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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第9重力子 ハメツノソウゾウシュ
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本当の故郷

池上と永原がぶつかる中、一人の少女が現れる。

彼女は一体・・・?

「お、お前・・・。何をやろうとしているのか分かっているのか・・・。何の罪のない人たちを・・・、何十億人も殺すことになるんだぞっ!」

「分かってるよ。人類を浄化するためだ。」

「じょ、浄化だって?ふ、ふざけるなっ!」

「ふざけてないよ。大真面目さ。」


永原、何て冷たい声なんだ・・・。


「お前の発見は、人類のために使えるはずだ。そうだろ?」

「無駄だよ。お前は人類の本質を分かっていない。」

「本質?」

「そうだよ。科学の勉強に集中しすぎて歴史を学んで来なかったのか?人類の歴史は、戦争ばかりじゃないか。」

「平和と文化と科学の発展もあったじゃないか・・・。人類は大きく進化してきた。」

「その文化だって、消えては現れる。自分たちで作った文明を自分たちで戦争を起こして壊してきた。そんな繰り返しの歴史だ。」

「人類は平和を願って話し合いの場も作って来たじゃないかっ!」

「それだって、国力のある国が牛耳っているだけだ。国が強くなってくれば、少しずつ侵略を始める。

自国の秩序が嫌なやつはテロを起こす。昔からそう。縄張り争いは無くならない。

構築と破壊、構築と破壊、構築と破壊、

違うか?池上?」

「何でそんなことを言うんだ・・・。どうしたんだよ、永原・・・。」


永原は、こちらの話を聞いていない・・・。

ただ、黙々と話す中、だんだん僕のことを冷たく、そして、怒りの目でこちらを見始めているのだけが分かった・・・。


「全く・・・お前は・・・。」

「・・・?」

「お前は、全く・・・何なんだよっ!ふざけやがってっ!!!すげぇ、ムカつくんだよっ!!!

何で俺の邪魔をするんだっ!いつもそうだ、いつも邪魔をするっ!」

「な、何を・・・、言ってる・・・。」


いつも冷静沈着な永原が、怒り狂ったように話し始めた。


「それに、お前が消してしまったイマージュ達はどう説明するんだっ!」

「どうって・・・。」

「何の罪も無い人間を消してしまったんだぞ。お前は俺のことを言えるのか?」

「彼女たちは消えたわけじゃ無いっ!元の世界に帰っただけだっ!」

「何だよ、元の世界って・・・。やまいは・・・、あの子には何の罪も無いんだぞっ!!ふざけるなっ!」

「元の世界とは、天国、あの世と呼ばれている世界のことだ。俺達の本当の故郷なんだ。」


逆に僕は冷静になっていた。

そして、永原が恐らく理解できないであろう事を説明する・・・。


「はっ!何を言うかと思えば・・・、脳みその考えた夢の世界を実際にあると思っているとは・・・。お前本当に科学者か?」

「何で分からない・・・。彼女たちは魂となって、今もお前のそばにいるんだぞっ!」

「魂?何だ幽霊にでもなって、俺に取り付いているってわけか?

クククッ・・・、アハハハ・・・、バカらしいっ!お前、いい加減にしろよっ!!!」

「彼女たちは死んでもこの世に未練があって、不浄物霊になっていた。

だけど、お前のヘッドギアによって肉体を持って、生活することが出来ていたんだ。

自分たちのカルマを少しでも解決するために・・・。

彼女たちから、聞いていたはずだ。」

「そんなことをイマージュ達は話していたかもなっ!どいつもこいつも、バカな妄想ばっかり言いやがってっ!」

「妄想なんかじゃ無い・・・。」


やまいちゃんは、永原のそばで悲しげな顔で立っていた。


「やまいちゃんは、お前と幼い頃と遊んだ事をずっと思っていたんだ。」

「お、幼い頃だと・・・?遊んでいた・・・?」

「子どもの頃遊びに行く約束をしていたのに入院して、そのまま死んでしまった。だけど、お前との約束が忘れられなかったんだって。」

「何を言っている・・・。あ、あの子は・・・、そもそも、やまい・・・という名前・・・、ま、舞・・・?

舞だって?ま、舞ちゃんだったって言うのか・・・?」

「そうだって言っているぞ。何度も話したけど、お前は聞いてくれなかったって・・・。」

「バカな・・・、バカな・・・、お、俺は信じないぞ、そんなまやかしは・・・。しょ、所詮お前が考えたことだ・・・。」

「お前と一緒に遊ぶことが出来て良かったって。」

「あ、遊ぶって・・・、俺の膝に座って・・・、少し話しただけじゃないか・・・、少し散歩しただけじゃ無いか・・・。」

「色々教えてくれてありがとうって・・・。」

「あぁ・・・、あぁ・・・。あり得ない・・・。あり得ない・・・。だ、だから何だって言うんだ・・・。

止めろ、止めろ、止めろっ!!!そんな嘘・・・、信じるか・・・!」

「・・・。」

「信じるわけが無いって言っているだっ!!!バカにしやがってっ!」


永原は再び、怒りの炎に焼かれていた・・・。


「そうだな。イマージュ達みたいに、攻撃してやるっ!」


<<メタリックハイドロジェン>>


永原の目の前が光り輝き、ある一点に圧縮されたように空間が湾曲される。

そして、小さな黒い物体が出来る。


「はっ!やってみるもんだなっ!人類の夢と言われた物質が簡単に作れたぜ。」


超高圧状態じゃ無いと作れないと言われる水素の金属。

僕は世界で始めて金属状態の水素を見たことになる・・・。


「知っているか、こいつは新しいロケット燃料としても期待されているんだぜ?」

「お、お前・・・。」


<<メタリックハイドロジェンの崩壊だっ!>>


空気中の酸素と発火によって、その金属は激しく爆発する。

僕は急いで周りの空気を集めて、盾にしたが、その盾と共に遠く吹き飛ばされた。


「がはっ・・・。」

「あぁ、こいつはいい。イマジュニアコスモピアで新エネルギーとして使おう。」


僕は何とか立ち上がろうとしたが、痛みで倒れてしまう。

その時、僕は光に包まれた・・・。


「池上さん、大丈夫ですか・・・?」


優しい光に包まれて、身体の痛みも少し安らいだ。


「えっ?き、君は・・・?ぼ、僕は君を知っている・・・?」


名前の間違い修正・・・。

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