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紋章憑き~世界最強の男がやって来た世界は、キスもエッチも無い世界のようです  作者: 琴崎大寿
第一章 ワケも分からぬまま、この世界で最強を目指すことになりました
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6

「ん?」


アルベセウスはここで初めて隼人の存在に気付いた。


「そちらの彼は?」


「ん? ああ、この者は『クロサワ ハヤト』。この国の大事な客人だ。この後姫様にもお会いになっていただく」


「ほう」


アルベセウスが右手を差し出す。


「私の名はアルベセウス・ガンルーク。よろしく」


「お、おう。黒澤 隼人だ。オレの方こそよろしく」


隼人は慌ててアルベセウスの差し出された右手をガシッと握る。


金髪、短髪、くっきり二重、長身。ああ、これはガチイケメンすわ、と隼人は思った。


 

アルベセウスが隼人の胸の紋章を見た。


「ナスターシャ、彼はもしや……」


「ああ、そうだ。『紋章憑き』だ。しかもあの『竜神ラルファ』の力を受け継ぐ者だ」


「竜。それは本当か」


「本当だ。この目で『解放』を終えるのを見たからな」


「なるほど、先程の『夜転化』は彼が起こしたものだったのか。で? なぜキミは下着姿なんだ?」


「いや、着るもんがあるならくれ。今すぐくれ。格好については説明すんのも面倒くさいからスルーしてくれ」


「分かった。すぐに用意させるとしよう。マーグ。ちょっと中に入ってきてくれないか」


入り口の扉が開くと、中に入ってきたのは扉の脇に立っていた衛兵の一人だ。


「お呼びでしょうか?」


「悪いが少し用事を頼まれてくれないか。彼に合った服をすぐに持ってきてほしい」


「承知」


マーグは一言そう言うと、ガチャガチャと音を立てて駆け足気味に部屋を出ていった。


「さてと。彼のことをもっと詳しく聞きたいんだが、その前にナスターシャの方だな」


ナスターシャが頷いた。


「まずはダンダークがこの国へ来た理由だが、どうやらヴァティスガロはロングラッソと一戦を交えるようだ」


「ロングラッソと? あの狂国と一戦? いかにヴァティスガロと言えど、正気とは思えんな。グリオローネの『毒』対策は出来てるのか? あれほど厄介な能力はないぞ」


「まあ、ヴァティスガロとしてもやりたくないのが正直なところのようだ。ただ、最近ロングラッソからの挑発行為が度を超えてきているらしく、その行為は一般の人間にも及んでいるとのことだ。一戦の決定を下す前にロングラッソ側とは争いを避けるための話し合いを数回行ったみたいだが決裂。向こうが望んだ戦いみたいだな。まあ、ここまで話せば頭の良いキミなら分かると思うが、つまり」


「乗じた介入は控えてほしい。そんなところか?」


「そう言うことだ。当然、こちらは無干渉だということを伝えた。勝手にやってくれ、とな」


隼人も勝手にやっていた。


ナスターシャとアルベセウスの会話に全く付いていけない隼人はトコトコと本棚へ近づくと、適当に本を取り出しパララララ。


「うん」


一言頷いた隼人は本を元あった場所に戻すと、隣の本を取り出しまたパララララ。


「うん、全く分からんね」


本には日本語は当然のことながら、英語? ドイツ語? ロシア語? イタリア語? スペイン語? 中国語? フランス語? 隼人が知ってる言語外の文字がびっしりと書かれていた。もはやそれは糸屑にしか見えなかった。


隼人は次に窓辺へと移動する。


窓から見える尖塔の先端部分には国旗らしき大きな旗が見える。


目線を少し落とした先――丘の上に立つ城から見える光景は壮大、まさに『中世』。いや、『ファンタジー』という表現がピッタリだった。城を中心に円形状に広がる城下町に、その上空を縦横無尽に飛び交う天馬。


そして城を囲むようにして立つ城壁の上にはロングコートのような物を羽織った、隼人の世界で言う『魔法使い』風の男達が等間隔に並び立っていた。


「……どうしよっかねー」


窓の縁に片肘をついた隼人がポツリとそう漏らした。

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