IV. 応用
この光速思考はものを動かすだけでは無かった。
光速思考しながら物質に集中すると、その形を変えることも出来た。
例えば、鉛筆をシャーペンに、シャーペンをボールペンに、思い通りの"もの"が作れる。
ただし、この変化は、必ず"合成物"となっていた。
鉛筆からシャーペンであれば、シャーペンの後ろが鉛筆になっていた。
シャーペンとボールペンであれば、同じような物になっている。
また、この変化の際、目を開けられないぐらいの眩しさで物質が輝き出す。
この光は何なのだ?
光子が異常に集まって何か変化をもたらすというのか?
何が何だか分からない現象だらけだった。
さらに理解できないのは、合成物としても、どうして正確なシャーペンや、ボールペンになるのだ・・・。
確かに、俺がどこかで見たことがある"物"であったが、どうして形が崩れない?
これは科学が生み出した魔法か何かか。
苦笑せざるを得なかった。
今のところ仮説だが、思考と結びついた重力子の反物質が、どこからか何かを生み出しているのでは無いだろうか。
その際、光子が集まって物質が出来るのでは無いか。
以下の相対性理論の式から推察する。
E = mc2
であるならば、以下の公式になるだろう。
m = E / c2
物質(m)を生み出すなら、エネルギー(E)が必要なはずで、光の早さの二乗(C2)で分けたエネルギーが、光速思考で強力に集まったということだろうか・・・。
未だこの点は解決できていない。
結局、時間(T)、重力子(Gravity=G)と光速思考(Light Speed Thinking = L)をこの公式で統一できない限り、数式で表すことは難しいだろう。
さらに、不可思議な事が発生した。
俺が実験を繰り返していたある日、物質が生命を持ってしまったのだ。
最初は携帯電話だった。
実験中、俺の携帯電話が鳴ったため、そちらに思考が移動してしまったのだ。
着信音がネズミと猫のアニメの音楽だった。
今思えば何でこんな音にしていたんだ?
誰かに悪戯されていたのかもしれない。
可笑しいとは思ったが、高校の授業でネズミの解剖を思い出してしまった。
すると信じられないことに、携帯電話がまぶしいぐらい輝きだした。
薄目でそれを見ていると、携帯電話が形を変えて、生きたネズミになった・・・。
いや、正確には携帯電話とネズミの間の子だろうか、背中に携帯電話のボタン、頭の上方に液晶の画像が表示されていた。
気味が悪かったが、電話もかけられた。
もはや何でもありの現象だ。
分析、調査、実験、全ての現象をまとめる物理計算、公式の作成、証明としたいことが星の数ほど発生している。
しかし、しかし、しかし、これは面白いことだ。
生命を作る事ができるとは。
俺は「神」ってやつではないかと思った。
神なんているのか分からないが、生命を生み出しす方法はこれしか無い。
科学で生命を生み出す事が証明できる。
そうか・・・。
俺は・・・。
俺は・・・。
俺は・・・。
俺は・・・。
俺は・・・。
創造主になったんだ!!!