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スターシューティング部。  作者: 杏月 要
スターシューティング。
4/9

4

迷いに迷った結果、やっと“ミーティング部屋”と書かれたプレートを見つけた。

そのドアを圭ちゃんが捻り、ドアを開ける。


……と……


ーーーーーーーーーーパァンッ


入った途端に変な破裂音のような音が聞こえて、呆然と立ち尽くす。

すると上からしゅるしゅると無防備な紙が頭の上に乗っかって、私はそれを手に取る。

「……クラッカー……?」

手にしている紙から顔を上げると、三角のパーティー用の帽子を被っている男子がトコトコと歩いてきて、私の手から紙を取った。

「驚いた?スターシューティング部毎年恒例の新入生の迎え方だよ」

にこ、と笑った笑顔は明るくて、包容力のある顔だった。

未だに呆然としていると、ゆづが後ろからひょこっと出てきた。

「すっげー!明るい部活なんすね」

長年一緒にいる人の勘なんだが、もう早くスターシューティングをやりたいという気持ちがあふれでていた。

まだ始まったばかりだというのに、やっぱりせっかちである。

「ありがとう。俺はこのスターシューティング部部長の柊明香。よろしく」

その言葉に、私達は自分の耳を疑った。

三人で顔を見合わせ、圭ちゃんが口を開く。

「ぶ、部長だったんですか……」

意外という気持ちが未だに拭えないままの返事で、後ろで笑いをこらえていたもう1人の男子が後ろから部長に突っ込んできた。

「あっはは、やっぱり明香は部長に見られてないよなー」

肩に手を回してクスクスと笑う彼を見て、部長はムスッとした。

「お前こそ、副部長だなんてこの3人誰も思ってないと思うぞ」

「えっ……」

また三人の表情が驚いたまま固定される。

部長副部長どちらも、やっぱり意外だった。

「なっ!?俺それなりにちゃんと副部長やってるだろ」

自分のことを親指で指さして鼻息を荒くするが、彼に賛同する者は誰もいなかった。

「そんなにダメかよ、俺」

大して落ち込んでいるようにも見えなかったが、がっくりと項垂れている。

それを見て部長はにこにこと笑っているが、ずいぶん思っていたより明るそうな部活だった。

「あ、あの……」

戸惑ってなんて言えばいいのか迷っていると、部長はハッとした顔をして慌てて笑顔を作り直した。

「んで、この先生がスターシューティング部の顧問。主にサポーターの役目をしてくれてるんだよ」

その言葉に、体が反応した。

私が目指している……“サポーター”……

「あ、ありがとう柊くん。えっと、去年からこの学校に勤めていて、スターシューティング部の顧問をやってる小日向桜子です。よろしくね」

ちなみに中学、高校とスターシューティング部のサポーターをやってました。と付け加えて先生は短めの自己紹介を終えた。

部長や副部長にはそこまで反応しなかった私だが、小日向先生にはかなり反応してしまった。

中学の頃からサポーターをやっていたなんて、私にとっては憧れでしかない。

私は兄に教えてもらうだけだったけど、先生はちゃんと部活としてサポーターをやっていたのだろうか。

「いお、顔に出てる」

ふとゆづに指摘され、ぼふっと顔が赤くなった。

サポーターという単語が聞こえるだけで、こんなにも興奮してしまうとは思わなかった。

やっぱりスターシューティングはいろんな意味で私にとっては大きな存在だった。


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