警察署日誌05
池上から情報を得ようとした波多野だったが、ついに犯人と思わしき人物を発見してしまう。
だが、それは、にわかに信じられない光景であった・・・。
今日は、池上君に休みを取らせて、接触させてもらった。
ちょっとした策略っぽくて、池上君には申し訳なかったが、何か情報を得られないか試みてみたのだ。
ただ残念なことに、何も情報は得られなかった。
その後、帰るふりをしてしばらく様子を見ていたのだが、信じられない光景を見た。
戸越という研究室の准教授が現れたのだ。
彼は確か死体で見つかっているはず。
信じたくはなかったが、池上君は、戸越と手を組んで犯行に及んだのかと思った。
だが、戸越が池上君と話をしている内容を聞く限りそれは無かった。
ただ、その話は、生命体を生み出すとか、何でも作り出せるとか、世界が変わるとか、理解できない内容だった。
そして、戸越は池上君を仲間に誘おうとして、説得に失敗すると、消えてしまう。
まさに消えたとしか言いようがない。
池上君はその後、女性と戦いをしていたのだが、これも不可思議な内容で、どう書いたら良いか分からない。
女性の姿といい、浮遊物といい、説明が出来ないのだ。
私は池上君を助けようとしたが、この女性が光に包まれると消えてしまった。
こんな事を誰が信じてくれるのか。
全く説明が付かない。
戸越が犯人なのだろうか。
彼は本当に戸越なのか。
本当に戸越だとして、あの死体は一体何なのだ。
戸越は、何をしようとしているのか。
池上君は彼と仲間じゃないと言い切れるのか。
池上君は何かと戦っていて、事情が説明できない状態なのか。
あの女性は一体誰なんだ。
何を信じて良いのか私は分からなくなっていた。
この内容を誰かに話すべきか。
いや、戸越が生きていたと話したところで、誰も信じないだろう。
余り気乗りでは無いが、しばらく独断で動いてみることにする。
この日誌も隠しておくことにしよう。
そして、明日は戸越の遺体をもう一度調べておこう。
そして、池上君には、今日の出来事を聞かねばなるまい。
彼の抵抗も考えられる。
十分注意せねばなるまい。