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妄想は光の速さで。  作者: 大嶋コウジ
第4重力子 イロイロナ オニイチャン ト アソベタノ-不良少女やまい-
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新しいお兄ちゃんとの思い出

研究室の跡地で寝ていた女の子。

何でこんなところで寝ていたのか。

女の子を助けようとする池上だったが・・・。

「ん・・・?あれ・・・?」


倒壊した壁を回ったところに女の子が倒れている。

小学校の高学年ぐらいだろうか。

附属小学校の制服を着ている。

おさげがかわいい。

倒れているというより・・・。


「き、君っ?」

「Zzz」


ね、寝てる・・・?


「・・・お~いっ!」

「あうん。あれっ?ちょっと疲れちゃって寝ちゃったみたい。むにゃ~っ。」

「えっ?ははっ。」


何でこんなところで寝ていたんだ?

でも死んでいるわけじゃ無くて少しほっとした。


「ゴホッ、ゴホッ」


女の子は、急に咳き込んでいる。


「わわ、だ、大丈夫っ?」

「大丈夫ぅ。ゴホッ、ゴホッ。」


本当に大丈夫なんだろうか・・・。


「ほらっ、立って。」

「ありがとう。お兄ちゃん。むにゃ。」


お兄ちゃんか、照れくさい。


「こんなところにいちゃいけない。避難所にいる病院の先生に見てもらおう。」

「あうん。いいのいいの。」

「いいのって、、、身体に悪いよ。さ、背中に乗って。」

「うん。ゴホッ。」


僕は彼女を背中に乗せて避難所に向かった。


「お兄ちゃんの背中暖かいね。」


頭をも垂れかけていてかわいい。


「何であんなところにいたの?」

「お兄ちゃんを待っていたのよ。」

「え?」


僕は、この小さな子にぞっとした。


「ぼ、僕を待っていた?」」


冷汗が出てきた。


「あうん。」

「な、何で待っていたのかな・・・?僕を知っているのかい?」

「あうん、そう、知ってるの。先生に言われて来たの。」

「先生?また戸越か・・・。」

「そうそう!戸越おじちゃん。あ、戸越お兄ちゃんって呼ばないと怒られちゃうかぁ。」

「はは・・・。な、何をしに来たのかな・・・?」


聞きたくないなぁ・・・。


「う~んと、お兄ちゃんと遊んで、病気をうつしちゃいなさいって。」

「病気を、う、うつすの?」

「ゴホッ、分かな~い。でも、うつすと病気が治るって言ってたよ。」

「え、、いや、それは嘘だと思うよ。」

「あうん、そうなの?」

「そうだよ。そんなのデタラメだよ。」


小さな子を騙して、僕にけしかけてくるとは・・・。


「あうん、戸越お兄ちゃんの言ったとおり・・・。」

「えっ?」

「池上お兄ちゃんは嘘つきだって、嘘を言うから騙されないようにって。」

「いや、戸越の言うことが嘘だよ!」

「下ろしてっ!」


と言いながら無理矢理降りてしまった。


「ゴホッ、ゴホッ。」

「ほらほら、ね。まずは休もうよ。」

「それに・・・。」

「それに?」

「私は生まれたときから色んな病気を持っててね。あうん、病気というより病気をうつすのが仕事なの。」

「は・・・?」

「お兄ちゃん、遊ぼうよっ!」


女の子の目はウイルスのような形になっている。

この子に限らず、女の子たちは能力を発揮するときに目が変わるようだった。


「ゴホッ、ゴホッ。」

「元気になったら、遊ぼうよ?ねっ?」

「元気だよ~。ゴホッ、ゴホッ。」

「いや、顔色悪いし、咳しているし・・・。大人しく家に帰ろうよ・・・。」

「え~、イヤなのぉっ!遊びたいのぉっ!」


結構頑固だな・・・。


「へ~んし~んっ!」


女の子の後ろに大きな壁が現れる。

いや、、よく見ると巨大なアメーバ!?

その中に女の子は入ってしまった。


「えっ?何っ?」


アメーバの中で服が溶けてしまっている。

ちょっとエッチだ。


「あ、ごめん。」


とっさに目をつむる。


「え~っ、見てほしいのにぃ!」

「いや、だって・・・。」


片目を開けてみることにした。

アメーバは服を溶かして、だんだんと水着のようになっていた。

帽子と、靴と、手袋と、スカートにも変わる。

いや、何というか、アイドルというか、こ、これは・・・魔法少女?なんだろうか?

丁寧に可愛い杖まで持っている。

ただ、黒と紫色ががベースで子どもが着るような服じゃないような・・・。


「あうん、じゃ~~んっ!変身かんりょ~で~すっ!どうっどうっ??ゴホッ。」

「か、かわいいね・・・。」

「えへへっ、私は不良少女 やまいっ!それじゃ~、いっくよ~っ!」

「不良の意味が違うよね・・・?不健康って意味だよね・・・?」


<<ば~い菌イヤイヤッ!!>>


右手を前にすると、手のひらから何か出てくる。

ばい菌?菌?細菌!

しかも超巨大な細菌たちが襲ってきた。


そして僕は、また「力」を使った・・・。


「これは触ったら駄目がな気がする・・・。」


僕は力で風を起こして細菌たちを飛ばした。

しまった、女の子の方だ・・・。

と思ったら女の子はあの大きな細菌を飲み込んでしまった。


「あっ!だ、大丈夫?」

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ。」

「ご、ごめん・・・。」

「病気の人に病気をうつすとは、ひどいよぉ~!」


意外にも大丈夫そうだ・・・。

というか、よく飲みこめたね・・・。


「やっぱり病気だよね・・・?も、もうやめようよ・・・。」

「あう~っ!やさしいな、お兄ちゃんは・・・。」

「病人とこんなことしたくないよ。帰ろう、ねっ?ねっ?」

「あうっ。咳は出るけど元気なんですっ!」

「いや、、熱があるんじゃない・・・?」

「だ、大丈夫だもんっ!!ごほっ、ごほっ。」

「う~ん・・・。」


<<バクテリオファージ!>>


「わっ、わっ・・・。」


生物の教科書に出ていたバクテリオファージなんだけど、これまた巨大・・・。

いや、これ大きくなっちゃ駄目でしょう・・・。


「き、気持ち悪い・・・」

「あうっ。ごほっ、ごほっ。」


ファージたちは女の子を心配して戻っていった。

気持ち悪い姿をしているけど、心配している。

君たちが原因だと思うんだけど・・・。


「あう~っ!もっと遊んでっ!」


どんどん青ざめているような・・・。


「ふぁ~じちゃん、やまいの病気をうつして~~っ!!」


わらわらとカニのような足で歩いてくる。

こ、この動き・・・かなり気持ち悪い・・・。

そして、彼ら(?)は、中心の柱をこちらに向けた。


「ま、まさか・・・。」


柱から大砲のように飛ばしてくるのは・・・螺旋物質。


「こんな巨大なRNAは無いってっ!」


と突っ込んでいる暇は無い。

僕はシャーレとの戦いで学んだ光の柱を使った剣を作った。

それでRNAを切り裂く。

RNAを出し切ったファージたちはしぼんで動かなくなっていた。


「もう、メチャクチャだな・・・。やまいちゃん、君はどんなイマージュなんだい?」

「うんとね。もう一人のお兄ちゃんのお友達だったの。」

「もう一人のお兄ちゃん?お友達・・・?」

「もう一人のお兄ちゃんの優しい気持ちから生まれたの。」

「優しい?でも君は辛そうだし・・・。」

「あう~っ!違うの元気なのっ!!もっと遊んで~っ!」


光に包まれていく。


(・・・・・。)

「うん。とても辛そうだ・・・。」


光を彼女に向けた。


(・・・・・。)

「あう~っ?」

(・・・・・。)

「やまいは、元気だもん。」

(・・・・・。)

「ゴホッ、ゴホッ。」

(・・・・・。)

「えっ?あれ、あったかい・・・お兄ちゃんの背中みたい・・・。」


そう言うと、やまいは光に包まれていった。

徐々に消えていく。


「あう~っ、もうちょっと遊びたかったかなぁ。」

(・・・・・。)

「うん、分かった~。お姉ちゃん。」

「良かった。」

「バイバイ。お兄ちゃんっ!遊んでくれてありがとう!」


気のせいが顔色も良くなっていた。


「うん、バイバイッ!」

「バイバ~イッ!」


帰るべき場所に帰った彼女を見守ると、僕はいつの間にか笑顔になっていた。


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