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4

「で、こんな朝早くに来てどうしたのよ?」


「あ、ああ。今から、お、ハヤトの使う武器を選びに行こうと思っているのだが、どうする?」


「オレの武器?」


「そ、そうだ。な、何か他に用事があるのなら日を改めるが……」


ナスターシャが不安そうに言う。隼人は肩を竦めて苦笑する。


「昨日の今日だぞ、この世界に来て。用なんてあるはずねーだろ」


ナスターシャの表情がパッと晴れる。


「そ、そうか! では行くとしようか。よし付いて来るんだ」


隼人の言葉を待たずにナスターシャはサッサと部屋を出て行った。


いや、オレ、一言も『行く』って言ってないんだが。


部屋の外から声が聞こえる。


「何をしている。早く行くぞー」


チッと舌打ちをした隼人は「はいはい」と部屋を出た。その割りに、隼人の表情は満更でもない表情だった。


部屋を出た隼人とナスターシャは肩を並べるようにして廊下を歩いていた。早朝の静かな廊下とは打って変わって、多くの衛兵が廊下を行き来する。


廊下の突き当たりまでやって来た。扉が一つ。左右に立つ衛兵が姿勢正しく二人に向かって敬礼すると、急いで扉の鍵を開ける。


「ここは?」


「保管庫だ」


衛兵によって扉が開かれる。二人が部屋の中へと入る前、ナスターシャが衛兵の一人に何やら一言二言声をかける。衛兵は聞き終わると敬礼し、どこかへ走り去っていった。


二人が入った部屋、隼人は圧倒された。そこはテーブルが一つだけに、壁一面にありとあらゆる武器類、防具類がズラリと掛け並んだ武器防具部屋であった。


「得意とする武器はなんだ? やはりオーソドックスに剣か?」


部屋に入るなりナスターシャが、そう声をかけてきた。


「私は突撃槍ランスなんだが、どうだ? 突撃槍ランスも悪くないぞ?」


そう言うとナスターシャは壁に立て掛けているランスを手に取る。


……冗談だろ。でかい。大半が柄で構成される槍と違い、先が鋭く尖った円錐形のフォルム。こんな武器に、馬の重量、そして走力が加われば、どのような強固な鎧を持ってしても防ぐのは難しいのではないだろうか。


「いや、いい。そもそもオレ武器とか使ったこと無いし」

「なんだ。ガイナと一緒か、つまらん」


残念そうに手に持った突撃槍ランスを元の場所に戻したナスターシャは、壁に掛けられたガントレットを物色し始める。


本来、甲冑防具の一部であるガントレットは指の先まで金属類で覆われる。しかし、この部屋に保管されるガントレットは防具だけではなく、武器として扱われるガントレットも保管されており、そのどれもが特徴として固い拳を作れる仕様になっている。隼人の世界でいう格闘家が着ける、指を露出させたオープンフィンガーグローブに鉄素材を散りばめたような感じだ。


幾つかの候補を選んだナスターシャが、それを胸に抱えて戻ってきた。


ナスターシャは木のテーブルの上にガントレットをドサッと下ろすと「近くに来い」と手招きして隼人を呼び、手を出せと要求する。従う隼人。開いて突き出された手にガントレットが通される。思ったより軽い。


「拳を作ってくれるか」


言われて、隼人が拳を作ると、ナスターシャが手首、手の甲に付いたアジャスターを引いて締め付ける。サイズが合わないのか、締め付けてるような感触は薄く、若干の違和感があった。


「どうだ? 緩いか?」


「ちょっと……大きいかもな」


ナスターシャは手早くガントレットを取り外すと二つ目のガントレットを取り付ける。


「――一回、全部試してみてよう」


取り付ける作業をしながらサラッと言うナスターシャ。


隼人はテーブルの上を見た。ガントレットが四つ。次に壁を見た。……ひと目では把握出来ない数のガントレットがあった。


かなり長くなりそうだと覚悟を決めた。

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