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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第1重力子 タダシクトキハナガレタ?-時計少女とっきょ-
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時計少女とっきょ

池上は忘れ物を取りに研究室に向かう。

そこで見つけたものとは・・・。

不思議な少女とトキコとは?

次の日、期末試験の勉強をしようとした際に、自分の研究室に試験科目のノートを忘れていることに気づいた・・・。


「もうっ、何て事だ・・・。」


しかたなく、大学にノートを取りに来た。

あ、頭が痛い・・・。


そういえば、研究室でノートを参考にしたよな気がする。

御岳教授の授業は、研究でも使えるような内容でためになる。


それにしても、土曜日の午後になると大学は、人が少ない。

授業もないし、当たり前か。


運動系サークルや、吹奏楽サークルの練習音が響く。

ただ、ここは研究室棟だから、ほとんど人がいない。


僕は、教室棟から、研究室棟に入ると、一階にある自分の研究室の前に来た。


「誰かいるのかなあ。誰もいないとなると、鍵をもらいに事務室に行かないと駄目だよなぁ。」


そっと扉手にを付けて引くと、自然と扉が開いた。


「ああ、よかったっ!でも、誰かいるのかな。」


中に入ると、僕は休憩スペースのある奥へ向かう。

金曜日の昼にそこでノートを開いていたのだけは覚えている。


誰もいない研究室はカーテンも閉まっていて、その隙間からは外の明かりが指している。

その光は、研究室のほこりを照らしてキラキラと反射していた。


歩きながら、僕は何か嫌な予感がした。

何か様子がおかしい・・・。

何か異様な空気・・・。


「!!!」


休憩スペースを見て驚愕した・・・。

研究室のみんなが倒れている・・・。


「お、おい。みんなっ!」


声をかけても返事がない。

僕は一瞬で凍りついてしまった・・・。


「永原!江原!大崎!雪ヶ谷!戸越先生!」


一人一人声をかけてみたが反応がない・・・。


「う、動いていない・・・?心臓が動いていない・・・。し、死んでいる・・・。」


しかし、こんなに生気を持つような死体はあるんだろうか・・・?

過去に見た死体は、血管が青く固まって網の目のように皮膚に浮かんでいた。

だけど、この死体は・・・、みんなは・・・、今死んでしまったばかりのように見えた。


「何があったんだ・・・。」

「あ”っ?!」


声がしたので僕は後ろを振り返った。

お、女の子?


この制服は大学の横にある附属高校のもの。

黒髪が綺麗で、目も綺麗な子。

あれ、おかしい。

頭に何か付けている?

これって、目覚まし時計のベル??

それに、周りに浮いている2つの棒は、時計の短針と長針に見える。

それが、浮いている?

針金か何かで吊っているのか?

雪ヶ谷がやるような、流行のアニメコスプレ?


ただ・・・、その子の存在があまりにも不自然だった。


「な、なにを、やっている・・・?」


やっと出た言葉がこれだけだった。

向こうも驚いた顔をしている。


「やだやだやだ~っ!あ、あなた誰よぉっ!」

「ぼ、、僕は、い、池上、おまえこそ何者だ、何をしているんだっ!!」


少し冷静になって、強く問いただすことが出来た。


「池上さん?えぇっ??今日は休みって聞いてたのにぃ~!」

「答えになってないぞ。」

「え、いや・・・、そのぉ~~~・・・。やだやだやだぁ~っ!」


すると彼女は研究室を出て行ってしまった。


「お、おいっ!!」


僕も追いかけるように研究室を出る。

驚いた。

彼女は空中に浮いている。

長針と短針も浮いていることが分かった。

これは針金なんか使っていない。


「どこへ行くんだ。ちょっと待て。」

「やだやだやだぁ~!もう何でいるのぉ?」


幼い顔でほほを膨らまして怒っている。


「忘れ物を取りに来ただけだ。・・・いや、そんなことより、あそこで何をしていたんだ!」

「べ~~っ!」


あっかんべえをしている・・・。

子どもみたいだな。

そして、廊下をものすごい早さで彼女は飛び去っていった。

僕が、走ったところで追いつかないのが分かった。


小さい頃を思い出した。

嫌な思い出・・・。

しかし、先生やみんなを殺した犯人を逃すわけにはいかない。

僕はずっと隠していた「力」を使うことにした・・・。



~ 重力子を使い ~

~ 重力子に踊らされて ~

~ 重力子に彷徨う ~

~ 人々の物語は始まる ~



「やだやだやだ~っ!ついてこないでよぉ~っ!」

「人を殺しておいて、ふざけるな!」

「私じゃないのにぃ~っ!だから嫌だったのよっ!こんな仕事ぉ!!」

「お、おい待てっ!」

「何あなた、何で空飛んるのよぉ~。重力子使っているわけ?」

「重力子?訳の分からんことを。」


量子力学の重力子について、話しているのか?


「やだやだやだぁ~っ!。ふつ~の人がヘッドセットもなくて飛べるなんて、おかしいもんっ!」

「ヘッドセット?何を言っているんだ、とにかく待てよ!お前が犯人だろ!」

「やだやだやだぁ~っ!とっきょは無罪ですっ!」

「それなら止まって説明しろっ!!」

「う~、それもやだやだやだぁ~っ!怒られちゃうもんっ!え~いっ!」


<<六時半は早起き時間!!>>


二つの針が真っ直ぐに向かってくる!


「あっ!」


僕は急いで避けた。


「危ない・・・。何だ?」

「やだやだやだぁ~っ!外れちゃった~っ!」


彼女は体を反転させると、そのまま階段を上ってしまった。

僕も急いで追いかける。

彼女は屋上の扉を無理矢理壊すと、そのまま外に出てしまった。


「ありゃ、壊しちゃったぁ・・・。ごめんなさい・・・。」


誰に謝っているんだ。


「とっきょとか言ったな。何で逃げるんだ!」

「とっきょは何もしゃべりませんからっ!」

「はぁ?もう、何なんだよ・・・。」

「・・・。」

「おいっ!」

「・・・。」

「こらっ!」

「(えっ?倒すんですか?ん~、、しょうがないかなあ。)」

「小声で話すな!んっ?!」


彼女はすっとこちらを向くと今まで女の子らしい雰囲気がなくなり、こちらを

見下すように見た。その瞬間、彼女の瞳がぐるぐる巻きのゼンマイのようになっていることに気づいた。


・・・ゾクッ。

今まで女の子だと思っていた子に、恐れを感じてしまった。


「私は時計少女、時子。みんなからとっきょって呼ばれてるのっ!」


両腕を腰に当てて少し上から、見下している。


「だ、だから、どうしたっ !」

「今からなたを倒しますっ!」

「なっ!!」

「逃げたら、駄目だからねっ !」

「殺人を犯しておいて、ふざけるな!」

「さっきも言ったけど、私が殺したんじゃないのっ!!」

「じゃあ、誰が殺したんだ!」

「それは言えないもん!それに・・・。(えっ?余計な事を話すな??)」


急に耳に手を当てて後ろを向くとヒソヒソと話している。


「誰と話しているんだ。」

「もう、やだやだやだぁ!!」

「おまえが殺していないなら、警察に行こう。な?」

「むぅ~~りぃ~~!やだぁ~~、もう!!くらえ~~~~っ!!!」


<<25時間は働き過ぎっ!!>>


とっきょが、さらに高く上がると彼女の周りを長針と短針が交互にクルクルと回り出す。

回った針がただの円になったとき、無数の光の針が飛んでくる。

僕はとっさに屋上の床を壁のように積み上げて防御する。


「な~~~っ!何それぇ!!重力子使ってる?!ぜっ~~たい使ってるっ!!ずっる~~いっ!」


これは僕が子供の頃の積み木遊びだった。

ただし、手は使わない積み木遊び・・・。

サイコキネシスという力だろう。「大人たち」にそう教わった。

無意識に使ってしまっている・・・。


「重力子って分かって言ってるのか?降りてこいって!」


僕は話を逸らしたくて、観点をずらしてしまった。


「うが~~~っ!つぎ~~~っ!」


<<朝7時は起きる時間!!>>


さっきから、時間と何かコメントを発しているけど、必殺技か何か??


とっきょは、耳に指をつっこむと、目を閉じる。

その瞬間、彼女の頭の上にあるベルが激しく鳴り響いた。

いや、これは鳴り響くと言うより、ひどい超音波のような感じだ。

心と体が激しく揺れる。


何かが外れた。

何かが壊れた。


「あ、、ああ、、あああああぁぁ~~~っ!!」

「えっ?えっっ??ちょ、、ちょっと、池上さん?!」



僕は光に包まれていくのが分かった。


(・・・・・。)

「き、君は?」

(・・・・・。)

「君は・・・その・・・光の強い子だね。とてもまぶしいよ。」

(・・・・・。)

「えっ?助けてくれるのかい?何故・・・?」

(・・・・・。)

「導くって、どうやって?それに彼女は殺人犯だ。」

(・・・・・。)

「何故分かるんだい?」

(・・・・・。)

「うん、分かった。どうすれば良いの?」

(・・・・・。)


「ちょっと、池上さん、大丈夫?光みたいのに包まれたみたいだけど・・・って、何を心配しているだろ。これは~~っ!チャ、チ~ャンスッ!」


「トキコッ!」

「な、何よぉっ!呼び捨てにしないでよっ!」


僕は自分を包む光をトキコという子に向けた。


「えっ?なになにっ!?」

(・・・・・。)

「えっ??誰?あなた?」

(・・・・・。)

「やだっ、やだやだやだぁ~っ!消えちゃうのやだ~っ!」

(・・・・・。)

「えっ?そうなの。う~ん・・・。」

(・・・・・。)

「ふにゃ、あれ、すごく落ち着くなぁ・・・。」

(・・・・・。)


手から出た光は彼女を包んで、その瞬間彼女は消えてしまう。


「はぁはぁ・・・。」


何もかもが終わったあと、屋上はボロボロでがれきのようになっていた。

この場をどうするかということは何も思いつかず、僕はなぜか空を見上げていた。


僕は光に包まれて、それで何をしたんだ・・・?

周りを見ても、トキコという子はいなかった。


元々の本編なので少し長めです。

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