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迷いに迷った結果、やっと“ミーティング部屋”と書かれたプレートを見つけた。
そのドアを圭ちゃんが捻り、ドアを開ける。
……と……
ーーーーーーーーーーパァンッ
入った途端に変な破裂音のような音が聞こえて、呆然と立ち尽くす。
すると上からしゅるしゅると無防備な紙が頭の上に乗っかって、私はそれを手に取る。
「……クラッカー……?」
手にしている紙から顔を上げると、三角のパーティー用の帽子を被っている男子がトコトコと歩いてきて、私の手から紙を取った。
「驚いた?スターシューティング部毎年恒例の新入生の迎え方だよ」
にこ、と笑った笑顔は明るくて、包容力のある顔だった。
未だに呆然としていると、ゆづが後ろからひょこっと出てきた。
「すっげー!明るい部活なんすね」
長年一緒にいる人の勘なんだが、もう早くスターシューティングをやりたいという気持ちがあふれでていた。
まだ始まったばかりだというのに、やっぱりせっかちである。
「ありがとう。俺はこのスターシューティング部部長の柊明香。よろしく」
その言葉に、私達は自分の耳を疑った。
三人で顔を見合わせ、圭ちゃんが口を開く。
「ぶ、部長だったんですか……」
意外という気持ちが未だに拭えないままの返事で、後ろで笑いをこらえていたもう1人の男子が後ろから部長に突っ込んできた。
「あっはは、やっぱり明香は部長に見られてないよなー」
肩に手を回してクスクスと笑う彼を見て、部長はムスッとした。
「お前こそ、副部長だなんてこの3人誰も思ってないと思うぞ」
「えっ……」
また三人の表情が驚いたまま固定される。
部長副部長どちらも、やっぱり意外だった。
「なっ!?俺それなりにちゃんと副部長やってるだろ」
自分のことを親指で指さして鼻息を荒くするが、彼に賛同する者は誰もいなかった。
「そんなにダメかよ、俺」
大して落ち込んでいるようにも見えなかったが、がっくりと項垂れている。
それを見て部長はにこにこと笑っているが、ずいぶん思っていたより明るそうな部活だった。
「あ、あの……」
戸惑ってなんて言えばいいのか迷っていると、部長はハッとした顔をして慌てて笑顔を作り直した。
「んで、この先生がスターシューティング部の顧問。主にサポーターの役目をしてくれてるんだよ」
その言葉に、体が反応した。
私が目指している……“サポーター”……
「あ、ありがとう柊くん。えっと、去年からこの学校に勤めていて、スターシューティング部の顧問をやってる小日向桜子です。よろしくね」
ちなみに中学、高校とスターシューティング部のサポーターをやってました。と付け加えて先生は短めの自己紹介を終えた。
部長や副部長にはそこまで反応しなかった私だが、小日向先生にはかなり反応してしまった。
中学の頃からサポーターをやっていたなんて、私にとっては憧れでしかない。
私は兄に教えてもらうだけだったけど、先生はちゃんと部活としてサポーターをやっていたのだろうか。
「いお、顔に出てる」
ふとゆづに指摘され、ぼふっと顔が赤くなった。
サポーターという単語が聞こえるだけで、こんなにも興奮してしまうとは思わなかった。
やっぱりスターシューティングはいろんな意味で私にとっては大きな存在だった。