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「一言で言ってしまえば、『悪魔』だ。その『悪魔』は何処からともなく姿を見せると、ひたすらに殺戮と破壊を繰り返し、そしてやがて何処かへと去っていく」
「台風みたいなヤツだな」
ガイナの治療が完了し、ダンダークの意識が戻った。
ダンダークがのそりと上体を起こすも、まだ少し意識がボンヤリとするのか、首を振って意識を強く持たせた。
「……ぬぅ……お主、強いのぉ。我が何も出来ぬとは……『竜』とはこれ程のものだったのか。正直、甘く見ておったわ」
隼人に惨敗したことが余程ショックだったのか、肩が落ちたダンダークの声には全く覇気が感じられない。
立ち上がったダンダークはガイナに向かって頭を下げた。
「我の傷を治していただき感謝する」
「良いってことよ。ただし、戦場じゃこうはいかねーけどな」
「それは無論だ」
ダンダークが隼人の方へ向き直った。
「お主の名を伺いたい」
「隼人。黒澤隼人だ」
隼人の名前を聞いたダンダークが笑みを見せた。
「ハヤトよ。お主のことは我のボスに伝えておく。久しぶりに本気でやり合える相手が出てきたことに、ボスはさぞ喜ぶことであろう」
隼人は顔の前で手を振ってみせた。
「いや、別に伝えなくても良いから」
「では我は戻るとしようかの」
ダンダークは隼人の声を無視するかのようにガハハと笑いながら去っていく。この時には、もういつものダンダークに戻っていた。
「おっと、そうそう」
何かを思い出したのか、ダンダークが立ち止まって振り向いた。
「そういや、出現したようだぞ」
ナスターシャが訝しげな表情で聞き返す。
「何がだ?」
「出現したと言えばアレしかあるまい。『地食』がこの国で確認されたようだ。アルベセウスが急いで現場に向かったが……」
一瞬でナスターシャとガイナの表情が強張った。
「……まあ、何だ。普通のが現れるのを願っておるよ」
ダンダークはそう言い残すと闘技場から去っていった。
気付くとリレイアの姿は無く、観衆も疎らになっていた。
二人の雰囲気から、あまりよろしくないことなんだろうな。と思った隼人だったが、とりあえず聞いた。
「『地食』ってなんだ?」




