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「そう言えば『喰人』の話がまだ途中だったな。ついでといっては何だが、『地食』についても一緒に話しておこうか。遅かれ早かれ、お前がこの世界にいる以上、必ず関わってくることだからな」
ナスターシャが『喰人』について、隼人にも分かりやすいように説明する。
まず、ナスターシャが最初にも話したが、『喰人』とはこの世界の人々からは『悪魔』と呼ばれ忌み嫌われる存在であること。
次に、『喰人』は人間が独自に決めた三つの『級』に分けられる。
一つ目――『成り損ね』と呼ばれる『喰人』である。その言葉が示すように、異形、奇形の容姿をした『喰人』である。形の違いはあれど、共通点として『成り損ね』は皆が巨大。
二つ目――『喰人』である。『成り損ね』とは次元が違う『悪魔』である。一つ一つの個体レベルは上位『紋章憑き』並である。『喰人』は肌の色が青い事を除いては人間と変わらぬ容姿をしている。
そして、三つ目――『希少喰人』である。この『級』の『喰人』が出現すれば国が崩壊すると言われている。現に、今までに『希少喰人(ロゼクラゥド』の手によって壊滅させられた国は少なくない。こちらも人型の容姿を持っているが、瞳の色だけが金色と、普通の『喰人(クラゥド』とは違う点がある。『悪魔』の王的存在。『魔王』とも呼ばれる。
現在、プリマヴェーラで『希少喰人』と個人でやり合える人間は、
『獣の紋章憑き』ザンドレッド・ルドリフス
『神子の紋章憑き』サイ・ザ・レベリー
『魔の紋章憑き』ケイヒル・バウナー・ラウ・カウンス
『雷の紋章憑き』リゼルハイン・ガウスバーグ
この四人だけしかいないと言われている。
「お前らでは勝てない相手なのか?」
隼人は二人に聞いた。
「アルベセウスは、今の自分に倒せぬ相手ではないと言っているがな。確かにアルベセウスは昔に比べて強くはなったと思うが、それでもまだまだ厳しいだろうな」
ナスターシャの言ったことに対して、ガイナも続けてこう答える。
「そうだな。アルベセウスとナスターシャ、そしてオレ。三人束になっても勝てるかどうかって感じだろうな」
お互いの口からは、『希少喰人』に対しての自信の言葉は聞かれなかった。
そして『地食』とは、その悪魔的存在の『喰人』がこの世界に出現する為に必要とする『漆黒の穴』の事を『地食』と言うらしい。まるで大地を喰らっているかのような侵食現象から、そう名付けられたようだ。




