ICPのWBS
非情な妄想、イマジュニア コスモピア プラン(ICP)のために、永原が計画した内容とは・・・。
次にイマジュニア コスモピア プラン(ICP)のために、WBSを考え始めていた。
フェイズ1:計画準備
概算見積:1ヶ月
フェイズ1は、ICPの準備フェイズだ。
ICPの準備のため、俺と戸越は世間からは消えたことにする。
世間から消えることで、誰にも邪魔されずICPを進めやすくなるからだ。
消えるとは、単純に今いる社会的立場を離れるということ。
つまり世間から消えてるということ。
しかし、単に大学などから消えてしまうだけでは、誰かから捜索願いなどが出てしまい面倒になるだろう。
だから、少し演出して消えることにした。
それは、"俺達は死んだことにする"ということ。
つまり、ヘッドギアで俺達の死体を作り出し、研究室に置いておき、その死体を研究室の誰かに発見させるのだ。
この死体が見つかれば、俺達は世間から"消えたこと"になる。
死体を置くために、肉体のコピー品を作る必要があるのだが、簡単にできるかどうか心配だった。
ただ、イマージュのような生命体を作ることが出来る以上、そんなに難しい作業では無いかもしれない。
要はどれぐらい、"うまく創造"出来るかにかかっている。
俺のような集中力があれば、何とかなるだろう。
フェイズ2:プレコスモピア作成
概算見積:1年
フェイズ1が完了すれば、次はコスモピアの"場所"作りだ。
どこかの場所に、コスモピアとなる宇宙ステーションを作る。
大きさは、5ヘクタールぐらいで良いだろう。
こいつは、コスモピアといっても、完成前だからプレコスモピアといったところか。
プレコスモピアは、巨大なドーム状の物体となる予定だ。
衛星などからは、分からないように透明な膜のようなもので覆わなければならない。
さらに、空だけじゃなくて地下にも幕を張り巡らされたドームとなる。
このタスクの難しいところは、人が入り込まないような森林地帯を覆う必要がある、ということだ。
つまり、プレコスモピアによって、自然界を一つの大きな部屋に閉じ込めるということ。
そして、食物連鎖が安定するのを待つ。
これには1年ぐらい時間がかかると予想している。
自然界を閉じ込め食物連鎖を安定させる理由は、創造によって生み出された物で不自然なエントロピーの増大が発生し、
コスモピア全体のエネルギーバランスが壊れるのを押さえるためだ。
衣食住に困らないものを造ることは出来るが、生命体の維持させるため、俺自身が常に気を遣わなければならないという状況は避けたかった。
こんなことに労力を注いでいては、コスモピアの秩序形成という次の目標に支障を来す。
実際に1年ぐらいで済むのかどうかは、分かっていない。
そのためには、資料を集めなければなるまい。
食物連鎖が始まれば、後は、そのまま宇宙にでも月にでも飛ばすだけだ。
ただし、フェイズ2は、次のフェイズ3と相互関係がある。
フェイズ3:新しい人類となるイマージュ達の創造
概算見積:1年
コスモピアで生活する新しい人類を造り出すわけだが、今のところ、頭の悪い奴らしか生まれていないのが気にかかっていた。
新人類として相応しいイマージュを生み出したかった。
今までのイマージュ達は、無計画から生まれた、言わば偶然の産物にすぎない。
これを何とか計画的に作れないか、検討しなければならない。
一体どうすれば、賢いイマージュを造ることが出来るのか。
トライ&エラー方式で、生み出しては消すだけで良いのか考える必要はある。
年齢による人口比率も計算しておかなければならないのか、そんな面倒なことをせず、
10代~20代のイマージュだけを生み出し、生殖行動を起こさせれば何とかなるのか、予め検討しておく。
このタスクは、プレコスモピアの食物連鎖の安定が大きく関係している。
食物連鎖が安定したとしても、その中に、イマージュ達を組み込ませることで、
せっかく完成された食物連鎖が壊れてしまう可能性もあるからだ。
フェイズ4:ヘッドギアに使用制限を付ける
概算見積:3ヶ月
今のところ、戸越と俺だけがヘッドギアを使っているが、どうにか俺だけにしか使えないように研究を進めたかった。
創造主は、一人で十分だ。
戸越は、ヘッドギアの仕組みは分かっているが、作り方までは分かっていない。
単純に指紋認証のような仕組みを組み込めば済むだけかもしれない。
比較的簡単に達成が可能なタスクだ。
フェイズ2と3と平行して作業する。
フェイズ5:コスモピア完成
フェイズ2~4が終わり、プレコスモピアが完成すれば、透明の膜を真空でも壊れないように頑丈にして、宇宙空間に持ち上げる。
この時、光合成が出来るように上部は透明にしなければならない。
これが出来れば、晴れてコスモピアの完成ということになる。
フェイズ6:最終段階
後は、地球人類を滅ぼすだけだ。
滅ぼす方法は、今まで地球が経験したように、巨大隕石を落とすという方法が良いだろう。
隕石落下によって、宇宙空間まで地球の表層部が飛び散るだろうから、そいつがコスモピアにぶつからないように、
地球から離れた場所に移動しておく必要がある。
この滅亡の前に、現在の人類が持ちうる知識は引き継がさせてもらおう。
この巨大隕石で世界中が混乱している際に、各国にある国立図書館の蔵書を頂くことにする。
予め国立図書館の大きさは調べておく必要があるが、コスモピアとは別のドームを作り、そこに保管するとしよう。
こいつは巨大なトランクルームといったところか。
それにしても、こいつは、火事場泥棒ってやつかもしれない。
この時、今の人類は俺の計画を知ることになるかもしれないが、対策する間もなく、滅亡への道を歩むことになる。
フェイズ6に至るまでに、コスモピアでの秩序を考えておく必要もある。
とても忙しくなるが、何て素晴らしい充実した日々となるか、柄にも無く気持ちが高ぶっていた。