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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第9重力子 ハメツノソウゾウシュ
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イマジュニア コスモピア プラン

永原は、ヘッドギアを開発した後、この研究結果の方向性を模索し始めていた。

彼が見つけた一つの結論とは・・・。


ヘッドギア開発が完了してからしばらくして、この研究の方向を考え始めていた。

研究結果が研究者の思いもよらぬ方向に進んだ例は、いくらでもあるからだ。


最初は論文発表を考えた。

論文を発表して情報をオープン化するのだ。


この場合、研究が世界各国で始まるのは間違いなかった。

目的は、自国の繁栄、防衛、そして、他国侵略・・・。


そんな動物の縄張り争いのように、他国の利益をむさぼり始める。

自分達が楽に生きようとする本能のままに。


各国の研究機関は、他国よりも先にヘッドギアを作る方法を研究し始める。

ヘッドギアを作れたら、ミサイルを創造して他国に打ち込む。

打ち返されたら、防衛するようにミサイルを作れば良いし、巨大な壁を作っても良い。

スパイ行為や、ハッキングなんてする必要は無い。


この縄張り争いで恐ろしいのは、ヘッドギアがテロリストに渡った場合だ。

収拾の付かない小さな戦争が各地で起こり、誰もが恐怖におののく世界になる。


その結果、勝てば潤うのかもしれないが、負けた方は、貧困、悲しみ、恨みに、怒り、苦しみ、虐待、自由と平等は奪われる。


さらに、ヘッドギアを"持つ者"と、"持たぬ者"との隔たりも考えられる。

貧富の差どころじゃない、一部の持つ者が、持たぬ者を虐げ、奴隷のように扱う。

ホロコーストなんてレベルじゃないだろう。

良い人間もいるかもしれないが、このヘッドギアで狂うことだってあり得る。

どんなに優秀でもお金や権力を持ってしまったため、暴君になる場合だってある。


これが、オープン化した結果だ。


俺は自分の研究を疑問視せざるを得なくなっていた。

こんな闇しか見えてこない研究に意味があるのだろうか。


俺は・・・、俺は・・・、本当に素晴らしい研究をしているのだろうか?

人類が明るい未来を迎えるような研究をしているのだろうか?

これではただのマッドサイエンティストではないのか?

何のために生きて、何のために勉強して、何のために努力してきたのか。

かつて、俺はお前を守れなかったように何も出来ないのだろうか・・・。


俺は戦争と差別を繰り返す愚かな人類に対して、イラついてきたのかもしれない。

戦争して、平和を勝ち取っても、また戦争してしまう。

たとえ、平和が続いたとしても、落ちぶれた人間があふれ出す。


いっそう・・・、そうだ、いっそう・・・、こんな愚かな人類は消してしまいたい・・・。


ああ・・・、ああ・・・、そうだ、そうだ・・・、俺は・・・、俺は・・・、生命を作り出す事が出来るじゃないか・・・。

人類を消してしまって、新たにを俺が人類を作れば良いじゃないか・・・。

そう・・・、つまり・・・、俺が・・・、新たな創造主になれば良いじゃないか・・・。


これは、何てシンプルで素晴らしい考えなのだろか。

叡智を持つ俺なら素晴らしい人類史を作れるに違いない。

俺自身は身体を入れ替えて永遠に生きれば良い。

永遠に生きる創造主の元で、永遠に秩序を保つ人類。

もう汚れた歴史なんて生まれるわけが無い。


そう考えると心が躍ると共に、全てが落ち着いて考えられた。


大量に人類を減らす方法は簡単だ。

恐竜が絶滅した方法をとれば良い。

もしくは、ウイルスを世界中にばらまくというのも良いかもしれない。


全滅させる前に、俺はイマージュを大量に創造する。

そして、宇宙ステーションを生み出して、そこに住むわけだ。

月に住めるようにしても良いし、火星をテラフォーミングしても良い。

俺の思い通りに動くイマージュ達の世界。

俺そのものが「法」になる。


これはそう、新しいユートピアなんだ。

だが、俺が生み出すのは、ユートピア(どこにもしない場所)では無い。

確実に生み出す事の出来る"存在する場所"なのだ。


俺と新しい人類であるイマージュ達は、地球を離れて、宇宙空間コスモスで生活する。

そこは新しい場所トポスとなる。

俺は、この計画を「イマジュニア コスモピア プラン(ICP)」と名付けた。


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