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2

朝。窓の外の景色はまだ薄暗さが残っている。いつもだとまだ寝ているはずの時間帯。隼人は起きていた。部屋に備え付けられたテーブルに座ってボーッとしていた。まだ目がショボショボとする。気を許せばそのまままた寝てしまいそうだった。


やがて大きな欠伸をした隼人はイスに座ったまま、背中を反るように「んんーっ」と大きく伸びをした。


イスが後方にぐらつき、隼人は背中から床に崩れた。「いてっ」と一言言っただけで、隼人は倒れたままの体勢を起こそうとはせず、無言で天井を見つめる。無数のロウソクが灯る円形のシャンデリアが目に入る。


「――あっち、すっげー騒ぎになってるんだろうな。なんせ世界最強の男が忽然と消えたワケだからなぁ。今朝の朝刊一面はオレなんだろうなぁ……現代の神隠しってか……」


隼人は立ち上がり、倒れたイスを起こすと、もう一度体を大きく伸ばした。


「……はっ、白崎は白崎で、オレが逃げたとか調子こいたことベラベラ言ってんだろうな……クソっ。オレの『神』さんも少しは空気読めよって話だよな――」


隼人がブツブツと言いながら部屋の中で移動を開始する。


昨夜、リレイアの傷の手当てでシャツを脱いでから、今まで上半身が裸の隼人は着る物が欲しかった。隼人は片っ端から引き出しや扉を開いて、その中を物色する。


「――これでいっか」


隼人は手に取った白無地のシャツに袖を通した。


隼人のお腹が鳴った。朝食は部屋に運ばれてくるらしい。昨夜、ナスターシャがそう言って部屋を後にしたのを思い出す。しかしまだ朝は早い時間。朝食が運ばれてくるまでには時間がある。隼人は暫し考えた。


決めた。朝食の時間まで散歩することにした隼人は部屋を出た。


勝手知らぬ、まるで迷路のような廊下を気の赴くままに、隼人は歩く。


途中、城内警備に就いてる衛兵が至る所で、昨夜の試合絡みで声を掛けてきた。最初の内は気軽に対応していた隼人だったが、同じ事の繰り返しで次第に鬱陶しくなってきた。


そんな散歩をする中、窓の外に何かを捉えた隼人は、一歩二歩と通り過ぎた足を戻し、窓の外を見た。人の姿があった。


大きな剣を一心不乱に振り回していた。それにはどこか魅入るものがあった。振り回す大剣に、逆に体が持っていかれて振り回される様も、流れに身を任せると言うのか、計算されているように見えた。

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