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ナスターシャはブーツを脱ぐと履いてあった靴下も脱いで新品のニーソに足の先を差し入れる。たかが靴下。履くことに対しては躊躇することもなく、抵抗もない。もしあるとすれば、それは別な意味で……ナスターシャはちらりと隼人を見た。
この男には遠慮というものが、配慮というものがないのだろうか。潔いほどまでにガン見だ。見られれば見られるほど恥ずかしさが増していくナスターシャはニーソを一気に履き終えるとブーツを履き直した。
「こ、これでいいのか?」
ナスターシャはテーブルから下りて、恥ずかしそうに隼人に見せる。
ナスターシャの白魚のように美しい脚に黒ニーソという魅惑のコントラスト。黒ニーソの艶生地が少し食い込んで、ほんの少し沈んでいる太股。ニーソとミニスカートが繰り出す魅惑な領域。そして極うっすらと黒ニーソから透けて見える白い肌。
スリムよりムッチリ感を好む隼人。その隼人が望むこと全てを満たした究極形態がそこにあった。しかもブーツときたもんだ。まさか異世界でニーソブーツが拝めるとは夢にも思ってなかった隼人は感無量。まさにマーベラスと言わざるを得ない。顔を綻ばせる。
「イイ! マジでイイ! マジですっげ似合ってる!」
「そ、そうか? 私には今イチよく分からんのだが……ただの長い靴下だろ?」
「ちっがーう! ニーソだ。ニーソックス。正しくはオーバーニーソックス。さっらーに! お前の履いてるニーソの長さからして、そいつはサイハイソックスとも言われている。まあぶっちゃけ纏めてニーソでよろし」
「ニーソ……サイハイ? なんかお洒落な呼び方をするんだな。初めて耳にする呼び方だ」
「そうなのか? じゃあ、こっちではニーソのことなんて言うんだ?」
「普通に長尺の靴下と言ってるが?」
「長尺て……ロマンもへったくれもないな。ま、いいけど。これからは長尺とは言わずにニーソでよろしく」
「それは別に構わんが。……それじゃあ、もうこれは脱いでもいいか?」
「は? なんで脱ぐ必要があるんだよ。勿体ない」
「勿体ない? どういう意味だ?」
「そのまんまの意味だよ。さっきも言っただろ、似合ってるって。冗談抜きでマジで良いから。その脚最高。完璧」
隼人に褒めちぎられ、ナスターシャは何ともむず痒いし、恥ずかしい気持ちになった。でもどことなく悪い気はしない。
ナスターシャは視線を下げると、改めてニーソを履いた自分の脚を見た。隼人に理想と言われた自分の脚。
「そ、そうか……そんなに、か?」
「まさにオレの理想」
さっきまで何とも思っていなかった自分の脚。それがどうだろう。
「そうか、理想か……そうか。うむ……ふふふ……そう言われると悪い気はしないな」
ナスターシャの表情のなんと嬉しそうなことか。自分の知らぬうちに、女の子らしい可愛い笑い声が漏れていた。
そんなナスターシャを見ていて、隼人は思った。
こいつって、ホント単純なんだな、と。……勿論、良い意味で。




