

「ゴホッ、ゴホッ。」

(さあ、手を。)

「えっ?あれ、あったかい・・・お兄ちゃんの背中みたい・・・。」


そう言うと、やまいは光に包まれていった。

徐々に消えていく。


「あう~っ、もうちょっと遊びたかったかなぁ。」

(お空で私と遊びましょう。)

「うん、分かった~。お姉ちゃん。バイバイ。お兄ちゃんっ!遊んでくれてありがとう!」

「うん、バイバイッ!」

「バイバ~イッ!」



第5重力子


(も~~っ、何をしているのっ?)

「あぁ、またピンチなんだ・・・。」


「あれ、ど、どなた?(きゃ~~っ!!誰か他の女の人が一緒にいるじゃないっ!!何てこと・・・。シクシク・・・。)」

(解いてあげます・・・。もうっ!)

「あ、解けた・・・。あれ、怒ってるの?」


ミイラ状態が解かれた・・・。

良かった。

僕は光を彼女に向けた。


(さぁ、天国に帰りましょう。)

「は、はい・・・。シクシク・・・。」

(そんなに泣かないで。また会えますから。)

「いっぱいお話ししたかったの・・・。」

(はい、後でお話しできるように調整しますよ。)

「えっ!本当ですかっ!ありがとうございますっ!」

(はいっ!)

「池上さん、ご、ごめんなさい・・・。」

「ごめんなさい?」

「池上さんを試すよう命令されておりました。先生方は実験されていたのです。これからお気を付けくださいませ・・・。」

「僕を試していた・・・。データを集めていた・・・?」

「・・・はい。」

「・・・。」

「でも、今世もお会いできて・・・嬉しかった・・・にゃん。」

「えっ!?」


涙を流しながら笑っている。

どこかで見たことがあるような気がした・・・。

とても懐かしい。


「お・・・お元気で・・・。」

「あっ・・・!」

「・・・にゃ・・・ん。」

(池上さん、もてるのねっ!プンプン!)

「???」


-----


「愛那、そうか。今まで助けてくれていたんだね。ありがとう。」

「いいえ、思い出せました?忘れんぼさんなんだもの。ふふふっ。」

「ご、ごめん。」

「ごめんなさい。冗談です。あなたの潜在意識と話していたから覚えていないと思います。表面意識のあなたは、自然に身体が動いていました。」

「う、うん。確かに、光に包まれた後は、良く覚えていなかったかも・・・。な、永原は!?」


下を向きながら、永原は何を独り言を話している。


「愛那・・・、愛那・・・。何で・・・、何で・・・、ここにいる・・・。嘘だろ・・・。

無力だった俺をバカにするために戻ってきたというのか・・・。

恨み、怒りでもぶつけにきたというのか・・・。」


最後のところ、少し追加しました。

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