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紋章憑き~世界最強の男がやって来た世界は、キスもエッチも無い世界のようです  作者: 琴崎大寿
第一章 ワケも分からぬまま、この世界で最強を目指すことになりました
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隼人は木箱から服を取り出すと広げてみた。


シャツだ。それを、側にあるテーブルに置くと次を取り出す。袖の長いインナーシャツのようだ。次は、ズボンだ。そして、靴、ベルトと――一通り箱から出してテーブルに並べてみるが、この世界の服は材質的には若干の厚みを感じるが、隼人の世界にある服と殆ど同じに見えた。


「これ、着て良いんだよな?」


アルベセウスが小さく頷く。


隼人は試合用のトランクスの上からズボンを履くと、インナー、シャツ、と袖を通していく。驚くほどのジャストフィット。色合い、シルエットと、シンプルかつクールな感じで隼人は中々気に入った様子。それが自然と口を突いて出た。


「良いな。これ、オレの好きな感じだわ」


「気に入ってもらえて何よりだ」


「ところで、その被り物は着けたままなのか? 何か、外せない理由でもあるのか? もし無いのなら外してほしいのだが? お前の素顔というものを見てみたいのだが」


「これ? いや別に理由なんて無いけど。只のパフォーマンス用よ」


ナスターシャの要望に、隼人は覆面に手を掛けるとあっさりと脱いだ。


「こんな感じ」


隼人は乱れた髪を手ぐしで直す。隼人の髪は日本人らしく黒髪だった。


ナスターシャは目をパチクリとした。


「お、驚いたな……黒髪とは」


「驚く? 何でよ?」


「キミは……ハヤトとか言ったな。もしかして、ハヤトはハイエルフなのか?」


「ハイエルフ? なんだそれ。普通の人間に決まってるだろ。あ、それと先に言っておくけど、オレこの世界の人間じゃないから」


隼人はそう言うとテーブルの上に座った。


「この世界の人間ではない? どういうことだ?」


アルベセウスはナスターシャに視線を向ける。ナスターシャは少し困った表情で口を開いた。


「うむ。私もまだ信じられないことなのだが、この……ハヤトはこの世界ではない他の世界、ニホンとかいう国から『竜神ラルファ』に召喚されてやってきたみたいでな」


「ニホン? 初めて耳にする国だな。そして『竜神』に喚ばれた、と」


「嘘じゃねーからな」


「うむ……何と言って良いものか……」


隼人は嘆息を漏らす。


とりあえず、隼人は自分の身に起こったことを喋ることにした。


名前は黒澤隼人。二十歳。格闘家として生計を立ててること。自分のいた部屋から出たらこの世界に来ていたこと。隼人の世界には『魔法』なんてものは存在しないこと。馬は空を飛ばないこと。


「そういや、ラルファだっけ。オレにこんなこと言ってからどっか行ったんだよな」


隼人が、この世界で『最強』になること。


隼人が『最強』になることで、このプリマヴェーラは救われる。


『最強』になることで隼人自身も救われること。


「この世界を救う? それは一体どういうことだ?」


「それは知らねーよ。ただ、そう言ってたって話。それと、『最強』『最強』って連呼されたけどさ。『最強』ってことは一番ってことだろ? 一番になることになんか意味があるの?」

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