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「じ、じ、冗談を! い、い、いきなり何を言い出すのか」
「いや別に冗談で言ってるわけじゃないけどな」
これは嘘偽りのない本当の気持ちだった。ただ、例えるなら『好きか嫌いかどっち? どっちか選んで』と聞かれて答える感覚的な『好き』だが。嘘は言っていないよな? うん、嘘は言っていない。隼人は自問自答した。
だが、そんな気持ちで隼人が口にした『好き』という言葉はナスターシャの心を拐かすには十分すぎる効果を持っていた。
「……ほ、本気で言ってるのか? 会ってまだ一日と経っていないのにか? それなのに、もう私を『好き』だと言うのか?」
「なんか必死だな。そんな嫌か?」
「イヤと言うか、だな……その、何だ……そ、そのような事を向かってハッキリと言われたのは初めてでな……」
「は? 嘘言うなよ。絶対モテるだろ?」
「う、嘘ではない……本当に初めてだ」
ダンダークからナスターシャが『世界四大美女』の一人と聞いていた隼人からしてみれば到底信じられない話なのだが、ナスターシャの口ぶりからしても嘘を言ってるようには見えない。
こんな美人がねぇ。あまりに美人過ぎてか? 高嶺の花的な感じか? などと考えてしまう。隼人にはそれくらいにしか、男が近寄らない理由が考えつかない。
まあぶっちゃけ、事実上ナスターシャを手にした隼人からしてみればどうでもいい話だ。
ベッドに座る隼人は、自分の横をポンポンと叩いた後、来い来いと手招きしてナスターシャに隣に座るよう促した。
ナスターシャはものすごく胸がドキッとした。今まで生きてきた中で男性にそんな風にされたことがなかった。何て言うか、幼い子供に優しく接するときのような態度にナスターシャは悪い気がしなかった。
「よ、横に座るのか?」
「オレが行ってもいいけど?」
一瞬たじろぐ仕草を見せたナスターシャが怖ず怖ずと隼人の横にちょこんと座った。
「……ほ、本当にするのか?」




