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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第5重力子 フタタビアイマミエル-図書委員 良子-
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またあなたに会えたっ!

波多野が帰った後、再び現れる戸越。

そして新しい不思議な少女も現れる。

だが、池上はこの少女に少し懐かしさを感じる・・・。


「どうやら、刑事が嗅ぎつけてきたようだね。まあ、当たり前かな。」


「戸越っ!!」

「おっと、呼び捨てかい?全く近頃の若者は敬語を知らない・・・。ブツブツ・・・。」


以前と同じように突然現れた。


「お、おまえっ!いったい何が、、、何が目的なんだっ!」

「目的?前にも言ったじゃないか、未来を創造するのが目的だよ。」

「どんな未来だと言うんだっ!」

「この重力子を使った素晴らしい未来だよ。何だって思い通りになるんだ。」

「何でも思い通りに・・・?」

「そうさっ!見ただろう彼女たちを。生命体だよっ!!生きた人間を生み出したんだよっ!!」

「何故そんなことが・・・。」

「そうそう。前にも話したけど、よく分かっていなくてね・・・。ブツブツ・・・。」

「分かっていないなら制御なんて出来ないっ!危険な発明じゃないかっ!」

「う~ん、だけど、想像するだけで、生命や、物を生み出すことが出来るんだ。いや、もちろん限定的だけどね。そこはまだ研究中なんだ。ブツブツ・・・。」

「それに・・・、」

「それに?」

「何でみんなを殺したんだっ!」

「我々の計画は、慎重に進めなければ、な、ならないんだ・・・。しずくは、しずく達はじゃ、邪魔をした・・・。そ、そういうことだ・・・。ブツブツ・・・。」


戸越は殺人の話しになるとどもり始める。

話した後のつぶやきは相変わらずだ。


「全然回答になってない・・・、殺す必要なんてないじゃないかっ!!」

「き、君は我々の計画を説明しても、り、理解できないというのかね?間もなく世界は一変するんだ。魔法のような未来社会の到来だよ?」

「だからどんな計画なんだっ!」

「もう良いっ!、もう良いっ!理解できないなら、もういいよっ!!」


戸越は、昔から怒ると見境が無くなる・・・。


「あぁぁ、どいつもこいつもっ!イライラするっ!」

「・・・あ、あの・・・。」


戸越の後ろから一人の少女が現れた。


「あぁ、そ、そうだった。池上君、新しい女性を紹介しよう。」

「ご紹介に預かりました。わたくし良子と申します。」


十二単に、長い髪。

平安時代の姿?

だけど、裾がミニスカートぐらい短い。

そして、本が、本が周りを回っている・・・。

でも、何でネコのミミが付いてる?


「んっ?」


彼女がちらっとこっちを見た。

顔を真っ赤にして、すぐに下を向いてしまった。

猫耳も下を向いている。


「また、人間を作ってどうするつもりだっ!」

「い、池上君は・・・。我々に協力するつもりはないのかい?」


戸越は、冷静さを取り戻したようだ。


「知ったことかっ!殺人者に協力するつもりはないっ!」

「やれやれ、駄目か・・・。邪魔をするなら、消えてもらう・・・。ただ、私はもう、ひ、人殺しはこりごりだ・・・。ブツブツ・・・。」

「殺人者め・・・。」

「君は僕らの秘密を知ってしまった・・・。だからいなくなる・・・。そ、そういうことにしよう。ブツブツ・・・。」

「くっ・・・。」

「ほ、ほら、彼女がお待ちかねだぞ。何故か彼女は君の知り合いだそうだ。初のケースだよ。そう、初のケース。ブツブツ・・・。」

「・・・。」

「それじゃぁ、僕は帰るよ。」

「おいっ!逃げるなっ!!」

「こういうときは、こ、こう言うのかな・・・。あとは若い者たちで。ブツブツ・・・。」


そう言うと、戸越は消えてしまった。


「くっ・・・。」


「あの・・・。」


そうだ。

また新しい不思議な少女。

そして僕は、また「力」を使おうとした・・・のだが、彼女は下を向いたままだった。


「あ、あれ?何もしないの?」


彼女はこっちを見てすぐ下を向く。


「えっと、あの・・・、その・・・。」

「・・・?」

「良子は余り戦いたくないです・・・。」

「えっ?ああ、それはありがたいな・・・。」


変なことを言う子だ。

今までの子達と少し違うな。

だけど、それが一番だ。


「イ、イマージュ達は、元々は、生きた人間ではありません。死んで不浄霊になった人間です。」

「何だって?不浄霊?」

「はい、その不浄霊が先生達の思い出に引き寄せられてイマージュとして生まれるのです。」

「引き寄せられるって、重力子でか・・・。」

「よく分かりません。だけど先生達は不浄霊だったなんて言っても、分かってくれません。理解できないって・・・。」

「理解できないか・・・。」


「あ、、あああ、、、お、おやめください・・・。駄目です・・・。」


良子は急に体が反り返る。

何かに抵抗しているようだった。


「ど、どうしたっ?何があったんだっ??」

「い、池上さん、に、逃げてっ!!!」

「おい、大丈夫か?」


「ああ、面倒だ・・・。」


良子の声だが、明らかに別の人間だ・・・。


「お前は戸越かっ?!」

「そうだよ。イマージュ達はどうも勝手な子ばかりだ。この子は君との知り合いだって言うから、怪しいと思ったんだ・・・。ブツブツ・・・。」

「この子に何をしたんだ!」

「イマージュはね。作った者の言いなりなんだよ。さぁ、良子とやら、彼を殺すんだっ!!!」

「ユウの時も・・・最後にっ!」

「そうそう、あの子も。か、勝手な子だった・・・。ブツブツ・・・。」

「に、に、逃げて・・・。」


だが、次の瞬間、別の人間に変わる。


「私は図書委員 良子と申しますっ!と、宣言すれば良いのかな。ブツブツ・・・。」


彼女の目が本の形になっている・・・。


<<教養のある本を読んでくださいっ!」>>


周りを回る本が止まると、開いて中から文字が飛び出してくる。

長い文字が虹のように、そして鎖のようにくねる。

まるで活字を読めと言っているようだ。

これは触れるとまずい。


とっさに逃げたのだが、良子は僕の後ろに立ち、小さく囁いた。


「りょ、良子は本を読むのが好きなのです・・・。池上さんはお読みになりますか?」

「あ、ああ、よく読むよ。学校に行ってるから勉強しないとね。」


冷や汗が出る・・・。

こ、このままナイフとかで刺されたら・・・。


「そうですか!やはり、池上さんは素敵な方です・・・にゃ。」

「にゃ?」


顔を真っ赤にしてまた下を向いて、遠くに行ってしまった。


「ごめんなさい、近すぎました・・・。む、無理です・・・。」

「無理??何が??」

「ち、近いのは無理です・・・。」

「自分から近づいたと思ったけど・・・。」

「・・・。(カァ~~ッ。)」


また真っ赤になっている・・・。

本当に操られているのか??


「い、、いえ、その・・・。にゃ~っ!」


<<1ページの重みっ!!!>>


また本が開くと1ページ、1ページがちぎれて、連続してこちらに飛んでくる!

僕は避けようとしたが、転んでしまった。


「あ、危ないっ!」


束になった紙は僕が転ぶのを防いだ。

と、当時にミイラみたいに縛られて横になってしまった・・・。


「池上さん、教科書ばかりでは教養になりませんのよ。」

「で、でも、大学の勉強で手一杯なんだよ。」

「若いころに教養が、人生のベースになりますもの。もっといろいろ勉強なさって。」

「うん、そうしたいのは山々だけど、大学がなくなってしまったしね・・・。」

「・・・失礼いたしました。そうでしたね・・・。お許しくださいませ。」

「許してあげるから、こ、これを解いてもらえるとありがたいんだけど・・・。」

「で、でも、大学が無くても図書館でお勉強出来ますからっ!」

「い、いや、その図書館もこの有様なんだけど・・・。」

「(カァ~~ッ。)そ、その、あの、、、え、偉そうにして申し訳ございません・・・。」


また、下を向いてしまった。


「と、解いてもらえないのかなぁ・・・。」


<<文学少女の静けさ>>


こ、今度は何を?!

まずいっ!

う、動けないのに・・・。


「あれっ?」


彼女はひたすらに本を読み始めた。


「えっ?んっ?な、何もしてこないの?(というか、解いて・・・。)」

「君は、名前通り、とても良い子だね。勉強も好きみたいだし。」

「(カァ~~ッ。)い、、いえ、その、、、あ、ありがとうございます・・・にゃっ!!(あの時と同じ事を言ってくれるのね。嬉し~~っ!)」


時々、にゃって言うのは何なんだろうな・・・。

雪ヶ谷がそんなようなこと言ってたような気がするけど。


「君は、現在の人間じゃないような気がする。」

「い、、いえ、見ての通りの図書委員です・・・にゃ。(さすがです!鋭いわっ!かっこいいわっ!)」

「だけど、よく分からない・・・。」

「ふっ、不思議なことを、お、、おお、おっしゃいます・・・にゃ。」

「不思議・・・、そうだね・・・。」

「さ、、ささ、さあ、い、いいい、行きます・・・にゃっ!」

「にゃっ」


うつってしまった・・。

その時、例の光が差してきた。


(・・・・・。)

「あぁ、またピンチなんだ・・・。」


「あれ、ど、どなた?(きゃ~~っ!!誰か他の女の人が一緒にいるじゃないっ!!何てこと・・・。シクシク・・・。)」

(・・・・・。)

「あ、解けた・・・。あれ、怒ってるの?」


ミイラ状態が解かれた・・・。

良かった。

僕は光を彼女に向けた。


(・・・・・。)

「は、はい・・・。シクシク・・・。」

(・・・・・。)

「いっぱいお話ししたかったの・・・。」

(・・・・・。)

「本当ですかっ!ありがとうございますっ!」

(・・・・・。)

「池上さん、ご、ごめんなさい・・・。」

「ごめんなさい?」

「池上さんを試すよう命令されておりました。先生方は実験されていたのです。これからお気を付けくださいませ・・・。」

「僕を試していた・・・。データを集めていた・・・?」

「・・・はい。」

「・・・。」

「でも、今世もお会いできて・・・嬉しかった・・・にゃん。」

「今世・・・も・・・?」


涙を流しながら笑っている。

どこかで見たことがあるような気がした・・・。

とても懐かしい。


「お・・・お元気で・・・。」

「あっ・・・!」

「・・・にゃ・・・ん。」

(・・・・・。)

「???」


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